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ニンジャバットマン 感想(短評):熱すぎるハイクオリティー作品

ニンジャバットマン』を映画館で鑑賞してきました。神風動画の初長編ということで見ましたが、バットマンは全然詳しくない自分でも自然とわかる構成で一安心。
予告編より画像引用
当ブログの画像引用について
© & ™ DC Comics.© 2018 Warner Bros. Entertainment

 テンポ良い前半はかなり引き込まれましたが、正直ストーリー的には自分の好みと違うかな・・・超展開は嫌いじゃないんだけどね。少年漫画的なクライマックスはついてけない感じ。まあバットマンに関心が低いんだから仕方ないかもだけど。

 でも神風動画らしい大胆な演出はよかったしクオリティは高いので見応えある作品でした。水崎淳平監督がまた長編を作ったら見に行っちゃうと思います。

映画『ニンジャバットマン』30秒予告
Warner Bros.(公式配信)

ネタバレを含むレビューとなりますのでご注意ください。


神風動画の制作だったので


 バットマンは実はほとんど知らないんですよね。『バッド』マンだと思ってたほどで、ちゃんと見た経験ないかも。今回も事前の情報ではじめて『バットマンは超能力を使う超人ではなく秘密道具で活躍する人間』だと知ったくらいです。
バットマン達が江戸時代にタイムスリップ
江戸の町の描きかたは美しいが意外と場面は少ない
© & ™ DC Comics.© 2018 Warner Bros. Entertainment

 ファンでも無いのに見に行ったのは神風動画の制作だったからなんですよね。最近だと『ポプデピピック』が有名ですが『ガッチャマン クラウズ インサイト』のオープニングがとても好きでした。

 すごく工夫した映像表現をするイメージだったので、初の長編作品と聞いて興味がありました。そういう意味では見応えある作品でしたね。

違和感のないキャラの動きと美しい映像


 3Dキャラですがホント違和感が少なくてキレイでしたね。3Dらしさも良い意味で残しながらも2次元になじんでました。この辺のさじ加減は素晴らしいですね。動きも滑らかで殺陣(タテ)の美しさがすごく印象的でしたね。
お人形感を感じさせないダイナミックな動き
3Dっぽさを感じながらも違和感が少ない
© & ™ DC Comics.© 2018 Warner Bros. Entertainment

 背景も和風モダンなデザインとアメコミの雰囲気が渾然一体となったデザイン。前半は空を波の模様と重ねていて面白いなと思いました。

 最後までこのデザインっぽい雰囲気でやるのかな?と思わせて、バットマンの再起と共に変わるという演出も良かったですね。フッと空気感が変わって、あれはすごいなと思います。

突然の水彩タッチの演出にビックリ!


 もうひとつ何と言ってもファーマーのシーンですよね。なに突然『かぐや姫の物語』になってんだよ!って思う渋さ。水彩風の穏やかなタッチに暴力のアンバランス。あの演出はよかったな。

 ジョーカーもすごいけど、特にハーレイ・クインがね(笑)馴染みすぎだろってくらい農民に馴染んでるのでわかりませんでした。ジョーカーが日本人を娶ってるのかと一瞬思ってしまった。
このハーレイ・クインが・・・まさか。
© & ™ DC Comics.© 2018 Warner Bros. Entertainment

 一種異様なシーンだけど、確かにあの演出は効果的でしたね。最後の覚醒シーンの異様さがすごく強調されました。


盛り上がりとは裏腹に・・・


 クライマックスの超展開な感じも嫌いじゃ無いんですけどね。以前ノイタミナでやってた『サムライフラメンコ』を思い出しましたね。アレは世間では割と酷評だったけど自分的には好きでした。1周回って面白い的な良さがありました。
いかにも日本アニメ的な超展開
しかし外国人にもわかるようなストレートな構成
© & ™ DC Comics.© 2018 Warner Bros. Entertainment

 ただ、本作はあまり裏の無いストレートな熱さっていうか、少年誌的なノリがちょっとついていけなかったかな?1周回って面白いみたいな構成では外国人は理解できないでしょうし。

 この辺はバットマンファンならキャラクター勢揃いな感じが楽しめるのかもしれないですけどね。

 終盤にかけてのクライマックスは盛り上がりと裏腹に単調に感じてしまいました。キルラキル中嶋かずき氏脚本ということですが、キルラキルは好きなんですけどね。

 熱さと勢いって意味で共通していますが。この辺はTVアニメと劇場版の違いですかね。監督の方針ってのもあるんでしょうけど・・・イマイチ乗れませんでした。

水崎淳平監督の作品はまた見たいな


 まあでも『バットマン』というビッグタイトルの作品ですしね。アメリカの上映では『10点と1点が多いという狙い通りの結果』ということで、無難に作らないという姿勢は成功しているし応援したいですね。
ORICON NEWS - 長編アニメ映画『ニンジャバットマン』が本場アメリカで“狙い通り”の賛否両論?「卵をぶつけられるかも」
今回は好みに合わなかったけど、また神風動画や水崎淳平氏の新作があれば見たいと期待出来るクオリティの高い作品でした。

※ちなみに水崎監督は神風動画の社長。下記は2013年のインタビュー記事です。ホワイトな職場環境を目指しているのは興味深いですね。
日本にフルCG アニメは根付くのか? - EE.jp
監督:水崎淳平
脚本:中島かずき
制作:神風動画/YAMATOWORKS

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映画『あさがおと加瀬さん。』感想:百合アニメの概念を壊してくれた青春ラブストーリー!

あさがおと加瀬さん。』を映画館で鑑賞してきました。

 予告では『百合アニメ』って印象だったけど、本当にド直球に恋を描いた作品でビックリ!熱くて瑞々しい青春の空気感がすっごく伝わってきましたね。

 同性カップルをことさら強調していないのもすごく良くて、人を好きになる事の本質は同じだって事を、言葉より何倍も説得力を持って表現しています。


何度も見たくなる素敵な予告編
サビからのときめく展開が最高すぎますね。

 恋愛は世界を輝かせてくれるという一貫したメッセージで、恋の『切なさ』というより『喜び』に焦点を絞っている気がしますね。

 ドラマ性という点で物足りないと感じる人もいるかもしれないけど、逆にこの割り切りがすごく良かったです。わずか1時間弱の作品ですが、青春の機微がたくさん詰まった気持ちのいい作品でした。

ネタバレがあるレビューですので未見の方ご注意ください。
※原作コミックは未読です。

このキスシーンの描き方はホント好き


 のっけから何ですが、バス停の最初のキスシーン。これすごく印象に残ったんですよね。突然のキスシーンなんだけどすごく自然なんですよね。

 『突然のキスシーン』って実写でもアニメでも良くありますが、どうしても非現実的というか・・・芝居じみてると思うことが多かったんですよね。

 でもこのキスシーンは違う。強引なようで優しい、本当にすごく自然に、でも突然の衝動で思わずキスをせずにはいられない!という感じが、すっごくうまいですね。
予告にもあるこのシーンもよかったね。
山田がスッと倒れる動きからの流れが最高!
予告編より引用(当ブログの画像引用について
©2018 高嶋ひろみ・新書館/「あさがおと加瀬さん。」製作委員会

 この丁寧な描き方。ちょっとした動きの違いかもしれないけど、型どおりの作品にはしないっていう制作陣のこだわりを感じました。

自分の固定観念を打ち壊すストーリー


 もう一つ驚いたのは『同性である事』が全くと言って良いほど強調されていないストーリー展開ですね。

 こっちは『百合作品』だと思って見に行ってますからね。当然『私たち女同士なのに・・・』的な苦悩が軸になるのかな?と思うじゃないですか。

 そしたら、そういうの全然ないんですよね。これはビックリしました。
学校は女子校ではなく共学
友人の三河も『同性』である事に特に触れない
©2018 高嶋ひろみ・新書館/「あさがおと加瀬さん。」製作委員会

 苦悩があるとすれば相手が『同性』だからでなくて『人気者』な所なんですよね。人気者と付き合う事の苦悩。もう異性カップルと全く同じ

 もう自分のステレオタイプっていうんですか?固定観念を壊してくれた気がします。

 同性カップルを描くなら『同性だからこその悩みを描くのが当然』みたいな偏見がありましたね。人を好きになるのに本質的な違いはないって・・・言葉では理解していても感覚的に理解していなかったな・・・って。

 これに気付いた時ちょっと感動しちゃったんですよね。こういう伝え方もあるんだって。

 もちろんLGBTの抱える問題を訴える作品があっても良いし、それも大切だと思うんです。でも言葉だけではうまく伝わらないメッセージもあるわけで。

アニメーションだから伝えられること


 こういうのって、実写だと生々しすぎてストレートに伝わらないと思うんですよ。アニメってすごく抽象化できるじゃないですか。

 抽象化された世界だからこそ余計な情報を持たせずにストレートに伝える事ができる。アニメの特性が活かされているからこそ実現できた気がしますね。
ボーイッシュだけど優しくて人気者
性別問わず受け入れやすい加瀬さんというキャラクター
©2018 高嶋ひろみ・新書館/「あさがおと加瀬さん。」製作委員会

 加瀬さんっていう人物はまさに典型で、こういうキャラクターを女優さんが演じてもなかなか難しい気がするんですよね。見てる方も女優さんとしてみてしまうしね。キスシーンだって生々しく感じちゃう。

 この作品には余計な引っかかりがなくて、だからストレートにメッセージが届くんですよね。そこにアニメーションの可能性を見る事ができた気がします。

人として最もエネルギッシュな部分


 もう一つい良いと持ったのは恋愛を徹底的にポジティブに描いている所。

 『両想い』なんて概念(笑)をすごく久しぶりに認識したけど、自分の好きな相手が、自分を好きでいてくれるという天にも昇るような喜び!

 これがどんなに奇跡みたいなことか。この嬉しさが本当によく伝わってきました。
予告を見た時は山田の片思いかと思った。
加瀬さんも好きになる訳だ、と納得のかわいさ。
©2018 高嶋ひろみ・新書館/「あさがおと加瀬さん。」製作委員会

 世界が輝いて見えるような感じ。目の前の彼女が全てという感覚。視野が狭いとか、いっときの感情とか・・・訳知り顔の大人がバカにしそうな世界。

 でも人間として最もエネルギッシュな部分なのは間違いなくて、そこをバカにしてきた結果が今の社会のような気がするんですよね。

百合はラブストーリーを素直に伝えることができる


 でも、もし加瀬さんが『人気者のイケメン彼氏』だったら・・・男性にとっては引いてしまうというか、ちょっと斜に構えてしまうと思うんですよね。素直に見ることができない気がする。
加瀬さんがハイスペック男子だったら
女子向け作品だと思って男性には伝わりにくい。
恋の喜びを伝えるには百合であることが重要。
©2018 高嶋ひろみ・新書館/「あさがおと加瀬さん。」製作委員会

 でも加瀬さんが女性なことで、男性にとってもストレートに伝わる!いくらハイスペックでも気にならない。これってすごい発明だなぁ・・・って感動してしまいました。

匂いに注目したのは素晴らしい!


 全編を通じて夏の匂いを感じるような映像でしたね。でも、匂いと言えば山田が加瀬さんの匂いにうっとりするシーンとかホントよかった。
このシーンはギャグっぽいけど
加瀬さんの匂いのシーンと対になっていた
匂いは記憶や本能に直結した要素だと思う
©2018 高嶋ひろみ・新書館/「あさがおと加瀬さん。」製作委員会

 匂いって本能に直結する感じがして、こうやって描かれるとホントやばいくらいビビっときます。(中二病1期の『勇太の匂いがする』のセリフも大好きだったりしますが)

 人間の本能に直結してるのかな?ここをちゃんと描いていることで、すごく恋愛のリアリティを補強してる気がしました。

同性だからこそのギャップが味付けに


 さんざん同性カップルを意識させないと書いていてアレですが、だからこそ逆に『同性だからこそのギャップ』のシーンが光りましたね。

 一番はやっぱりお風呂のシーンですね。異性カップルではありえないシチュエーションで、言われてみれば『なるほど!』って感じでした。

 もう一つが加瀬さんが山田の部屋に行くシーン。同性同士だと親が帰ってきても友達って言えばすむから便利だよなぁ・・・なんて考えてました。
大好きな彼女が自宅にいる初々しさもうまく表現されていた。
©2018 高嶋ひろみ・新書館/「あさがおと加瀬さん。」製作委員会

 とはいえ、結局は同性カップルと同じ悩みや、展開だったりするんですよね。そこがまた良かったりするのですが。

 でも加瀬さんが山田を押し倒すところとか『え、ここまで踏み込むの?』ってちょっとドキドキしましたけどね。

最後に:百合アニメという概念を壊してくれた作品


 ラストはどうなるのかなぁ・・・って思ったけど、個人的にはすごくいい印象でした。

 とはいえ、山田が『やっぱり私も東京の大学にいく!』って宣言するだけと思ったら、まさか飛び込むとは思ってなくてビックリしましたけど。

 やっぱり若さは勢いですよね。冷静に利害関係を調整するのもいいけどね。でも重要な決断は勢いがないとできませんよ(笑)
有り余るほどの勢いがないと決断は難しい
©2018 高嶋ひろみ・新書館/「あさがおと加瀬さん。」製作委員会

 奇しくも同時期に百合アニメと言われた『リズと青い鳥』と公開が重なった本作。随所に花をモチーフにしているなど共通点も多い作品ですが、なんだか時代的な面白さを感じます。

 『リズ』とちがって『加瀬さん』は男性向けの『ザ・百合』って作品なのかなぁ・・・なんて予告で思ってしまいましたが(笑)いい意味で裏切られました

 大げさかもしれませんが、どちらの作品も『百合アニメ』という概念を壊して一段上のレベルに再構築したような気がします。

 本作は素晴らしく爽やかな青春アニメ、性別問わず恋愛っていいなと感じさせてくれる作品でした。

アニメ『あさがおと加瀬さん。』公式サイト
http://asagao-anime.com

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アニメ映画『GODZILLA 2 決戦機動増殖都市』感想:ワクワクするSF版ゴジラ!

 アニメ版ゴジラの2作目『GODZILLA  決戦機動増殖都市』を映画館で鑑賞してきました。SFエンターテイメントとして1作目以上に熱いです!虚淵さんらしい仕掛けにもキレイに引っかかり(笑)すごく楽しめました。
GODZILLA 決戦機動増殖都市 予告編より画像引用
当ブログの画像引用について
©2018 TOHO CO.,LTD.

 元はTVシリーズとして企画されたそうですが、単独での娯楽性も高いのはすごい!(結局2回見ました)最終話も絶対観たいですが、3話待たずに見ても全くフラストレーションがたまらないですね。

 ゴジラ作品という意味では賛否両論あるみたいですが、自分は特撮映画への思い入れが強くないので単純に楽しめたのかも。前日譚の小説は特撮ファンも絶賛みたいですね)

GODZILLA 決戦機動増殖都市 予告1(公式配信)

 Netflixでも同時配信だそうですが、できればネタバレせずに見た方が楽しめる作品だと思います。エンディング後までしっかり楽しみましょう!

ネタバレを含むレビューとなりますのでご注意ください。
※1作目は見ましたが感想を書いていません。


ビルサルドの本性が現れた2作目!


 1作目もテンポ良くてすごく面白かったですが、まさかの3部作発表に度肝を抜かれたのもあって(笑)『もっと見たい!』って感じで終わったんですよね。

 前作が地球人類の話だとすれば、今作は『ビルサルド』を軸に描いた感じでしたね。前作から『人類&2種の異星人で共闘』という設定にすごく興味を惹かれたので、3種族が絡んでくる展開は期待大です。
本作はビルサルドと地球人を軸に展開
フル3DCGならではの美しい映像も見所
©2018 TOHO CO.,LTD.

 今回はビルサルドの本性が露呈・・・とはいえ『悪者』ってわけじゃないですよね。目的に向かってまっすぐなだけで。良くも悪くも裏表がない。超合理主義な体育会系という感じ。

一層深まるエクシフの謎・・・


 それに対して『エクシフ』の方はね・・・どうしても怪しさが払拭できないです。非常に信頼できるにもかかわらず『信じきれない感じ』がね。メトフィエスが修理してもらったモノとか・・・なんでしょう?怪しいですよね。
メトフィエスって結構大柄だったんだ・・・と思ったシーン
味方なのか敵なのか、そう単純ではなさそう
©2018 TOHO CO.,LTD.

 3話はきっとエクシフを軸にしたエピソードになりそうですが、虚淵さんのことですからね、まぁストレートには描いてこないでしょうけど。いったいどう展開するのか想像もつきません。

ビルサルドはなぜ放浪したのだろう


 ところで、エクシフは母星をギドラに追われたっぽいですが、ビルサルドっていうのは何が原因で母星を失ったのでしょうか?1話にでてきたのかな。

 『地球人はゴジラを制御できなかった』とビルサルドはバカにしますが、ビルサルド自身はどうだったんだよ?って思ったんですよね。

 ビルサルドもギドラにやられたんだろうか・・・。

メカゴジラは驚いたけど面白い!


 それにしてもメカゴジラにはビックリしましたね。

 虚淵さんらしい裏切りですが、さすがにこう来るとは思わなくてビックリでした。メカゴジラはいつ動き出すんだろう・・・ってしばらく思ってました(笑)

 予告ではいかにもメカゴジラが活躍するイメージでしたからね。やれらました。とはいえガッカリ感は全くなかったですね。
予告ですっかり騙された(笑)
でも良く見たら動いてるシーンないね。
©2018 TOHO CO.,LTD.

 プログラム可能な金属『自立思考金属体 ナノメタル』という設定は一見地味ですがすごく面白かったです。もちろん演出もよかったけどね。

 この辺も『SF的な楽しさ』ですかね。かえってメカゴジラVSゴジラにならなくて良かったくらい。この流れだとギドラやモスラも抽象化された何かとして登場するのでしょうか・・・むちゃくちゃワクワクしますね。

怪獣映画ではなくSF的スピンオフ作品


 この作品がゴジラらしい作品か?と言われれば、自分には正直よく分からないです。でもこの作品って怪獣映画というよりSF作品なのは確かですね。

 不思議な現象も可能な限り理屈をつけて描かれているんですよね。エクシフの予言、自立思考金属体、フツア族のDNA・・・などSF的な設定にワクワクします。
エクシフの予言も科学的な理屈があるという設定
『不思議』で片付けない脚本は興ざめせず楽しめる
©2018 TOHO CO.,LTD.

 自分程度のライト層からすると十分ゴジラ作品なんですよね。ギドラやモスラ(をイメージさせるもの)がああいう風に仄めかされると、いい感じでワクワクしてきます。

 だから自分から見てこの作品は『ゴジラ作品のSF的なスピンオフ』ですね。逆に言えばゴジラ映画だけど怪獣映画でないのかも。

地球の支配者になるなら、自らゴジラになるしかないのか


 ゴジラ出現の原因が『原爆や環境破壊』と一見とってつけたように描かれるのは、最初は違和感がありました。後付けでゴジラ映画を強調してるのかな?って。

 ただ『人類がゴジラを生み出した』って事を示すためには必要だったのかな。自ら生み出したものを制御できないなら、自らが変わるしかないというビルサルドの主張が効いてくるんですよね。

 地球の支配者になるなら、自らゴジラになるしかないのか・・・という葛藤。ゴジラ出現以前は人類こそがゴジラだったという自覚を促したのかもしれません。

ハルオの究極の選択が、自分と重なって熱くなる!


 クライマックスのヴァルチャーによる攻撃シーン。あそこはさすがに熱くなりましたね。よく考えると1作目と同じ事してるのにね(笑)全然興ざめしないのがすごい。
文字通りワタリガラスのような姿のヴァルチャー
繰り返し攻撃が渡り鳥を意味しているのかな
©2018 TOHO CO.,LTD.

 ラストにメトフィエスガルグの双方から説得されるシーンでは、スクリーンの左右からの声が天使と悪魔のようでした。あそこは見てるこちらも葛藤でしたね。

 本当に究極の選択で『どうする?』って・・・ハルオと自分がダブってくる感覚はまさに手に汗握るシーンでした。

ガルグの見通し甘すぎでしょ・・・


 でも良く考えるとユウコはナノメタル化したからって協力したかな・・・ハルオは(鱗粉の影響でナノメタル化されなかったけど)もともと反対してたわけで。

 ユウコがビルサルドの考えに親和的だったからって、ガルグも都合良く考えすぎだよね。ちょっと優しくされたからって勘違いするみたいな・・・ホント人の言動をストレートに受け取ってしまうみたいですね。
ナノメタル化した後は人格まで操作できるのだろうか?
ユウコが同調すると考えるのは甘いような。
©2018 TOHO CO.,LTD.

 あそこは、まずビルサルドの操縦士ベルベだけがナノメタル化して突入。それでダメだったら一か八か地球人操縦士のナノメタル化を強行する・・・ってのが合理的じゃないでしょうかね。

 メカゴジラシティのガスを早々に停止してしまうとかさ、ビルサルドって自信がありすぎるのか判断が拙速なのがね・・・母星を失ったのも結構コレが原因じゃないかなぁって思ったりして(笑)

ラブシーンの演技に絵が追いついていない!


 SFとして面白い本作ですが、ちょっと残念だったのはラブシーンですね。

 メカゴジラシティ屋外のユウコとハルオのシーン花澤香菜さんの声の演技に絵が負けてる気がしました。

 まあ、花澤香菜さんの演技が上手いですからね・・・仕方ないところもありますが。二人の声の演技が良かっただけに映像の演技との差が気になりました。
止め絵でみると素晴らしいんだけど・・・
この前からの語り合いが単調にみえてしまった。
©2018 TOHO CO.,LTD.

 ポリゴンピクチュアズの技術ならもっと豊かな表現ができたのでは?と思うのですが、あえての演出意図なのかな・・・表情がちょっと平板でしたね。派手にすると逆に違和感でるんだろうか。

 バストと腕で可愛らしいポージングは認めますが(笑)体の演技という点では人形っぽい違和感がね。静かなシーンなだけに気になりました。

 その他のシーンでは多少の違和感は気にならなかったけどね。花澤さんの演技で引っ張ってくれたせいかな。3Dでラブシーンをうまく表現するってのは難しいものですね。

セルルックの限界はどこか


 3DCGをセルアニメ風に表現するセルルック技法。ポリゴンピクチュアズの作品はいくつも見ていますが、見るたび表現力が向上していて驚かされます。

 もちろん一般の視点から見るとまだ違和感多いと思いますが、比べてみるとどんどん良くなっているんですよね。ただ、ここが壁なのかなぁってラブシーンを見て感じました。

 ただ、『BLAME!』や『シドニアの騎士』では萌え表現に成功していたので、技術的な点というより、演出的に敢えて避けたという可能性もあるのかな?
劇場アニメ『BLAME!』2017年 より
セルルックでここまでの可愛らしさを達成している。
(C)弐瓶勉・講談社/東亜重工動画制作局
関連記事 映画『BLAME!』感想:超ワクワクできるSFエンターテイメント! - アニメとスピーカーと‥

 ビルサルドみたいなゴツイ感じのキャラはすごい合ってるんですけどね。戦闘シーンの動きなんかはほとんど違和感を感じなくなりました。

3Dならではの表現はさらに進歩


 また、細かい書き込みをしたスーツの表現はセルルックならではですね。ただ、スーツの細かさと表情のフラットさに違和感を感じるのも事実。この辺は微妙なさじ加減ですね。
3DCGの特性を生かした母船の美しい描写
機械類の表現はさすがに見応えがある。
©2018 TOHO CO.,LTD.

 フツア族のミアナ・マイナはフラットな描き方が逆に良かったです。機敏な動きも素晴らしくて全然違和感を感じませんでした。

 セルルックの表現は観客の感じ方も大きいので奥が深いですね。今後も注目です。

いったいどこに着地するのか!謎の解明にワクワク。


 エンディング後の予告的エピローグ・・・あれはワクワクしますね。ED中に帰っちゃう人が結構いるのですが『ちょっと〜!』って声かけたくなります(笑)

 まあ観なくてもどうせ次作の予告編でやるだろうけど少しもったいないですよね。ただ、EDもすごく地味で長いので帰る人が多くても仕方ないかな・・・もう少し最後まで見てもらえる工夫が欲しいですね。
フツア族のミアナ・マイナ。
モスラの予言とエクシフに関連がある予感が・・・
©2018 TOHO CO.,LTD.

 それにしても、エクシフの謎、フツアの謎、ユウコの安否、ギドラとは、そしてゴジラを撃退できるのか・・・それとも全く違う展開になるのか?本当に予想がつかないですね。

 個人的にはフツアの予言(モスラ?)とエクシフの予言の共通性とか気になります。ギドラが出る3話が『星を喰う者』というタイトルなのも意味深ですね。でもこれも引っ掛けだったりして(笑)
 
 次作も大いに期待できるSFエンターテイメント作品でした!

アニメ版GODZILLA 公式サイト
http://godzilla-anime.com


reade more... Résuméabuiyad