というのも、自分も中年になって聴力も衰え始めてるわけで・・・。ハイレゾ用に高額な機器とソフトを用意する意味があるのかなぁ・・って思うんですよね。
ハイレゾじゃないけどStereo誌(2010)付録のFostex P650 再生帯域はf0~20kHzだけど高音域は聞こえているのか? 中高年のオーディオファンにとって気になるのが聴力 |
ハイレゾの特徴はCDを超える超高音域と巨大なデータ量による細かな表現。
わかりやすいのが超高域ですよね。『ハイレゾ対応』って機器の多くが超高音を再生できますって事だったりするし。
CDを越える20kHz(2万Hz)以上の高音(40kHz位)を再生できるというやつですが、人間の可聴領域はせいぜい22kHzなんだから無駄じゃない?とたびたび論争になりますよね。
でも、そもそも中高年になったらCDの20kHzだって聞こえなくなるわけで。中年以降はオーディオが楽しめなくなるとしたら・・・ちょっと怖いですよね。
今回は高音の聴力とオーディオの関係について調べてみました。
自分の聴力を検査してみる
聴力検査といえば健康診断ですが、実は病院での聴力検査は『8kHz以下』しか検査しないそうです。つまり8kHz以上の高音は『日常生活で必要性が低い』ので検査しないんだそうです。(参考:神尾記念病院)
でもオーディオ的には8kHzじゃあ話にならないですよね(笑)今はカンタンに検査できるスマホアプリも出ています。また、このブログでもスピーカー測定用の音源を公開しています。
(参考:ブラウザですぐ聴けます)スピーカー聴感測定用テストデータ1(高音域の部)/(中音域の部)/(低音域の部)
耳年齢を測ろう! スマホアプリ
色々あるけどiOS5以降対応で、iPodToch 4th でも使えるアプリ(無料)
15kHzまでしか聞こえない世界とは・・・?
検査の結果驚愕の事実が!というか予想どおりなのですが(笑)自分の聴覚は15kHzがやっとでした。がっくり。
このアプリでは15kHzが聞こえれば30歳以下という認定みたいですが・・・まあ40代前半としては普通みたいですね。
(測定結果)ギャー、頑張って15kHzがやっと。 なんと奥さんは同年代なのに19kHzが聞こえる・・・。 © AxIS Co. Ltd |
おそらく10代の頃はもっと聞こえていたはずだから、その頃から考えるとかなり落ちている聴力・・・それでは15kHzまでしか聞こえない世界とはどんなものなのか!知りたくないですか?
一言で言えば、『とくに変わらない』ですね・・・あはは。微妙に老眼を感じている視力に比べると日常生活では全くと言っていいほど認識できません。
聴覚の衰えは自覚できるのか?
じゃあオーディオ的にはどうなのか?と言われると、これもかなり微妙・・・。今でこそアニソン中心に聴いてますが、吹奏楽部だったので若いころはクラッシックまで幅広く聴いていました。
その当時のソフトを聴いても自覚は難しいですね。確かにもう少しシンバルに華やかさが欲しいと思ったり、ちょっと満足できない感もあったりもします。
でもなぁ、使っている機材のグレードがねぇ(笑)妥協して買った機材なので、前から不満はあったんですよね。『シンバルの華やかさ』なんて結構レベルの高い話じゃないですか。これがすべて聴覚のせいかと言われると・・・どうでしょう?
音楽を聞く時はヘッドホンで集中して聞くことも多いのですが、聴力の劣化を自覚できているかといえば・・・・しているような?気もする・・・程度のかなり微妙な感覚です。
明らかに15kHz以上は聞こえてないのに、どうしてこれほど自覚が無いんでしょう?
楽器の音の範囲って結構せまい?
15kHzだの20kHzだの数字で言われてもピンと来ませんが、実際の楽器の音程範囲はどうなのでしょうか。
下記の引用先によると、極めて広い範囲をカバーできるピアノですら上限4kHzほど。ソプラノ歌手も1kHzくらいまでが一般的なようで意外と低いんですね。
『CDは20kHzという超高域まで記録・再生できるにもかかわらず20kHzまでの超高音出せる楽器は存在しない。楽器の中でももっとも広い音域を誇るピアノであっても一般的な88健では最低音(Aまたはラ)が約27Hz、最高音(Cまたはド)も約4200Hzでしかない。』#1: 音の周波数帯域とは何かを知ろう - カーオーディオ情報サイト・マイカーライフ より引用
copyright © Mycar-life.
ピアノ:最低音 27Hz - 最高音 4186Hz(約4.2kHz)
これを聞くと15kHzどころか10kHzだって必要ないじゃん!と思いそうですが、実際には楽器の音には倍音成分が含まれるのでもっと高い音も発生するんですね。
倍音成分は高域まで伸びている
実際に倍音成分を測定したのが下記の引用先。鍵盤楽器で和音を弾いたところ、出した音の音域以外まで幅広く音が測定できた事が書いてあります。
弾いた和音は130Hzから520Hz(0.13-0.52kHz)程度の低めの音です。しかしグラフを見ると1,000Hz(1kHz)を超え、遥かに高域の20kHzまで倍音成分が観測されています。特にグランドピアノ(緑)は高域の倍音成分が豊かであることがわかりますね。
『和音を同じような強さで弾いてもらいました。和音は真ん中のドを中心とした和音、記号で言えば、C3、C4、E4、G4、C5の和音です。』グランドピアノと電子ピアノの音の周波数を計測してみました- (株)ふくろう不動産 より引用
Copyright © (株)ふくろう不動産
簡易測定とはいえ、楽器の基音域だけ聞こえれば十分とは言えないのは確かなようです。
でも逆に考えると、倍音成分が多少削られる程度なわけで、楽器や音声の音域は15kHzも聞こえれば十分との見方もできますね。
聞こえない高音の意味はあるのか
とりあえず15kHz以上の超高域が聞こえなくてもオーディオ的には不満なく楽しめる感じです。じゃあ聞こえない高音にこだわる意味あるの?という事ですよね。
『超音波を体で感じる』という説もありますが個人的にはあまり賛同できないんですよね。
一つわりと納得できる説としては『超高域の信号がそれ以下の帯域信号の質に影響する』という説。超高域を記録することによる可聴範囲の信号に対する影響については考慮する必要はあるかもしれません。
実際下記のような意見もありますし、オーディオ工作でも超高域ノイズの可聴領域への影響を考えると、一概には否定できないよなぁと思ったりします。
楽器の録音の場合も同様で,不可聴域の成分が録音されていると,再生時に可聴域の音に影響を及ぼすということが言えます。(中略)
人間性能については,部屋や耳や空気も非線形な性質を含んでいるので,「20kHz以上の音波が聞こえなくても,20kHz以上の成分が含まれた音源の聴き分けはできる」という人や環境が存在する可能性は,そんなこんなで十分信じるに値します.
96kHz録音の意義について - 宅録チェリストの憂鬱
まあ素人なんで分からないですけどね。この辺は簡単な測定では判断がつかないですし、本格的な調査もできないので。とは言え経験則も無視できないのかなぁと思います。
高齢になってもオーディオを楽しめるのか
結論から言えば、多少高音が聞こえなくても十分オーディオは楽しめるって事ですね。少なくとも40代で16kHz以上が聞こえない自分としてはそういう感想です。まあ、50代・60代となるとどうなるかはわかりませんが。
音のリアリティというのは高音の伸びだけでなくて、S/N比などの微細音の表現も重要なわけで、ハイレゾのもう一つの特徴はそこですからね。可聴領域の微細音の表現がわかればハイレゾの意味はあるわけですよね。
でもそれを聞き分けるには聴力以上に良い機材が必要なので・・・『高音が出るだけ』のハイレゾじゃなくて、本当に高品質な機材とソフトが必要になるのかなぁと思います。
もちろん、若い頃ならもっと良いんでしょうけどね。聴力の良い若い頃にオーディオを楽しんでおくのは大切だと思います。
若い人がちょっとムリしても良い機材で高音質を狙うのは、とても合理的な判断だと思います。高級オーディオは老後の楽しみに・・・なんてちょっとナンセンスですよね。
次回はハイレゾの微細音について着目した記事を書いてみたいですね。そしてハイレゾ体験談も書く予定です〜!
No comments:
Post a Comment