Pages

.

響け!ユーフォニアム2 OP感想:イントロ13秒に詰め込まれた夏の青春

 『響け!ユーフォニアム2』のオープニング、第一印象はちょっと地味かな?なんて思ったしまったんですけどね・・・一瞬でもそんな風に思ってしまった自分が恥ずかしい。石原立也監督ってほんとスゴイなぁ・・・と心底感動してしまいました。

 特に最初のタイトルまでのイントロ13秒間・・・ここ本当に大好きなんですよね。もうむちゃくちゃ素晴らしくて、何度も何度も、繰り返し見返しました。見れば見るほどわかる細かい演出、気付くたびにすごいっ!って感動してました。

このメインのタイトルはOP終盤に出し
冒頭に英語のタイトルを出すという変則的な構成
『響け!ユーフォニアム2』OPより画像引用GYAO! 配信
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
当ブログの画像引用について

 『響け!ユーフォニアム2』のOP、特に冒頭五秒を中心にアバンから含めて30秒くらいを中心にした感想です(なんだそれ 笑)

※一部本編のネタバレにつながる考察・レビューなので未見の方はご注意ください。


冒頭のアバンのカウントダウン感


この作品のオープニングの冒頭構成は次の通りです。(秒数は大体です)
  1. アバン(前回のおさらい)15秒:0s-15s
  2. イントロ前半 5秒:15s-20s
  3. 冒頭タイトルA『』:20s-21s
  4. イントロ後半 8秒:21s-28s
  5. 冒頭タイトルB『Sound! Euphonium 2』:28s-35s

 本作はOPの前に必ず『前回のおさらい』としてアバンタイトルアニメが入りますが、これが本当に素晴らしいんですよね。『疾走感』というかOPスタートまでのカウントダウン!って感じで、OPイントロ部分と継ぎ目の無い一体感が素晴らしい!

 アバン部も含めてオープニングとしたいくらいで、最終回でもアバン&OPを省略せずにやってくれたのは本当にうれしかったです。ちなみに一番好きなのは10話のアバンですね。

10話冒頭『質問タイムです』からの一連の流れ
神アバンと呼ぶにふさわしい疾走感
『前回のおさらい』を超えた『作品』になっていた
『響け!ユーフォニアム2』10話より画像引用
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会

 9話自体が神回でしたが、9話を元にした10話のアバンは本当に神アバンと言って良いくらいの美しい流れでした。テンポ良い編集で楽曲リズムにシンクロした動きはまるでこのアバンのために書き下ろされたか?と錯覚するような15秒でしたね。

驚異の『5秒間12カット』に詰め込まれた青春


 そしていよいよオープニングがスタート。いきなりの冒頭5秒間のすさまじさに度肝を抜かれました。『驚異の5秒間』と呼びたくなるタタタン、タッタ・・・ってリズムの中、一瞬で切り替わる印象的なシーンの連続。わずか5秒でなんと12カット、しかもすべて動きのあるシーンが挿入されています。

 おそらく一拍ごとに1カットが割り当てられていそうですが、そのわずかなカットにもかかわらず、しっかりリズムに合わせた動きが振り付けられている驚き。見れば見るほど良くできていて感動してしまいます。

イントロ前半わずか5秒間になんと12カットのシーンが
しかもリズムに合わせた振り付けで緩急をつけた絶妙な構成
『響け!ユーフォニアム2』OPより画像引用GYAO! 配信
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会

 例えば4番目の香織先輩の階段を降りるステップ、5番目のデカリボン先輩の上下の動き、6番目の鎧塚先輩のリードから口を離すタイミング、7番目の葉月ちゃんの麗奈への寄りかかり、10番目の緑ちゃんのジャンプ。

 どれも刻みのリズムに合わせることで、ただパラパラとシーンを見せるのではなくて、ものすご〜く気持ちの良いシンクロ感を演出しています。

 さらに8番目の夏紀先輩の動きや、9番目のあすか先輩の自転車と11番目の手振り、12番目の葉月ちゃんの回る動きは単調にならない緩急になってて・・・これがホントに良い効果でてるんですよね。


むちゃくちゃ可愛いイントロ後半の裏拍シンクロ


 凝縮された怒涛の前半5秒間が終わるとスッと『』の文字が1秒間。これもすごくカッコイイですよね。この後8秒間の後半のイントロ部になるわけですが、これがまたすばらしい!というか・・・むちゃくちゃカワイイ(笑)

 後半はさらに約4秒ごとに前部(2.3.4)と後部(5.6)に分かれますが、前部は裏拍のリズムに合わせた振り付けで、前半5秒以上に気持ちの良いシンクロ感がありますね。

イントロ後半は約8秒間に5カット(2-6)
前部(2-4)はリズムを強く意識した振り付けになっている
ちなみにホルンの右から2番目のコは素晴らしくカワイイ!
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会

 2番目のホルンパートの『腕を伸ばすポーズ』と『リズムの裏拍のタイミング』がバッチリシンクロして本当に気持ち良いです!もうココのシーン本当に本当に大好きで(笑)何度くり返し見た事か。

 一人一人微妙に違う動きが本当に細かいんですよね。あとホルンの右から二人目のコは無茶苦茶可愛くないですか?動きと相まって半端ない可愛さ。

 しかも3番目に別シーンを挟んでからの『恥ずかしがるシーン』入れるっていうね。この構成がもう本当に天才かよって・・・(笑)分割することでより印象的になってるんですよね。

 その差し込まれる3番目のシーン。香織先輩晴香先輩(かな?)が手をつないでジャンブするシーン。よく見ると二人のジャンプのタイミングがしっかり裏拍になってて、本当に芸の細かい振り付けに思わず笑ってしまいました。

 そして後部4秒は、これまでのリズムに合わせた振り付けから一変、ゆったりとした三人のジャンプのスローモーション。ここから雲のシーンが約2秒間もあるんですよね。これまでのめまぐるしいスピード感から一気に開放され、まさに空に飛び出すような感じです。

 最後の『』は冒頭の『白ひまわり』の対になっていると思うのですが、このイントロ部には『夏の青春』が凝縮されています。あっという間に過ぎ去った夏の思い出を表現しているのかもしれない・・・と思いました。

対照的なカット割りで『もう一つの夏』を演出


 そして急転直下の冒頭タイトル『Sound! Euphonium 2』・・・これまでのスピード感ときらびやかなシーンから一転、非常に静かで地味な動きの少ないタイトルバック。これほど地味なタイトルの出し方ってあります?この緩急のつけ方が本当にすごい・・・大袈裟じゃなくて目頭熱くなりました。

イントロの超絶スピード感から一転、極端なほど静かなタイトルバック
それに続く一人一人をじっくり追うカット
しかしこの演出で『部員の夏』を見事に表現している
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会

 高校生活における『きらびやかで凝縮された青春』の一面と『地味で変化のない練習風景』の一面をこんなカット割りの妙味で表現するなんて石原立也監督の演出に痺れてしまいました。

 石原監督のオープニング作品は楽曲とのシンクロクレジットのレイアウトなどこだわって作られていて本当に好きです。ユーフォ1期はもちろんですが、『中二病でも恋がしたい』のOPもダイナミックな動きとリズムのシンクロが最高でした。

 でも今回は『動きのシンクロ』のみならず、このような『極端なカット割り』によってリズム感をさらに強調しています。さらに、リズムのみならず『吹奏楽部員の夏の青春というストーリー』までカット割りで表現しようとする演出に・・・勝手な解釈かもしれませんけど・・・気づいた時、そのすごさに本当に涙が出てしまいました。 

『モノクロ演出』と『青春の青枠』


 この後に続くオープニング後半ももちろん素晴らしかったです。それにしても今回のオープニングは『当初のモノクロ進行』、『青枠の意味』などすごい意欲的な演出でしたよね。

当初流れたモノクロOPは演出意図もつかめず困惑した。
これはこれで美しいが、青枠や溢れるような色の粒
終了後に見ると明確な意図を持った表現だとわかる。
ちなみにこのデカリボン先輩こと吉川優子のシーンは最高です。
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会

 実際自分も、最初はモノクロだったことにビックリしてしまい『なんか地味だな・・・』なんて誤解してしまったわけですけどね。オープニング好きとしては1期のあの素晴らしすぎるオープニングを見た後でしたからね、2期への期待はものすごく高かったです。
関連 2015年 アニメ オープニング ベスト10選:今年感動した神OPはコレ!(同率1位)  - アニメとスピーカーと‥

 だから1話であのモノクロOPが始まった時には、正直どう解釈して良いかすぐには飲み込めませんでしたね。でも1期もそうだったんだけど、石原監督のOPは じっくり見れば見るほど良さがわかってきます

 全話を見終わった時に振り返えると実感できる事実。『青枠』は夏の青空と青春を象徴した過去の思い出・・・そして赤リボンを付けて全国の舞台に立つ部員たちにはその『夏の日々』が輝きを放つ。

 解釈はちがうかもしれないけど、そんな『込められた思い』が全話見た時に溢れてくる・・・見た目がカッコイイだけじゃない、楽曲とのシンクロが気持ち良いだけじゃない。

 『響け!ユーフォニアム2』のオープニングは、まさにアニメオープニング史に残る素晴らしい『オープニング作品』だと思うのです!
関連記事 劇場版総集編の感想です。
劇場版 響け!ユーフォニアム 感想:驚異の完成度 これは単なる総集編じゃない! - アニメとスピーカーと‥
外部サイト 参考になったブログ記事のご紹介。

「響け!ユーフォニアム2」OPがモノクロからカラーになった話 - animereal(モノクロ映像によるネタバレ効果などの検証が興味深かったです)

響け!ユーフォニアム2 第1話のちょっとマニアックな感想。EDは山田さんではなく藤田さんが演出 - Échec Complet (石原監督の過去作と絡めたOP評が参考になりました、すごい同感!)

<オープニングアニメーションスタッフ>
絵コンテ演出:石原立也
作画監督:西屋太志/楽器作監:髙橋博行
原画:丸木宣明/岩崎菜美/鈴木沙奈/牟田亮平/羽土真衣子/熊野誠也/髙橋真梨子/瀬崎利恵
動画検査:藤田奈緒子/色指定:竹田明代
特殊効果:三浦理奈/撮影担当:髙尾一也

GYAO!響け!ユーフォニアム2(1話・最新話無料/公開当時)
響け!ユーフォニアム2 公式サイト

No comments:

Post a Comment