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『機動戦士ガンダム THE ORIGIN V 激突 ルウム会戦』 感想:渋い演出と迫力の艦隊戦!ガンダムらしいクライマックス

 アニメ版『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の第5作目であり、ルウム編の前編である『激突 ルウム会戦』を映画館で見てきました。
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『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 激突 ルウム会戦』PVより画像引用
当ブログの画像引用について
(C)SOTSU・SUNRISE

 5作目にしてとうとう本格的な戦争シーンですからね。さすがに熱くなりました。終盤の戦闘シーンはまさにスクリーンで見て良かった!と思わせる迫力ある映像

 そして、単に『面白い』『カッコイイ』っていうのが憚られるような、戦争の不条理さを表現しているのもファーストガンダムに通じる素晴らしい世界観ですね。さらに見逃せないのが『渋い演出』おっさんが作っておっさんが見る作品・・・かな(笑)

 
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 激突 ルウム会戦』PV 主題歌ver.
BandaiChannel 公式配信
この主題歌Ver.の予告はとても味があって素晴らしい出来ですね!

 前シリーズ「シャア・セイラ編」の最終章だった4作目『運命の前夜』は、最終章といいながらクライマックス感が少なくて映画としてはちょっと物足りなかったのも確かでした。

 その分、この『ルウム編』はまさにクライマックスという感じでしたね!5は前編ですが十分盛り上がりました。

 これまでテレビで配信を見た人も、本作と後編は映画館で観る価値あるかもしれません。でも一律1,800円はちょっと高いね!(各配信サイトで同日有料配信開始です)

※一応ネタバレありのレビューですので未見の方はご注意ください。(核心的なネタバレはありませんが)原作未読の感想です。

見ごたえのある大規模艦隊戦の描写!


 本作オリジン5の見どころの一つは大規模な艦隊戦ですよね。ファーストガンダムでははあまり描かれなかったし、モビルスーツ戦に比べるとやっぱり地味なイメージでしたが本作はスゴイ。

 今作では映像の美しさと相まってかなりの迫力でしたね。映像だけでなく艦隊戦が始まるまでの演出がすごく良かったんですよね。地球から大量の艦艇が打ち上げられ圧倒的物量でジオンに迫るシーンとかね。

レビル将軍率いる連邦軍。まだ多くの老練な士官が残ってる時代。
連邦・ジオン艦隊の接敵までの描写も見ごたえがある。
(C)SOTSU・SUNRISE

 ミノフスキー粒子の濃度が戦闘可能状態になるまでのプロセスとかも、細かい描写なんだけどすごく熱くなってきます。ああいう直接の戦闘シーン以外の描写が見ごたえあるんですよね。

リアルな艦艇で表現される戦闘の現実感


 ビーム砲での艦隊戦って結局は物量だよなぁ・・・って思わせる会戦序盤。戦況の映像を見るガルマが『当たってるじゃないか!』と取り乱すシーン。

 解説の武官がムサイ級は当たりにくい形状で・・・と言ってるそばから被弾して爆発する艦艇を見ていると、自分も『うぁ・・・』って思いますね(笑)

ファーストの時代に比べると格段に精緻な書き込みの艦艇。
迫力がある分だけそこに乗船している人々まで想像できてしまう。
(C)SOTSU・SUNRISE

 ただ撃ち合うだけで、やってることは古代のファランクスの戦い方と同じだな・・・と暗澹たる気分になってきました。まあ、今回は策があるから敢えて正面からぶつかるわけですが・・・。

吸い込まれるようなシャアの突入シーン


 モビルスーツ戦ではランバ・ラル隊のシーンも良かったですが、なんといってもシャアの突入シーンですよね。あの警報が鳴り響く中でどんどん加速をしていくシーン!あれは本当に良かったです。

ザクのコックピットで操作するシャア
ボタンとスクリーンの併用で無骨と未来感が両立している。
違和感なくブラッシュアップされたデザインだと思う。
(C)SOTSU・SUNRISE

 たしかにいいとこで終わっちゃうんだけどね(笑)でもスクリーンで見たときは吸い込まれるような感覚がありますね。あそこは4DXで見たくなっちゃいます。

おっさん的な演出?だけど良いと思います!


 それにしても酒場の歌のシーン。あれ割と好きなんだけど、もし自分が子供だったら退屈だったろうなぁ。こんなシーンいいから戦闘シーンを多くしろよ!って思ったかも。

アイドルアニメのような派手な動きはないが
ハモンの歌声には力強さがあり聞きごたえがあった。
(C)SOTSU・SUNRISE

 正直おっさんくさい演出なんだけど、自分もこういうのが良いなぁって感じるようになったなぁ・・・って思ってしまったな。それとも最近はアニメの劇中の歌になれたせいもあるのかな?なんか、しんみりと聴き入ってしまいましたよ。

 まあ諜報員のタチさんが勝手にウイスキーを飲み始めるのはさすがに苦笑いだし、一喝されて帰っていくジオンの連中もどうかと思ったけど、まあ細かい所はいいやと思わせるものがありますね。

ここのシーンはちょっとやりすぎ(笑)と思った。
一般客を装う演技だったのだろうか。
(C)SOTSU・SUNRISE

 子供の頃に見た深夜帯のルパン三世みたいな雰囲気を思わせる『渋さ』といったら言い過ぎかな?でも若い人を排除しているのではなくて、おっさんくさい世界を垣間見せてくれるという意味では良い演出だなぁと思いました。

 自分が思うに、このアニメ版THE ORIGINというシリーズはハモンやランバ・ラルにすごく焦点を当てた作りになってると思うんですよね。それだけにルウム以降もアニメ化してもらいたいな。

さらに一歩踏み込んだ戦争の描き方


 ファーストガンダムを見ていた当時に好きだったのは戦争を勧善懲悪的に描かなかったなんですよね。SF的な理屈をつけて政治を描いている所が子供心にすごく面白いと思っていました。

 THE ORIGINでも当然そういう描き方をしているんだけど、そこからさらに踏み込んで戦争のリアルを描いていたと感じました。

政治とは関係なく憎しみの連鎖が起こってしまう
市民にとっての戦争の現実を描いている。
(C)SOTSU・SUNRISE

 連邦支持者(とは名ばかりの暴徒)が、セイラの住むジオン系住民を焼き討ちするシーンなんて、実際の政治的対立とは何の関係もなく市民のなかで憎しみの連鎖が起こる様子を描いていますよね。

 政治的対立は話し合いで妥協できるけど、個人的な憎しみは理屈じゃない。妥協するくらいなら自分も戦場に身を投じて戦争を継続する原動力になってしまう。こうなってしまうから戦争終結は難しいわけで。ある意味『この世界の片隅に』にも通じるテーマですよね。

自己正当化されてしまう異常性


 あとドズル・ザビが愛娘をみて、同じような子供たちを大量に死なせてしまった罪の意識に苦しむシーン。

 苦しみながら出した結論が『弱かった彼らが悪い、娘を守るためには敵より強くなり勝利しなければならない・・・』と、自己正当化することで精神の安定を得る。

愛娘ミネバを溺愛するドズル。一見コミカルなシーンだが、
異常な決断が異常でなくなるプロセスが描かれていた
(C)SOTSU・SUNRISE

 異常な状態をこのよう捉えることで、まともな感覚を持っていたはずの人たちの意識が再構築される様子が怖いですね。ブラック企業とかもそうだけど内部にいるとその状態が当たり前と意識が変わってしまう。

 ランバ・ラルのような、まともな感覚を持った人間は悪として追求されていく。そして・・・ランバ・ラルやハモンさんの行く末を知っているだけに一層重いものを感じるんですよね。

後編への期待と・・・マ・クベ


 今回もすごくいい所で終わったわけですが(笑)尻切れ感とかじゃなくて次作が楽しみになるいい感じの切り方だったと思いますね。

 実際、前半はゆったりめで、アムロやカイのシーンはちょっと『とってつけた感』もなくはないですが、後半の戦闘シーンのおかげで、終わってみればすごく満足感の高い作品でした。セイラがシャアを発見するシーンなんか結構感動しちゃいましたしね。

 あと、今回やけに目立つジオンの士官がいるなぁ?と思ったらマ・クベが出てるんですね!子供の頃なぜかギャン(マ・クベ専用機)のプラモデルを買ったんですよね。多分安かったからだと思うんですけど。THE ORIGINだとマ・クベも結構いい感じで描かれているという噂を見たことがありますが、どうなんでしょうかね。

当時は何で買っちゃったんだろう・・・ってギャンでしたが(笑)
今のガンプラは1/144でも着色済みなんですね!

 次作、ルウム編の後編『誕生 赤い彗星』は来年5月5日公開ということでかなり楽しみなのですが、ルウム編以降はどうなるんでしょうか?ファーストガンダムを侵食する続編のアニメ化は実現するのかも注目ですね。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 公式サイト
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