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2017年に見たアニメ映画25本:感想総まとめ!

 2017年に見た劇場版アニメは25作品(のべ40回)。これでも見逃しちゃったの結構あるんですよね〜嬉しい悲鳴ですけど。去年に比べると今年は小粒って言われますが良い作品がいっぱいありましたよね。

 時間がなくて感想アップできなかった作品も含めて、ここで総まとめしてみました。基本ネタバレはない短評です。気が向いたらリンク先の詳しい感想も読んでくれると嬉しいです。

 今回もあえてランキングにはしていません。でも『鑑賞回数』を書いているのでハマった作品はわかりますね(笑)でもやむを得ず1回だけの作品もあるので回数少なくても傑作はあります。(追記:やっぱりベスト10を選出してみました。文末にまとめてあります)

 順番は公開が新しい順です。(シリーズ物は初回公開日で揃えています)

作品リスト - 公開順】(リンク付き)
関連記事 2015年に見たアニメ映画 感想 総まとめ!- こちらは一昨年の記事です。去年(2016年)はまとめてません ^^;
それでは2017年のアニメ映画感想 25作品総まとめです!

ガールズ&パンツァー最終章 第1話

映画とTVのいいとこ取り。今後が楽しみな第1作目!

 面白くてホッとしましたよ(笑)あの歴史的大傑作の劇場版のあとじゃないですか。『6分割で劇場公開』と発表された時は、オイオイいくらなんでも調子に乗りすぎでしょ・・・と心配したくらい。

 50分弱とTV2話程度の長さなので、どうかな?と思ったのですが充実してましたね。もちろん劇場版とは違いますが、丁寧に作られていて今後の展開が期待できる内容でした。

 TVっぽさもあるんだけど各パートにたっぷり時間をかけられるので見ごたえがありますね。TVシリーズと劇場版のいいところ取りのような構成でした。
2話ごとに4DX版としてまとめて上映予定
TVとも単独映画とも違う構成が期待出来る1話だった
© GIRLS und PANZER Finale Projekt
当ブログの画像引用について

 それにしても、廃校を免れた後はどうするの?という心配なんて軽々と乗り越えてくれて笑いました。こういうガルパンらしい軽さが好きです。

 この理由で最後まで行くのか?それとも予想外の展開になるのか・・・最終章などと大仰なタイトルなので何があってもおかしくないよなぁ・・・って思いますがどうでしょう。

 1・2作をまとめて4DX版として公開されるそうなので、そちらも無茶苦茶楽しみです!
関連記事 ガールズ&パンツァー 劇場版 感想 (通常版):ブラボー!と叫びたくなる傑作映画 - 前作 劇場版の感想です。
関連記事 4DX ガルパン劇場版 感想:この猛烈な楽しさは4DXのキラーコンテンツだ! - 4DX版の感想です。

KUBO/クボ 二本の弦の秘密

国際的評価も納得の超絶映像。でも字幕で見れば良かったかも。

 人形をコマ撮りするストップモーション作品。もっと前知識つけてから見れば良かったなぁ。あまりによく動くのでCGなのかと勘違いしてしまいました。凄まじい物量の投入された映像は一見の価値ありですね。

コマ撮りと知っていても目を疑う激しい動き!
鑑賞前にメイキング動画を見れば良かったと後悔。
(C)2016 Two String,LLC/© GAGA Corporation

 ただ『日本を舞台』っていう宣伝に影響されちゃって、細かな違和感が気になってしまいました。アメリカ人監督によるアジアのイメージくらいに考えたほうが楽しめたかも。

 見たのは吹き替え版でしたが、字幕版の方が逆に違和感少ないかもしれませんね。
関連記事 映画『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』 感想:精巧すぎる映像で日本文化とは何かを考えさせられた - アニメとスピーカーと‥

GODZILLA -怪獣惑星-

SF作品として素直に楽しめた!虚淵脚本 爆発の1作目。

 これ3部作だって知らなくって・・・初日に見たらびっくりしちゃいましたよ。ずるいなぁ(笑)

 虚淵玄さんの脚本ということで『いつ展開するか?』ってみてたら『そういうことかぁ!』って・・・・やられました(笑)
 制作はポリゴンピクチュアズ。
キャラの顔が他の作品とかぶるんじゃ?と心配していたが杞憂だった。
 ©2017 TOHO CO., LTD.

 賛否両論あるみたいですが、自分は素直に面白かったですね。90分のスピード感のある構成。細かな説明はないのに全然意味不明にならないんですよ。そこは何気にすごいなと思いました。

 上映後に小さな子供が『すっごい面白かった!』って興奮してお父さんに言ってました(笑)子供でもわかるように自然に省略されている。でも決して子供騙しじゃないんですよね。

 興味をそそるSF設定の数々が大人も楽しめる深さを感じます。特に異星人の設定が良かったな。『地球に来る異星人』の固定観念を破る感じ。この辺はもっと掘り下げて知りたいですね。
攻撃シーンは重力や遠心力をしっかり感じられる動きで良かった。
『GODZILLA 怪獣惑星』予告より 
 ©2017 TOHO CO., LTD.

 ゴジラファンからは厳しい意見もあるようですけどね。自分はゴジラへのこだわりは少ないようで、SF作品として素直に楽しめました次回作への伏線が随所に散りばめられて凄く楽しみです。

 むしろ劇場版『亜人』三部作のように、終了後にTVシリーズとして改めて放映して欲しいくらいですね。省略されたサイドストーリーも凄く見たいです!

公式サイト:http://godzilla-anime.com

ご注文はうさぎですか?? ~Dear My Sister~(3回)

日常系の魅力がわかった!本当に気持ちのいい作品。

 この作品は良かったなぁ・・・3回見てしまいましたね。しかも3回とも泣いてしまうというね(笑)近くの上映ならもっと見たかったな。

 TVシリーズは実は挫折しちゃったんですが、この劇場版(OVA)でごちうさの魅力を理解できた気がします。のみならず『日常系アニメの魅力』自体を深く理解させてくれた作品でした。
正統派の日常系作品であると同時に難易度も高いごちうさ。
劇場版は自分にもその魅力を気づかせてくれた。
©Koi・芳文社/ご注文は製作委員会ですか??

 昨年の『きんいろモザイク Pretty Days』は日常系の入門として先に見られたのは本当に良かったです。ごちうさ自体がやや上級者向けの作品だと思うので、良い流れで見られたと感謝したいですね。
関連記事 映画『ご注文はうさぎですか?? ~Dear My Sister~』 感想:種田梨沙さんおかえりなさい!と思ったら泣いちゃったよ。 - 詳しい感想はこちら。
関連記事 映画 きんいろモザイク Pretty Days 感想:幸せをくれる甘いファンタジー - 昨年のきんモザの感想。

劇場版 響け!ユーフォニアム~届けたいメロディ~ (4回)

今年一番の驚き!感動で動けなかった・・・完璧な劇場版

 これは今年一番驚いた作品ですね。本当に素晴らしかったです。

 『TV版2期を振り返った総集編』なんていう触れ込みだったので、『ユーフォ』ファンとしては一応見に行くかぁ・・・って感じで見たらびっくり仰天!!
ダイジェストではなく再構成された新版と言いたい作品。
焦点を絞ってTV版とは違った魅力を引き出している。
Ⓒ武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会

 もう驚きと感動で涙が止まらない・・・衝撃で劇場出た後も座り込んでしまいました。総集編を4回も見に行くことになるとは思いませんでしたね。

 とにかく『大変なことが起きた!』って(笑)この時の驚きと興奮をブログにぶつけたのを今もよく覚えています。
関連記事 劇場版 響け!ユーフォニアム~届けたいメロディ~ 感想:2期の総集編?これは新作と合わせた加筆完全版だ! - 詳しい感想はこちら。
関連記事 劇場版 響け!ユーフォニアム 感想:驚異の完成度 これは単なる総集編じゃない! - 1期総集編の感想です。

ユーリ!!! on ICE 4DX

ユーリファン向けのアトラクションですね!

 TVシリーズの『ユーリ!!! on ICE』12回を、そのまま4作×3回で4DX上映するという企画。映画といって良いか?は微妙ですが、全国の4DX劇場で上映されたので1作目のみ行ってみました。
最初に『ユーリ!!! on ICE』が流れるシーンが好きだった。
映像自体は通常版と全く同じです。

(C)はせつ町民会/ユーリ!!! on ICE 製作委員会

 ちょうど最近ユーリを見て気に入ったので、ファン向けのアトラクションとしては、かなり楽しめましたね。観客はやっぱり女性が多かったですが(笑)

 一番期待してた演技シーンの4DX効果はちょっと物足りなかったかな。でも演技が大画面で見られたのは良かったです。
関連記事 ーリ!!! on ICE 4DX 感想:ファン向け面白演出満載のvol.1 演技シーンはもっと望みたい!- くわしい感想はこちら。

ノーゲーム・ノーライフ ゼロ 通常版 & 4DX版(計2回)

脚本と演出がガッチリかみ合った、見事なクライマックス!

 TVシリーズの前日譚的な作品ですが、凄く評価が高かったですね。TVシリーズ未見でも問題無し!という評判を聞いて鑑賞。

 確かにストーリーも追えたし良かったんだけど・・・やっぱり『TVシリーズ全く知らない状態』だとね。ちゃんと理解できてない気がして・・・歯がゆい感じ。
高評価だったがTVシリーズ未見だったので迷っていた。
TVシリーズ未見でもストーリー自体は理解出来る。
©榎宮祐・株式会社KADOKAWA刊/ノーゲーム・ノーライフ ゼロ製作委員会

 早速、TVシリーズ12話を一気見して、改めて4DX版でリベンジ!

 2度目ということもあるけど、すんなり世界に入り込むことができて、クライマックスは涙ボロボロ(笑)初見の時も感動したけど2度目はさらにやばかったですね。

 脚本と演出の歯車がガッチリ完璧に合っている感じ!ラストにかけての演出が見事でした。(花田十輝 脚本はもともと好みなんだけど)
このキャラデザインは慣れないと難易度が高かった。
TVシリーズを見るとすごく馴染めるようになる。
映画『ノーゲーム・ノーライフ ゼロ』 PV 第3弾より
©榎宮祐・株式会社KADOKAWA刊/ノーゲーム・ノーライフ ゼロ製作委員会

 確かにストーリー自体はTV版から独立した作品なんだけど、ノゲノラの『ノリ』や『世界』を理解してないと、うまく入り込めない気がします。そういう意味でもTVシリーズを最初の方だけでも見たほうが良いですね。楽しい作品ですしね。

 ちなみに劇場版見た後にTV版見ると下ネタの多さにビビりましたね。シリアスな劇場版でなぜか下ネタがチラチラ入る理由がわかりました(笑)ちなみに4DX版は灰の降る効果が印象的でしたね。

公式サイト:http://ngnl.jp

劇場版 生徒会役員共

映画化した勇気を賞賛したい(笑)ストレートな下ネタを映画館で!

 まさか劇場版になるとはね・・・いやはや発表された時は耳を疑いました。どう来るかと思いきや、変に手を加えずテレビシリーズのイメージのまま。良くも悪くもストレートでしたね。

 オープニングがTV版と同じ曲だったのは好きだから良かったけど、映像は劇場版オリジナルのものにして欲しかったかな。
TVだと冒頭から笑えるけど、映画館だと最初は引く(笑)
でもだんだんと笑いが起こってきて・・・爆笑へ。
「劇場版 生徒会役員共」本予告より
© 氏家ト全・講談社/桜才学園生徒会視聴覚室
© King Record.Co.,Ltd. All Rights Reserved.

 でも、ほぼ満員の映画館で下ネタ全開で笑わせるって、よく考えるとすごいチャレンジングですね。序盤はさすがに空気が固くて笑えないんですよね、みんな同じファンだってわかってるんですけどね。不思議なもんです。

 でも、温まってきた後半はどぎついネタでも会場が沸いてました(笑)

 それにしてもこの作品、音響のこだわりがすごい!音質も良いし、サラウンドもリアル。近くの人が喋ってるのかと何度も勘違いするほどリアルな音響で、なんでそんなにこだわってんだ・・・って、逆に笑えるほどでした。

公式サイト:http://king-cr.jp/special/seitokai_G/

機動戦士ガンダム THE ORIGIN V 激突 ルウム会戦

おっさん向けの渋い演出。前半だけど満足度高かったよ!

 ジ・オリジン5作目にしてルウム編の前編。ルウム会戦の緒戦までなので『物足りない』という声も聞こえましたが、自分としてはかなり満足度は高かったですね。
ファーストガンダムでは珍しい大規模な艦隊戦
モビルスーツ戦が少なくても見所は多かった。
(C)SOTSU・SUNRISE

 ルウム会戦へ至るまでのブリティッシュ作戦(コロニー落とし)や人物描写も見ごたえありました。もちろん良いところで終わるんだけど、見終わった後の熱い感じは良かったです。

 後編となる第6話『誕生 赤い彗星』は2018年5月5日公開です。楽しみですね!
関連記事 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN V 激突 ルウム会戦』 感想:渋い演出と迫力の艦隊戦!ガンダムらしいクライマックス- くわしい感想はこちら。

きみの声をとどけたい

誰もが賞賛する今年一番のダークホース!

 この作品はダークホース的な話題になりましたね。自分もまさかここまで良い作品だとは思いませんでした。大傑作・・・というと語弊があるんですが、見て良かったなぁと素直に思える作品
平面的な独特のキャラデザイン
『文科省推薦』的なイメージで期待せず見たが・・・
(C)2017「きみの声をとどけたい」製作委員会

 説教くさい作品は苦手なんですが、なぜかこの作品では素直になれてしまう(笑)隣の人も泣いていましたが、良い歳したおっさんでも綺麗な涙を流せる作品でしたね。

 もう一回くらい見たかったんですが・・・残念ながら行けなかった。見た人は総じて高評価なのですが、なかなか魅力が広まらず早めに終わったのが残念な作品ですね。
関連記事 映画『きみの声をとどけたい』感想:普通にむっちゃ良い映画ですね! - くわしい感想はこちら!

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?(3回)

初見で困惑、2度目で感動、3度目で絶賛!

 今年一番の話題作であり、賛否両論・議論百出の作品。絶賛派と完全否定派の落差がここまで大きい作品も珍しい気がしますね。

 そんな自分も初見では斬新すぎて困惑・・・でも決して不快じゃなくて、すっごく気になる作品で・・・結局3回見ました。
なずなの瞳の演出も見所の一つ。
予告やPVが素晴らしすぎて初見では拍子抜け感もあったが
2度目以降は斬新な演出を素直に楽しめた。
(C)2017「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」製作委員会

 2度目にはむちゃくちゃ感動してしまい『絶賛』に評価を変更(笑)今ではとても好きな作品です。

 沢山の解釈を受け入れる懐の深さがある作品で、絶賛派のなかでも解釈は様々・・・みんなの解釈を読むのも楽しかったな。

 ただ、『君の名は。』的な作品を期待した人は、当然ながら厳しかったようで、上映直後は散々な評価が目につきましたね。ただ時間が経つにつれて高評価の人が多くなったのが印象的でした。

 プレッシャーのなか、ここまで妥協なく攻めた監督には尊敬しかないです。もう一回くらい見たかった・・・。

 ブログでは初見の戸惑いと、2度目以降の驚き、そして多くのコメントを頂いて様々な解釈を知ることができました。
関連記事 『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』感想&考察:一般向け?実は斬新で深く考えさせられる作品だった! - くわしい感想はこちら!

メアリと魔女の花

映像クオリティーは高いけど自分には評価が難しい・・・

 ジブリスタッフの再集結として話題になりましたが、米林監督の作風は自分には合わないのかな・・・確かにクオリティは高いしエンターテイメント性もあるんですけどね。
映像は文句なく美しいと思うが・・・
「メアリと魔女の花」予告3より
©2017 「メアリと魔女の花」製作委員会

 導入部の映像は素晴らしかったし、踏み込んだメッセージ性もあって意欲的な作品・・・ではあるんだけど、どうにも相性が合わない感じで。自分としては評価が難しい作品でした。

 メアリ役の杉咲花さんや科学者の小日向さんの演技も馴染めなかったんですよね。どうも俳優さんの顔がダブってしまって米林監督の作風に馴染める方には良評価なようで、好みの分かれる作品ですね。

公式サイト:http://www.maryflower.jp

劇場版『艦これ』4DX版

2度目の鑑賞でわかった劇場版『艦これ』の凄さ!

 この作品はかなり衝撃的で・・・長文の感想を書いたのですが、まとまらずにまだお蔵入りしてます(泣)

 通常版の公開は2016年11月なのですが、4DX版が2017年公開でした。内容は同じなので実質2度目の鑑賞なのですが、これがビックリ・・・すごい感銘を受けてしまったんですよね。
初見の通常版では難解でピンとこなかった。
この作品のテーマは『死者への悼み』だと思う。
『劇場版 艦これ』本予告よ
(C)2016 「劇場版 艦これ」連合艦隊司令部

 初見では理解できなかったのですが『単なるキャラ萌えアニメで終わらせない』という監督の思いを感じました。戦争や死というものにちゃんと向き合った作品だと思います。

 でも、あんまり評価されていないようで残念・・・。

 生き残った者が『死』をどう受け入れるか。帰ってきてほしい、忘れないでほしいという想いを『艦これ』を通して表現していた気がします。
 
 散々な評価をされてしまったTVシリーズも、実は戦争に対して真摯な態度で考えていたんじゃないか?って感じました。やっぱりお蔵入りした感想をもう一度書いてみようかな・・・(笑)

 ちなみに4DXの効果はガルパンには及びませんがかなり良かったです。艦娘の疾走感がよく出ていましたね。4DXとしてみる価値も高い作品でした。

 でも、それ以上に2回みて『艦これ』をちゃんと理解できる機会になったのが良かったですね。もし4DX版がなければ『艦これ』を誤解したままだったかもしれません。

公式サイト:http://kancolle-anime.jp

劇場版『魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女』

満足度は高いんだけど・・・お兄様強すぎ(笑)

 予告編も良かったしTV版も好きだったので鑑賞。TV版の直接の続編ではないので、原作未読の人はキツイのでは?という意見もあったけど、自分は大丈夫でした。

 予告編公式ページをチェックしてればストーリーを追うのには問題なかったですね。ただ、お兄様が強すぎて(笑)TVシリーズのようなカタルシス感が物足りなかったかな?
『さすおに』感は健在なんだけど・・・
もはや劣等生度はゼロなのでTVシリーズとは感じが違う。
©2016 佐島 勤/劇場版魔法科高校製作委員会

 作品全体としてはそんなに不満はないし、ファンムービーとしても楽しめたんですけどね。ちょっと期待しすぎはあったかも。

 もう一回くらいは見てもいいかなぁと思ったんですが・・・・行けずじまいで。次期TVシリーズがあれば、間の話が補完されるので期待したいところですね。
関連記事 劇場版『魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女』の感想:満足度は高いけど『魔法科』の魅力ってなんだっけ? - くわしい感想はこちら!

BLAME!(2回)

世界に誇りたい本格SFエンターテイメント!

 血湧き肉躍るようなワクワク感・・・期待を裏切らない面白さでした!

 弐瓶作品は難解という評判ですが、難解さを保ちつつもエンターテイメントとして両立させた演出は見事でしたね。
セルルック3DCGでの萌え表現も見事!
大スクリーンにも映える映像
(C)弐瓶勉・講談社/東亜重工動画制作局

 『感動で泣く』とかじゃないけど素晴らしい作品。こういう純粋にワクワクするSF映画が日本から生まれるのは嬉しい限りです。セルルックアニメの進化も見所ですね。
関連記事 映画『BLAME!』感想:超ワクワクできるSFエンターテイメント! - くわしい感想はこちら!

夜明け告げるルーのうた(2回)

見逃さないで本当に良かった!音楽と映像のコラボに感動。

 食わず嫌いで見逃してたら後悔してただろうなぁ・・・こんなに楽しい作品だとは思わなかったです。映画館で観られて良かった〜!

 冒頭から一気に引き込まれて本当に痺れるオープニング。音楽と映像の合わせ方が最高!とにかく気持ち良いんですよね。
正直、見ようかどうか迷ったくらい期待してなかった。
開始10分で先入観をぶち壊された時の高揚感を思い出す。
©2017ルー製作委員会

 予告見てたら、どうしても『ポニョ』を連想しちゃって。正直ポニョはちょっと苦手だったのでね・・・でもこんなに心に響く作品だなんて想像もしてませんでしたね。

 共同脚本に吉田玲子さんが入ってるのですが、『やさしさ』が溢れるような素晴らしい構成。笑いながら涙が止まらなかったです

 終了近くでの鑑賞だったので滑り込みで2回目を鑑賞。もう1回くらいは見ても良かったな。
関連記事 映画『夜明け告げるルーのうた』感想:こんなに楽しい作品だと思わなかった・・・。 - くわしい感想はこちら!

結城友奈は勇者である -鷲尾須美の章-
 第1章「ともだち」 第2章「たましい」 第3章「やくそく」

TVシリーズ未見なのに感涙・・・改めて見直したい作品。

 いわゆる『新日常系』の代表的作品。前日譚ということもありますが、TVシリーズ未見の人にも配慮した構成でストーリー自体は一応理解できますね。

 TV版は2012年の放映当時に録画してたのですが結局未見で・・・でも結構気になる作品でした。(当時は『まどか☆マギカ』があまりに好きすぎて、それを連想させる作品は無意識に見るのを避けてた気がします)

 今回、上映前にTV版を見ようと思ったらディスクが行方不明で(泣)未見のまま映画を鑑賞。でもやっぱりTV版を見た方が良いですね。
多少設定は知っている程度のレベルで鑑賞。
結末を知らないので衝撃は大きかった。
ショートムービーの方は理解が難しかったけど。
©2017 Project 2H/特報より

 ストーリーは理解できるんだけど、やっぱりTVシリーズを見た後の方が何倍も感動できただろうなぁ・・・いろんなところに後の伏線みたいなのあるもんね。

 なんといっても圧巻は第3章「やくそく」のラストね・・・未見でもこんなに感動したんだからTV版見てたら凄かっただろうなぁ。ホント、あそこの花澤香菜さんのセリフが感動的でした。

 テーマ曲の「やくそく」も素晴らしかったですよね。この曲は自分にとって『今年のベストアニソン』の一つになりました。

  今期のTV版『鷲尾須美の章』は改めて1期を見てから鑑賞したいですね。

公式サイト:http://yuyuyu.tv/washio/special/movie.php

劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール

単体でも楽しめるエンターテイメント!

  TVシリーズは見てないのですが、予告編が魅力的だったんですよね。主題歌のLiSA『Catch the Moment』がすごくカッコよくて映画見る前からハマってました

 TVシリーズは未見でもストーリーも全然問題なく追えたし面白かったですね。ファンムービーを超えて単体の作品として完成されてました
TV版未見でも楽しめるけど
二人の関係を知ってたら一層楽しかったかな?
©2016 川原 礫/KADOKAWA
アスキー・メディアワークス刊/SAO MOVIE Project

 ただ、見終わってみると他の方のレビューが超大絶賛でびっくりしました。確かに面白かったけどこんなに高い評価か・・・とちょっと温度差感じました(笑)この辺は好みの差ですかね。

 映像やストーリーのクオリティーも高くて、エンターテイメントとして満足できる作品でした。でもTV版を見てキャラへの思い入れが多かったら、さらに楽しめたかな?

 あと『Catch the Moment』の使われかたは予告編の方が好きだったな。

公式サイト:http://sao-movie.net

夜は短し歩けよ乙女

素晴らしい色彩と仰天の展開に圧倒 

 見終わった後、圧倒されて興奮状態でしたね・・・期待通りのキレイな色彩もすごかったんだけど、話の構成もすごいんですよね!まったく予想外の展開でした。

 『四畳半神話体系』みたいのを期待して見に行ったので、後半からはひっくり返りそうになりました(笑)

 万人向けではないけど・・・自分はとっても好きな作品。感動はないけど、感激して涙が出てきてしまいました
予告編では予想できない超展開に驚いた。
『夜は短し歩けよ乙女』 90秒予告より
(C)森見登美彦・KADOKAWA/ナカメの会

 本当に盛りだくさんで、現実と非現実の境目が曖昧になって、どんどんおかしな方向に突き進んでいく感じ。序盤では想像がつかない展開がすごく楽しかったなぁ。特に学祭のあたりは最高でした。

 花澤香菜さんの演技も(ファン贔屓ということを差し引いても)本当に良かったです。最初は『四畳半』のイメージがあるので、かなり違和感あったんですけどね。

 黒髪の乙女感がすっごく良く出てるというか、花澤香菜らしさを残しつつも、四畳半の理系女キャラとの違いを明確に感じました

 あと、ロバートさん。最初に発表された時は正直『え〜芸能人枠?』って感じだったんですよ。ホント謝らなくっちゃいけないですね・・・すごく良かったです!

 予告で期待してた色彩の美しさにも圧倒。どのシーンも絵になりますね。そしてアジカンのエンディング!すごく良かった。なんだか分からないけど涙出ました(笑)

 万人向けとは言いにくいですが、自分はかなり満足度の高い作品でした。

公式サイト:http://kurokaminootome.com

ひるね姫 ~知らないワタシの物語~

予告編で騙された(笑)愛すべきオッサン賛歌!

 これも予告編で騙されましたね・・・これはもう、紛れもなく『おっさん讃歌』ですよね。誤解を恐れずに言えばですけど。

 もちろん若い人が見ても面白いと思いますよ。良く練られた複雑なストーリー展開だから、逆に小さい子供には難しいかな?
この全く萌えない主人公『ココネ』
普通の高校生の物語と思いきや・・・実は!
映画『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』本予告より
©2017ひるね姫製作委員会

 でもね、なんといってもエンディング曲の『デイ・ドリーム・ビリーバー』ですよ。この作品のテーマがここに収斂されていくんですよね。これが本当に見事!

 見る前は『この曲を流せばそりゃ泣けるわ・・・』って安直な感じもしましたが、いやぁなかなか、ちゃんとこの曲の芯を捉えた作品でしたね。

 映画自体は冒険活劇的な大風呂敷を広げてくれる楽しい作品ですが、すべてのストーリーがこの歌詞に収斂されて終わるエンディングは見事。

 歌詞を直球で表現されるとベタで引いちゃうけど、こういう変化球で表現されるとヤラれたって感じ。これも本編見ないと理解できないってのがイイですね。

 でもこのジーンとする感覚は若い人には伝わるかな?大学生くらいならわかるだろうけど、やっぱり30〜50代のおっさんにこそ伝わるんじゃないかな。

 大事なパートナー、一緒に歩んでくれる人がいる人には、特に響くものがあると思います。

 はっきり言って自分は、家族の絆とか、あざといハートフルは苦手で・・・でもこの作品はあんまりそういう嫌味を感じなかったですね。

 萌えないキャラや、ファンタジー色で、自分向けじゃないと敬遠するのはもったいない作品。細かい所では『企業のCMみたい』とか思う所もありましたが(笑)見て良かった作品ですね。

公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/hirunehime/

虐殺器官

未来を予言するような重量級の社会派SF

 伊藤計劃のアニメ化3部作の中では、この『虐殺器官』が一番好きですね。ハードな社会派SFという感じですが、人類という種族の『業』までもテーマにしているような深さを感じます。
主人公のクラヴィス・シェパード
イケメンの戦闘シーンだけじゃないとても深い作品。
(C)PROJECT ITOH/GENOCIDAL ORGAN

 途中冗長に感じるところもあったけど、鑑賞後の充実感はかなり高いです。複雑な話にもかかわらず疑問点が少ないのでスッキリ見終わります。他の2作品は鑑賞後のモヤモヤが結構ありましたからね。

 虐殺器官の後世界を描いたのが『ハーモニー』だとコメントで知りましたが、それを聞いてゾクゾクしましたね。原作も読んでみたいと思う作品でした。

 ちなみに映画はひとりで来てる女性が結構多くてビックリしましたね。声優ファンかもしれませんが『屍者の帝国』みたいな女性受けする作品かと思ったら、すごいハードな内容でいい意味で裏切られました。
関連記事 映画 虐殺器官 感想:やっと伊藤計劃の凄さがわかった! - くわしい感想はこちら!

『君の名は。』IMAX版

アニメの可能性を感じる価値あるIMAX版

 こちらも通常版は2016年公開ですが、IMAX版は今年公開でした。

 4DXと違ってただスクリーンがデカイだけ・・・?じゃないんですよね。いやぁこれは良かったです。IMAX用に再調整が行われているだけあって空気感まで感じるような素晴らしい映像
高精細で上下方向の長さを感じるIMAX
このような映像では素晴らしい効果を感じる。
(C)2016「君の名は。」製作委員会

 割増料金を支払う価値がありましたね。2DアニメとIMAXというのはここまで合うんだという可能性を体験できました。もちろん本編の素晴らしさあってのことですけどね。

関連記事 『『君の名は。』IMAX版の感想:空気感を感じる映像に2Dアニメの潜在力を体験できた』IMAXのスクリーンって本当にデカイね。- くわしい感想はこちら!
関連記事 『君の名は。』感想:こんなすごい映画作るなんて本当に新海さんは大したものですね。- 通常版の初見感想です。

傷物語 III 冷血篇(6回)

本当に素晴らしい・・・6回見ても飽きなかったよ

 初回の感想では『もう一度見たくなる』なんて書きましたが結局6回見ちゃいましたね。今年最高の鑑賞回数はこの作品でした。

 初見の感想を今読むと『動揺しすぎだろ!』って我ながら恥ずかしいところですね(笑)6回見て『やっぱりこの作品好きだな・・・』ってしみじみ思いました。
初見の衝撃が覚めても魅力は増すばかり
羽川ファンである事を割り引いても素晴らしい作品
© 西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト

 感動して涙が止まらない・・・とかいう作品じゃないんですけどね。なんかこうジワジワ侵食されるような・・・切なさで胸がいっぱいになるような作品

 鑑賞後のあの気持ちを感じたくて何度も見に行った気がします。エンディングのフランス語の歌が本当に心地よいんですよね。

 1作目の頃はフランス語を多用することに違和感もありましたが、今となっては素晴らしい演出だと感じます。あの気怠い感覚はこれをおいて他にない演出ですね。

 最終日のムービックスさいたま。平日の難しい時間にもかかわらず50人近くのお客さんがいました。ああ、みんなわかってるんだなぁって嬉しくなりましたね。

 人によってかなり評価が分かれる作品でしたが確実にハマってる人たちがいる!

 2016年からの傑作アニメ映画ラッシュのなかで、話題としては埋もれがちでしたが、自分にとって他に難い魅力のあるとてもとても素敵な作品でした。
関連記事 傷物語 III 冷血篇 感想:羽川さん視点の超偏った感想です♪ - くわしい感想はこちら!

最後に



 読んでいただきありがとうございました!コメントあればお気軽にどうぞ。

 それにしても、もっと見た直後にちゃんと投稿しておけば良かったなぁ。『夜は短し』とか『ひるね姫』とか下書きで終わってたので・・・もったいない。来年はもっとアップしたいですね

 (追記)やっぱり自分もベスト10を作ってみたくなったので選んでみました!下に追記したのでご笑覧ください!

2017年 個人的アニメ映画ベスト10 発表!


 今回は『2017 アニメ映画ベスト10』を選出してみました!技術的なことは置いておいて、あくまで個人的に好きな順位ですね。『オススメ順位』じゃなくて100%自分の趣味なので誤解なきよう(笑)

 選出基準は『何回見たいか?』です(笑)実際に見た回数をベースにしていますが、僅差の場合は『あと一本追加で見るならどちらを見るか?』で決めました。

 10位までぜんぶ好きな作品、できれば何度も見たいと思った作品です!(カッコ数字は実際の鑑賞回数・リンクはページ内の説明に飛びます)

1位:傷物語 III 冷血篇 (6)
  (本当に素晴らしい・・・6回見ても飽きなかったよ)
2位:劇場版 響け!ユーフォニアム~届けたいメロディ~  (4)
  (今年一番の驚き!感動で動けなかった・・・完璧な劇場版)
3位:打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? (3)
  (初見で困惑、2度目で感動、3度目で絶賛)
4位:ご注文はうさぎですか?? ~Dear My Sister~ (3)
  (日常系の魅力がわかった!本当に気持ちのいい作品)
5位:夜明け告げるルーのうた (2)
  (見逃さないで本当に良かった!音楽と映像のコラボに感動)
6位:きみの声をとどけたい (1)
  (誰もが賞賛する今年一番のダークホース)
7位:BLAME! (2)
  (世界に誇りたい本格SFエンターテイメント)
8位:夜は短し歩けよ乙女 (1)
  (素晴らしい色彩と仰天の展開に圧倒)
9位:ノーゲーム・ノーライフ ゼロ 通常版&4DX版 (2)
  (脚本と演出がガッチリかみ合った、見事なクライマックス)
10位:ひるね姫 ~知らないワタシの物語~ (1)
  (予告編で騙された(笑)愛すべきオッサン賛歌)

 いかがだったでしょうか(笑)ちなみにガルパン最終章GODZILLAも良かったんですが、次作が出てから改めて見たい!という感じだったので入りませんでした。評価が低いってわけじゃないですよ!

reade more... Résuméabuiyad

映画『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』 感想:精巧すぎる映像で日本文化とは何かを考えさせられた

KUBO/クボ 二本の弦の秘密』(吹き替え版)を映画館で見てきました。陰鬱な難しい作品かと思ったらとてもわかりやすい冒険活劇作品でしたね。

 人形を使ったストップモーションアニメということですが、もう信じられないくらい生き生きとした動き!そして表情!最新技術を使っているとはいえ、あまりに美しくて実物をコマ撮りしているとは思えません。これは一見の価値ありですね。


KUBO/クボ 二本の弦の秘密 予告編
鑑賞前にこちらのメイキング映像も見ることを強くお勧めします

 ただ『日本を舞台に』を全面に出していますが、自分には非常にアメリカ的に感じたんですよね。ディズニーの新作と言われてもわからないかな?

 監督の日本文化への愛情は感じますが、あくまでアメリカ人視点なので、その部分については最後まで違和感が残りました。

 吹き替え版なので特にそう感じたのかな?あまり日本を意識しないで見た方がいいかも。自分は違和感から逆に日本人らしさとは何か?と考えてしまいました。

ネタバレの無いレビューですが未見の方はご注意ください。

タイトルは知ってはいたけど・・・


 映画の日ということもありますが、公開3週目で半分以上席が埋まる盛況ぶり!評判の良さが噂になって客足も伸びているようです。

 2016年のゴールデングローブ賞アニメ部門にノミネートされるなど、高い評価の作品なのでタイトルくらいは知ってました。あの時は『君の名は。』がノミネートを逃したので特に記憶に残っているんですよね。

主人公のクボ君。三味線が得意。
見る前は音楽の物語かと思ってたら・・・違ってた(笑)
KUBO/クボ 二本の弦の秘密 予告編より画像引用
当ブログの画像引用について
(C)2016 Two String,LLC/© GAGA Corporation

 ただあまりキャラの絵柄に惹かれなかったし、あらすじもなんだか陰鬱な感じで積極的に見たいなぁという感じじゃなかったですね。

まあ評判になってるし、どんなものか見てみようかな・・・という感じで見にいきました。(せっかく近くの映画館でやってたので)

驚異のクオリティ!ストップモーションアニメ


 一応ストップモーション作品だってことは知ってはいたんです。人形を少しずつ動かして撮影するやつですよね?

 でも本当に?って感じで・・・今でも信じられないんですよ(笑)3DCGじゃないの?って。

この海原も実物をコマ撮りしているそうですが、
はっきり言って信じられないくらいリアル。
(C)2016 Two String,LLC/© GAGA Corporation

 信じられないほどの精巧さ、生き生きとした動きと表情。大波などの背景描写まで実物を使って撮影しているというのは、見ていても本当に信じられないくらい。『目を疑う』とはこのことですね。未だに本当に?って思ってる(笑)

 そのくらい最新の3Dアニメーションに見えるんですよね。メイキング映像があるのですが、鑑賞前に見ておけば良かった・・・と後悔しています(笑)

 上映中はずっと『やっぱりコレCGだよね?』って思ってたので。(VFX(視覚効果)はしているそうですが)

あまりに精巧すぎてCGと見分けがつかない皮肉 


 これだけ綺麗なストップモーションアニメだと、本当によくできた3Dアニメとの違いがわからなくなりますね。

 ディズニーピクサーの作品はあまりにリアルで本当に人形が動いているように見えるじゃないですか。逆にKUBOは人形とは思えないほど豊かな表情や動きでCGのように見えてしまう
最新の3Dプリンタで表情の一部を多数製作
なめらかなアニメーションを実現している
(C)2016 Two String,LLC/© GAGA Corporation

 両方が高いレベルに達しすぎると観客は『言われなきゃわからない』これって結構悩ましいというか皮肉な感じがしますね。

 現実の人形を使った作品は、むしろ一目でわかるくらいのクオリティーの方が、味わいが出るんじゃないか?って思いました。

リアルになりすぎると実在感が薄れる不思議


 例えば、クレイアニメ版のピングーですよね。今はNHKで3D版を放映していますが、古いクレイアニメ版も素朴さが良いですよね。一目で粘土をコマ撮りしていることがわかるので大変さが一目瞭然。でも可愛さは全く劣っていませんし、モノとしての実在感があります。

 また、2016年に日本で放映された『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀 』これは、台湾の人形劇を虚淵玄さんが日本アニメの文脈で再構築した作品。特撮やCGによる演出と合わせてかなり意欲的な作品でしたね。

見るからに人形劇な『Thunderbolt Fantasy 』
だが動きや角度で表情を表現できていて感情移入してしまう。
カット割りや構図の工夫で躍動感を表現している。
劇場版『Thunderbolt Fantasy 生死一劍 予告編』より
©Thunderbolt Fantasy Project

 一見すると素朴な人形劇ですが、よく見ると動きや表情に伝統的な技の素晴らしさがあり見応えがありました。動きはKUBOとは比べものにならないシンプルさですが、見ていると不思議と感情豊かに見えてくるんですよね。これは日本の文楽(人形浄瑠璃)と通ずる技だなぁと感心したものです。

 それに比べるとKUBOはあまりにもリアル。最新の3Dプリンタとコンピュータによる支援でありえないような美しい動きを実現しています。でも、だからこそ『実物としての存在感』が薄まっているように感じてしまいました。難しいですね。

 ちなみにストップモーション作品だと『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』(米1993年)が好きだったなぁ。(予告編はこちら

あくまでアメリカ映画として日本を描いている


 映像の凄さに対して、どうしてもこの作品で馴染めなかった部分。それは日本の描きかたなんですよね。ナイト監督は日本で過ごした幼少期の驚きを作品に込めたと聞きます。

 実際KUBOからは日本文化に対するリスペクト感はすごく伝わってくるんですよね。でもだからこそ感じる『強い違和感』が最後まで消えることがありませんでした。とはいえ細かいところなんですけどね。

 例えば、登場人物のほどんどが『つり目』で描かれていること。そして、役者のセリフや芝居がいかにもアメリカ的なこと。衣装や舞台は日本風を再現しているけど中身はアメリカ人という感じが拭えませんでした。

字幕版なら外国映画として素直に見られたかもしれない。
吹き替え版ではアメリカ的演技に強い違和感を感じてしまった。
アジア系アメリカ人が日本人の演技をしているように見える。
(C)2016 Two String,LLC/© GAGA

 書いてしまうと細かい話なんですが、精巧だからこそ細かい違和感が強く感じてしまうんですよね。町の愛情あふれる親子の演技、子を思う母の演技、いたるところで感じるディズニー的な演技が『アメリカ的価値観』を主張しているようでした。

ナイト監督を通した日本の描きかた


 だからダメってわけじゃないんですよ。この作品はあくまでアメリカ人監督によるアメリカ人に向けた作品というのが大前提なんだと思うんです。だからディズニー作品を見るのと同じスタンスで見るべきなんだろうなと。

 たとえばナイト監督の発言では、尊敬している宮崎 駿 監督についてこのように言っています。
宮崎は自身が魅了されるヨーロッパ的なものを統合して、自分のアートの中に織り込んでいる。(中略)宮崎がヨーロッパに対して行ったことを、僕は日本に対してやってみたかったんだ。(中略)僕なりの解釈を表現したかったんだよ。
KUBO公式ページ PRODUCTION NOTESより引用 © GAGA Corporation.

 宮崎駿さんがヨーロッパを舞台にしながら日本人に向けて作品を作ったように、まさにKUBOで描かれた日本は、アメリカ人であるナイト監督のフィルターを通した日本であるということですよね。

 それって逆に言えば宮崎作品を見た欧米人は違和感を感じないのか?って興味にもなるのですが・・・どうなんでしょうね。

欧米人に受け入れやすい形に変えた『日本』


 『侘び寂び』についても表現していると監督は言っていて、確かにそう感じる部分はあるんですよね。ただこれも、やっぱり外国人視点の日本文化、フランスでいう『Zen(禅)』と同じじゃないかなと思うんですよね。

 フランスのZenはすっかりフランス文化に取り込まれて独特の意味合いになっているそうですが、ナイト監督における『侘び』や『寂び』も監督自身が再解釈した『Wabi-Sabi』なのかもしれない。

逆にこのような非現実的なシーンは気にならなかった。
まさに監督のイメージする日本という感じで面白い。
(C)2016 Two String,LLC/© GAGA Corporation

 本来の意味はわかりにくいので、監督が噛み砕いて、誰にでも理解できる普遍的な価値観として提示している。だから『日本人以外の人』にはとても理解しやすいんでしょうね。

 『つり目』なのだって『顔立ちも日本人風にしなきゃ観客はわからない』と欧米人にとっての理解しやすさが優先されているのかもしれない。愛情表現の仕方だってアメリカ人が見ると何の違和感もない演技でしょうしね。

色々と考えさせられた作品


 今回吹き替え版を見たのですが、英語でしゃべってくれる字幕版だったらもう少し違和感が減ったかもしれないですね。なまじ日本語だから違和感強かったのかも。字幕版の予告を見たら雰囲気違いました。

 あ、ピエール瀧さんの演技は割と良かったですよ。ただ先日『アウトレイジ 最終章』を見たばかりだったので、どうしてもヤクザ役のピエール瀧さんが思い浮かんじゃいましたが(笑)

 KUBOはゴールデングローブ賞にノミネートされるのも当然の作品だなぁ・・・と思うと同時に、海外の人には『君の名は。』も併せて見てもらって、生の『日本人や文化』を知ってもらいたいな・・・なんて思いました。

 ディズニー作品が好きな人には素直に楽しめる作品かもしれませんね。自分はちょっと苦手なんですけどね。だから元々合わないのかも(笑)

 ただ、日本人や日本文化を別の視点から考えるきっかけになったし、精巧すぎるストップモーション作品の問題など、色々と新たな視点が得られる作品でした。


【参考リンク】
なぜ“日本”を舞台に選んだのか? 話題のアニメ大作『KUBO/クボ』監督が語る(ぴあ映画生活):ナイト監督の個人的な想いが語られたインタビュー。

KUBO/クボ 二本の弦の秘密』は全日本人が必見の大傑作!その素晴らしさを本気で語る!(シネマズ BY 松竹):KUBOを大絶賛なさっている映画ライターのヒタナカさん。私と反対に吹き替え版をオススメしているので参考に。

KUBO/クボ 二本の弦の秘密 公式サイト
http://gaga.ne.jp/kubo/

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