映画『若おかみは小学生!』を映画館で見てきました。もう思いっきり泣いてしまいましたね。突然のクライマックスからの畳み掛けるような感動・・・そして、あんな素晴らしいエンディング見せられたら、もう涙が止まらないじゃないですか!
明るくなっても涙が溢れてしまってすぐに立ち上がる事ができませんでした。もちろん子供向けらしさはありますが、親世代の30〜40代も激しく心を動かされる作品。これこそまさに『全年齢向け』と呼ぶにふさわしい作品ですね。
人が社会に包摂されていくとはどういう事なのか。悲しみを受け入れるとはどういう事なのか。今の私たちにとって花の湯温泉の物語は大切な寓話のように感じました。
素晴らしい動きと色彩でアニメーションとしてのクオリティーも抜群。長編作品を劇場版にまとめた挑戦的な構成にも脱帽です。原作小説もTV版も未見でしたが、思い切って見に行って良かったです!
※TV版・原作小説は未見での考察・解釈です。
※以下ネタバレのあるレビューですのでご注意ください。
どうしてあんなに泣いてしまったんだろう・・・見終わった後に思い返してみると不思議とよくわからなくなるんです。悲劇のおっこがかわいそうだから?いやいや、悲劇は最初からわかっていたじゃないですか。なんであんなに感動したんだろうか。
きっとそれは、見ている自分たちもおっこと同じような不思議な感覚にさせてくれるからだと思うんです。あれ?『お父さん、お母さん、いるじゃん』って。確かに死んだはずって・・・それは情報としては知っているんですよね。
でも、観客である自分たちにも死の実感がない。もしかして・・・何かのまちがいじゃ?奇跡が起こるんじゃ?って・・・この曖昧な感覚。なんだかまだ居るような感覚。これっておっこの感覚と同じじゃないですか?
でもだんだんと、ああ、やっぱり違うんだな。間違いじゃないんだなって。1時間かけて少しずつ納得していく。おっこと同じように自分たちもだんだん受け入れていく。
観客である私たちに、おっこの精神状態を追体験させているんです!これってすごくないですか?
だから、ラストのあのシーンで、おっこと同じように感情が爆発してしまう。1時間以上の積み重ねの結果、いつの間にか心がおっことシンクロしてしまっているから。
あのシーンだって、見てない人に言葉で説明したって全然ピンとこないはずなんです。あの積み重ねを経ているからこそ涙が溢れる。
94分という限られた時間の中で、長編の小説や、TVシリーズと同じ事はできない。でも映画ならできる事・・・それは94分間一気にその世界に没入させること。その特徴を最大限利用して観客の精神状態ををおっことシンクロさせていく。
だから単に悲しい出来事で感動したんじゃない。時間をかけて別れを受け入れていく過程をおっこと共有している。これは言葉では表現できないことですよ。
この離れ技を成功させる事で、単なる成長譚を超えて、より深く人の心を動かす作品になっているんだと。そしてそれに気づいた時、この作品の凄さにもう改めて感動してしまいました。
おっこの両親もきっと幽霊として存在していたんだろうなって、あれはただの夢じゃないと思うんですよね。あれは両親がおっこに見せた夢。
両親はきっと自分たちが死んだ事すら実感できなかったのかもしれない。だから夢でおっこといつもの生活をしていたのかな。でも時間が経ち、両親も運命を受け入れ、おっこが力強く生きている姿をみて別れの言葉をいえた。
それが『さよなら』ではなくて『一緒にいられなくてごめんな』っていうのが二人の無念を表している気がするんですよね。
見る前は、幽霊との別れが感動ポイントになるのかなぁ・・・って想像してたんですよね。あの予告編はホント出来が良いですよね。あれだけで感動しそうになるんだけど、絶妙にポイントずらしてネタバレ回避してるのがすごいね(笑)
でも霊との別れは、つまり霊が成仏できるって事。現世への未練から解放されるすごく前向きな事なんですよね。
ウリ坊も美陽ちゃんも『生まれ変わった後も絶対わかる』って言ってたから、生まれ変わりの様子も出るのかとちょっと期待しちゃいました。残念ながら本編では出なかったけどすごく想像が膨らみますよね。
きっと誰かの子供として再会できるのかなって・・・そういう展開は好きです。でもウリ坊はミネちゃんとちゃんとあの世で再会してからにしてほしいですけどね。
でも霊たちもやっぱり『花の湯温泉』に受け入れられて癒される存在だったのかな・・・と思うんですよね。この世への未練が断ち切れるまでいつまでだって受け入れてくれるような。
『花の湯温泉のお湯は、誰も拒まない、すべてを受け入れて癒してくれるんだって』という、このセリフ。予告編の時から印象的だったけど、ラストシーンでは何重にも心に響いてきました。
おっこが頑張って人を助けるのもこの言葉のおかげ、でもおっこ自身も花の湯温泉に受け入れられ、癒されていたんですよね。
両親といた頃は3人だけの家族で、それはそれで幸せだったけど、失ったときはひとりぼっち。社会から切り離されたおっこ。もちろん日本では彼女を保護する仕組みはあります。
でも単に保護されるとか、支援されるだけじゃ人間は幸せに生きていけない。役割があり、社会で存在しているという実感があって人は力強く生きていける。
それって、どんな人も社会の一員として取り込んでいくという『社会的包摂』の考え方なんですよね。これからの日本にはとても大事な考え方だと思ってるんだけど、こんなに分かりやすい形で表現されている事に感動しました。
鑑賞後に監督のコメントを読んで痺れました。
これは悪用すれば、昨今のブラック企業における『やりがい搾取』に繋がる怖い考えです。事実、今の社会では少し避けられている考えかもしれません。直感的に嫌な印象を感じる人も(自分を含めて)少なくないと思うんですよね。
でも本来は人間の生き方として、とても大切な考えなはず。この作品はその描き方が本当にうまいと思うんです。
この作品は決して『滅私奉公』的なものを美化しているのではなく『役割』が人間の支えになるということを描いているんだ・・・そう解釈しました。だから自分にも抵抗なく受け入れられたんだと思います。
見終わった後にこのコメントを読んだときは唸らされましたね。逆に見る前に読んでたら・・・『厳しい修行の成長物語』みたいに誤解して見に行かなかったかも(笑)ちょっと危険なコメントですね。
それにしてもエンディングは素晴らしかったですね。本編のカットをあえて手書きスケッチで入れていく演出。楽曲と相まって最高でした。カット数もふんだんに入ってるので、涙を流しながらも必死で目を開いてました(笑)
止め絵なんだけどものすごくいい味なんですよね。絵を見てるだけで涙が出てきます。それにあの楽曲。藤原さくらさんの『また明日』。いいですよね。
ほのぼのとした感じの曲で導入部は感動とはちょっと違うんだけど、あのサビが流れると・・・もうやばい(笑)本当にあのエンディングとぴったりでした。
このカット入れるエンディングは他のアニメでもやってほしいですね。
声優さんは関織子こと『おっこ』役の小林星蘭さんが良かったですね。まだ12歳だそうですが子役としてのキャリアは長いんですね。ホント魅力的でした。子供っぽさとプロっぽさが同居した独特の雰囲気。
子役って上手すぎてちょっと違和感を感じる事もあるけど、この作品に限ってはもうピッタリ!頑張り屋で良い子過ぎるくらい良い子なおっこには、演技上手な子役の雰囲気とものすごい合ってると思うんですよね。
子役といえば幽霊の美陽ちゃん役の遠藤璃菜さんも12歳なんですね。この人は『甘々と稲妻』のつむぎ役だったそうで、どうりで上手なわけですね。声優さんかと思いました。TV版では日高里菜さんだったそうですが、自分は未見だったので素直に入る事ができましたね。
他の出演者はタレントさんが多かったですが、全然違和感を感じませんでした。作品に馴染んでるんですよね。確かに、声優さんじゃないだろうな・・・とは感じましたが作品の邪魔をしない声でしたね。
むしろ最後の客である木瀬文太役の山寺宏一さんは『昭和元禄落語心中』の助六が思い浮かんじゃいましたね。まあちょっと雰囲気かぶってるので良いんですけどね。
この作品のタイトルや絵柄もあって、やっぱり見る前はちょっと抵抗ありました。キャラクターも子供向けを超えて幼児向けっぽいし。美陽ちゃんなんか特にね。大人が見ちゃダメなやつかなって。
でも実際に本編を見ると、アニメーションとしてのクオリティーの高さに子供向きなんて事は忘れてしまいました。素晴らしく生き生きとした動き!それに美しい色彩!特に色彩の美しさは見所だらけの作品といっても良いですね。
この作品は公開と前後してTVシリーズ24話が完結。そちらもすごい高評価だったみたいですね。自分は全くの未見でしたが、逆にそのおかげで素直に映画の世界を受け入れられたのかもしれません。
もちろん子供向け作品には違いないのですが、間違いなくアニメーション映画として今見るべき作品の一つです。できれば映画館で思いっきり没入して見たい作品。
思いっきり泣きましたが、決して辛く悲しい涙じゃない。とても清々しい前向きな涙。説教くさい話が大嫌いなひねくれ者の自分にも素直になれてしまう。素晴らしい作品でした!
原作:令丈ヒロ子
監督:高坂希太郎/脚本:吉田玲子
美術監督:渡邊洋一/色彩設計:中内照美
制作会社:DLE/マッドハウス
映画『若おかみは小学生』公式サイト
https://www.waka-okami.jp/movie
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明るくなっても涙が溢れてしまってすぐに立ち上がる事ができませんでした。もちろん子供向けらしさはありますが、親世代の30〜40代も激しく心を動かされる作品。これこそまさに『全年齢向け』と呼ぶにふさわしい作品ですね。
予告編より画像引用(当ブログの画像引用について) ©令丈ヒロ子・亜沙美・講談社/若おかみは小学生!製作委員会 |
人が社会に包摂されていくとはどういう事なのか。悲しみを受け入れるとはどういう事なのか。今の私たちにとって花の湯温泉の物語は大切な寓話のように感じました。
素晴らしい動きと色彩でアニメーションとしてのクオリティーも抜群。長編作品を劇場版にまとめた挑戦的な構成にも脱帽です。原作小説もTV版も未見でしたが、思い切って見に行って良かったです!
映画『若おかみは小学生!』本予告(公式)
この予告編は素晴らしい出来ですね!これを見て見に行く気になりました。
この予告編は素晴らしい出来ですね!これを見て見に行く気になりました。
※TV版・原作小説は未見での考察・解釈です。
※以下ネタバレのあるレビューですのでご注意ください。
どうしてここまで感動するのだろう
どうしてあんなに泣いてしまったんだろう・・・見終わった後に思い返してみると不思議とよくわからなくなるんです。悲劇のおっこがかわいそうだから?いやいや、悲劇は最初からわかっていたじゃないですか。なんであんなに感動したんだろうか。
きっとそれは、見ている自分たちもおっこと同じような不思議な感覚にさせてくれるからだと思うんです。あれ?『お父さん、お母さん、いるじゃん』って。確かに死んだはずって・・・それは情報としては知っているんですよね。
でも、観客である自分たちにも死の実感がない。もしかして・・・何かのまちがいじゃ?奇跡が起こるんじゃ?って・・・この曖昧な感覚。なんだかまだ居るような感覚。これっておっこの感覚と同じじゃないですか?
曖昧な形で現れる両親 おっこと同じように観客も不思議な気分になっていく ©令丈ヒロ子・亜沙美・講談社/若おかみは小学生!製作委員会 予告編より画像引用(当ブログの画像引用について) |
でもだんだんと、ああ、やっぱり違うんだな。間違いじゃないんだなって。1時間かけて少しずつ納得していく。おっこと同じように自分たちもだんだん受け入れていく。
観客である私たちに、おっこの精神状態を追体験させているんです!これってすごくないですか?
別れを受け入れる過程をおっこと共有していたから
だから、ラストのあのシーンで、おっこと同じように感情が爆発してしまう。1時間以上の積み重ねの結果、いつの間にか心がおっことシンクロしてしまっているから。
あのシーンだって、見てない人に言葉で説明したって全然ピンとこないはずなんです。あの積み重ねを経ているからこそ涙が溢れる。
感動の理由は言葉では表せない ©令丈ヒロ子・亜沙美・講談社/若おかみは小学生!製作委員会 |
94分という限られた時間の中で、長編の小説や、TVシリーズと同じ事はできない。でも映画ならできる事・・・それは94分間一気にその世界に没入させること。その特徴を最大限利用して観客の精神状態ををおっことシンクロさせていく。
だから単に悲しい出来事で感動したんじゃない。時間をかけて別れを受け入れていく過程をおっこと共有している。これは言葉では表現できないことですよ。
この離れ技を成功させる事で、単なる成長譚を超えて、より深く人の心を動かす作品になっているんだと。そしてそれに気づいた時、この作品の凄さにもう改めて感動してしまいました。
『一緒にいられなくてごめんな』
おっこの両親もきっと幽霊として存在していたんだろうなって、あれはただの夢じゃないと思うんですよね。あれは両親がおっこに見せた夢。
両親もまた霊としておっこのそばにいたのかもしれない 声は鈴木杏樹さんと薬丸裕英さんが担当 ©令丈ヒロ子・亜沙美・講談社/若おかみは小学生!製作委員会 |
両親はきっと自分たちが死んだ事すら実感できなかったのかもしれない。だから夢でおっこといつもの生活をしていたのかな。でも時間が経ち、両親も運命を受け入れ、おっこが力強く生きている姿をみて別れの言葉をいえた。
それが『さよなら』ではなくて『一緒にいられなくてごめんな』っていうのが二人の無念を表している気がするんですよね。
この世への未練から解放されるまで
見る前は、幽霊との別れが感動ポイントになるのかなぁ・・・って想像してたんですよね。あの予告編はホント出来が良いですよね。あれだけで感動しそうになるんだけど、絶妙にポイントずらしてネタバレ回避してるのがすごいね(笑)
でも霊との別れは、つまり霊が成仏できるって事。現世への未練から解放されるすごく前向きな事なんですよね。
幽霊の美陽とウリ坊、小鬼の鈴鬼 霊たちの生き生きとした(笑)動きも見所 ©令丈ヒロ子・亜沙美・講談社/若おかみは小学生!製作委員会 |
ウリ坊も美陽ちゃんも『生まれ変わった後も絶対わかる』って言ってたから、生まれ変わりの様子も出るのかとちょっと期待しちゃいました。残念ながら本編では出なかったけどすごく想像が膨らみますよね。
きっと誰かの子供として再会できるのかなって・・・そういう展開は好きです。でもウリ坊はミネちゃんとちゃんとあの世で再会してからにしてほしいですけどね。
でも霊たちもやっぱり『花の湯温泉』に受け入れられて癒される存在だったのかな・・・と思うんですよね。この世への未練が断ち切れるまでいつまでだって受け入れてくれるような。
花の湯温泉のお湯は・・・
『花の湯温泉のお湯は、誰も拒まない、すべてを受け入れて癒してくれるんだって』という、このセリフ。予告編の時から印象的だったけど、ラストシーンでは何重にも心に響いてきました。
おっこが頑張って人を助けるのもこの言葉のおかげ、でもおっこ自身も花の湯温泉に受け入れられ、癒されていたんですよね。
地域の一員となった象徴としての神楽 動きや色彩も本当に素晴らしい。 ©令丈ヒロ子・亜沙美・講談社/若おかみは小学生!製作委員会 |
両親といた頃は3人だけの家族で、それはそれで幸せだったけど、失ったときはひとりぼっち。社会から切り離されたおっこ。もちろん日本では彼女を保護する仕組みはあります。
でも単に保護されるとか、支援されるだけじゃ人間は幸せに生きていけない。役割があり、社会で存在しているという実感があって人は力強く生きていける。
それって、どんな人も社会の一員として取り込んでいくという『社会的包摂』の考え方なんですよね。これからの日本にはとても大事な考え方だと思ってるんだけど、こんなに分かりやすい形で表現されている事に感動しました。
監督のコメントに痺れた!(本項 追記)
鑑賞後に監督のコメントを読んで痺れました。
この映画の要諦は「自分探し」という、自我が肥大化した挙句の迷妄期の話では無く、その先にある「滅私」或いは仏教の「人の形成は五蘊の関係性に依る」、マルクスの言う「上部構造は(人の意識)は下部構造(その時の社会)が創る」を如何に描くかにある。
主人公おっこの元気の源、生き生きとした輝きは、春の屋旅館に訪れるお客さんに対して不器用ではあるが、我を忘れ注がれる彼女の想いであり、それこそがエネルギーなのである!(後略) - 公式サイト 監督: 高坂希太郎氏コメント より引用
これは悪用すれば、昨今のブラック企業における『やりがい搾取』に繋がる怖い考えです。事実、今の社会では少し避けられている考えかもしれません。直感的に嫌な印象を感じる人も(自分を含めて)少なくないと思うんですよね。
でも本来は人間の生き方として、とても大切な考えなはず。この作品はその描き方が本当にうまいと思うんです。
この作品は決して『滅私奉公』的なものを美化しているのではなく『役割』が人間の支えになるということを描いているんだ・・・そう解釈しました。だから自分にも抵抗なく受け入れられたんだと思います。
見終わった後にこのコメントを読んだときは唸らされましたね。逆に見る前に読んでたら・・・『厳しい修行の成長物語』みたいに誤解して見に行かなかったかも(笑)ちょっと危険なコメントですね。
エンディングの素晴らしさ
それにしてもエンディングは素晴らしかったですね。本編のカットをあえて手書きスケッチで入れていく演出。楽曲と相まって最高でした。カット数もふんだんに入ってるので、涙を流しながらも必死で目を開いてました(笑)
止め絵なんだけどものすごくいい味なんですよね。絵を見てるだけで涙が出てきます。それにあの楽曲。藤原さくらさんの『また明日』。いいですよね。
藤原さくら 「また明日」 (short ver.)(公式)
ほのぼのとした感じの曲で導入部は感動とはちょっと違うんだけど、あのサビが流れると・・・もうやばい(笑)本当にあのエンディングとぴったりでした。
このカット入れるエンディングは他のアニメでもやってほしいですね。
本当にピッタリな小林星蘭さんの演技
声優さんは関織子こと『おっこ』役の小林星蘭さんが良かったですね。まだ12歳だそうですが子役としてのキャリアは長いんですね。ホント魅力的でした。子供っぽさとプロっぽさが同居した独特の雰囲気。
子役って上手すぎてちょっと違和感を感じる事もあるけど、この作品に限ってはもうピッタリ!頑張り屋で良い子過ぎるくらい良い子なおっこには、演技上手な子役の雰囲気とものすごい合ってると思うんですよね。
現実離れするほど良い子のおっこ 子役ならではの演技がうまく噛み合っている ©令丈ヒロ子・亜沙美・講談社/若おかみは小学生!製作委員会 |
子役といえば幽霊の美陽ちゃん役の遠藤璃菜さんも12歳なんですね。この人は『甘々と稲妻』のつむぎ役だったそうで、どうりで上手なわけですね。声優さんかと思いました。TV版では日高里菜さんだったそうですが、自分は未見だったので素直に入る事ができましたね。
他の出演者はタレントさんが多かったですが、全然違和感を感じませんでした。作品に馴染んでるんですよね。確かに、声優さんじゃないだろうな・・・とは感じましたが作品の邪魔をしない声でしたね。
むしろ最後の客である木瀬文太役の山寺宏一さんは『昭和元禄落語心中』の助六が思い浮かんじゃいましたね。まあちょっと雰囲気かぶってるので良いんですけどね。
最後に:今見るべきアニメーション映画の傑作
この作品のタイトルや絵柄もあって、やっぱり見る前はちょっと抵抗ありました。キャラクターも子供向けを超えて幼児向けっぽいし。美陽ちゃんなんか特にね。大人が見ちゃダメなやつかなって。
でも実際に本編を見ると、アニメーションとしてのクオリティーの高さに子供向きなんて事は忘れてしまいました。素晴らしく生き生きとした動き!それに美しい色彩!特に色彩の美しさは見所だらけの作品といっても良いですね。
色彩の素晴らしいシーンが沢山あるのも魅力 高坂監督自身が色彩にこだわりのある方みたいですね。 ©令丈ヒロ子・亜沙美・講談社/若おかみは小学生!製作委員会 |
この作品は公開と前後してTVシリーズ24話が完結。そちらもすごい高評価だったみたいですね。自分は全くの未見でしたが、逆にそのおかげで素直に映画の世界を受け入れられたのかもしれません。
もちろん子供向け作品には違いないのですが、間違いなくアニメーション映画として今見るべき作品の一つです。できれば映画館で思いっきり没入して見たい作品。
思いっきり泣きましたが、決して辛く悲しい涙じゃない。とても清々しい前向きな涙。説教くさい話が大嫌いなひねくれ者の自分にも素直になれてしまう。素晴らしい作品でした!
原作:令丈ヒロ子
監督:高坂希太郎/脚本:吉田玲子
美術監督:渡邊洋一/色彩設計:中内照美
制作会社:DLE/マッドハウス
映画『若おかみは小学生』公式サイト
https://www.waka-okami.jp/movie