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ポッピンQ 感想:思春期を迎えたプリキュア世代に向けた美しい作品、でも大人が見るとちょっと怖いポッピンQ

 映画 『ポッピンQ』を見てきました。ストーリー的には10代前半向けの作品だと思いますけどね。映像の美しさ、ダンスシーン、楽曲、声優さんの演技などなど、大人のアニメファンの鑑賞にも耐えるクオリティの作品になっていたと思います。

タイトルの可愛さで思わず見に行ってしまった
(TVスポット30秒ストーリー編より画像引用)
当ブログの画像引用について
© 東映アニメーション / 「ポッピンQ」Partners 2016

 個人的には配色の美しさがすごいなぁと思いました。予告編で期待はしていたのですが、どのシーンを切り出しても本当に絵になりますね。純粋に映像を楽しむだけでも満足できました。

個人的には予告編よりもこちらが好きですね。
このED曲は素晴らしいと思いました。
映画「ポッピンQ」卒業ソング『さよなら。ありがとう。』特別映像 
東映アニメーション公式YouTubeチャンネル

※後半に少しネタバレのレビュー・考察があるのでご注意ください。

成長したプリキュア世代にむけた作品


 監督はプリキュアシリーズ宮原直樹さん。作品の見た目はかなり違いますけど、ダンスシーンの使い方などこの世代には違和感のない作りだと思います。

この4人ともう1人の計5人の中学生の物語
『さよなら。ありがとう。』特別映像より画像引用)
© 東映アニメーション / 「ポッピンQ」Partners 2016

 成長して思春期を迎えたプリキュア世代に向けて作られた作品なんでしょうね。プリキュア自体も親世代や一部のアニメファンにも支持されていましたが、ポッピンQはさらに広範囲なファン層にも受け入れられそうな気がします。(逆に言えば中途半端になる可能性もあるのですが)

プリキュア仕込みのモーションキャプチャーダンス
主題歌はEXILE PROFESSIONAL GYMとAvaxのコラボ
本編特別先行映像⑤より画像引用)
© 東映アニメーション / 「ポッピンQ」Partners 2016

 まあ、自分はプリキュアにはあまり造詣が深くないのですが・・・同じ3Dのダンスシーンでも『ラブライブ!』とは演出の違いを感じて興味深かったですね。元気の良さといったものが重視されている気がしました。

王道的な成長物語


 ストーリー的には『卒業を目前にして悩みをもった女子中学生たちが仲間との成長によって自分を乗り越えていく』という感じの成長物語。監督がドラゴンボールを手がけていたせいかジャンプの少年マンガ的な明快さがあります。

主人公の小湊伊純(cv 瀬戸麻沙美)
高知の中学で陸上部の出来事にわだかまりを持っている
五人の中で一番現実世界を掘り下げられていた
(『さよなら。ありがとう。』特別映像より画像引用)
© 東映アニメーション / 「ポッピンQ」Partners 2016

 冒頭は五人のキャラクター紹介を兼ねた10分余りのアバンパート。ここは割とサッと流してダンスシーンからのオープニング。慣れない人は突然のダンスに面食らいますが、こういうもんだと思えばいい感じのOPでした。

大道あさひ(cv 小澤亜李)
武道家の両親の意見に引っ張られて悩む。
本編では伊純以外のキャラの掘り下げはあまりなかった。
でもテンポ重視で良かったと思う。
(『さよなら。ありがとう。』特別映像より画像引用)
© 東映アニメーション / 「ポッピンQ」Partners 2016

 現実世界をもっと掘り下げるのかな?と思ったのですが、退屈にならないように配慮されているのかもしれませんね。オープニング後のファンタジーパートからは物語のテンポも変わり俄然面白くなってきます

美しい色彩に見とれる


 ポッピン族の世界に入ってからは本当に映像がキレイでしたね。特に配色がすごく良かったです。

 水彩調のやわらかな風景鮮やかなキャラクターの衣装の色彩がすごく合っていて絵になるシーンの連続でした。どこを切り出してもイラストとして良いなぁと思うような映像でしたね。

ぬいぐるみのようなポッピン族の世界
淡さと鮮やかさの色調のバランスが素晴らしい
(本編特別先行映像⑤より画像引用)
© 東映アニメーション / 「ポッピンQ」Partners 2016

 今回は予告編で映像の美しさに興味を持って見に行ったのでその点ではすごく満足でした。残念だったのはホームページの『切り替わるイメージ画像』の裏面、制服姿の五人の夕暮れの風景ってのがなかった位ですね。あの絵はすごく好きだったんだけどなぁ。


この絵が凄く好きだったけど・・・
(Amazon)

 色彩設計は永井留美子さん、ガッチャマンクラウズ インサイトに参加されている方なんですね。あの作品も色が良かったですね。

ここから少しネタバレ考察があります。
未見の方はこちらでスキップできます。

大人がみると『ちょっと怖い』クライマックスシーン


(この項はネタバレあり)

 まあ、ストーリーはあくまで子供にも安心して見せられる作品なので自分の世代としては感動とかじゃないんですけどね。ただ1点、クライマックスシーンは大人が見ると結構ショックというか・・・違う視点で見てしまいました。

 主人公の伊純が大人バージョンの沙紀に攻撃されて強制的に成長してしまうシーン。大人の女性を通り越して年老いていく伊純・・・子供はどう感じるかわからないけど、大人である自分には結構ギョッとしたシーンでした。

唯一心を開かなかった沙紀(cv 黒沢ともよ)
孤独なまま大人になった『未来の自分』が伊純を攻撃する
(『さよなら。ありがとう。』特別映像より画像引用)
© 東映アニメーション / 「ポッピンQ」Partners 2016

 カラフルなカワイイ衣装をまとったまま年老いていく伊純のグロテスクさ。これって、子供向けアニメを見ている自分に対する『メタ』的な批判のような・・・もしや『卒業』というキーワードも自分に対するメッセージなのだろうか・・・みたいな(笑)被害妄想を一瞬感じてしまうほどの一種異様なインパクトがありました。

 あの部分だけはなんとも言えない怖さを感じましたね。大人バージョンの沙紀が『年をとることの恐ろしさ』『失うことの恐ろしさ』を子供たちに思い知らせようとする。そこに込められたメッセージとはなんだろう・・・と、ふと考えてしまいました。

 最後に子供の沙紀に吸収される大人の沙紀。その表情は負けてホッとしたような、子供時代の伊純の幸せを喜ぶような・・・なんとも言えない表情でしたね。

 『戻せない過去』を山ほど抱えてしまった大人である自分は、子供たちとは違う感想を持ってしまいます。
※一部名前を修正しました
※ネタバレここまでです。

声優さんも見所いっぱい


 まあ、そんな深読みは置いておいて(笑)アニメファンとしてはたくさんの有名声優さんの活躍も見所ですね。

 主人公の小湊伊純役は『ちはやふる』の瀬戸麻沙美さん。突っ走って思い悩む感じがすっごくハマリ役でしたね。

 主要キャラの友立小夏(黄色のピアノキャラ)と都久井沙紀(薄紫の孤独ダンスキャラ)が種﨑敦美さんと黒沢ともよさんという『響けユーフォニアム2』ペアでした。

 種﨑さんは鎧塚先輩役でしたが今回は結構元気な可愛いキャラ黄前久美子役の黒沢さんは逆に寡黙キャラ。全然違うので聞いていても気づきませんでした(笑)知った上で見ればもっと楽しめたかも。

残念ながらユーフォペアの絡みはほとんどない・・・
個人的には黄色の小夏ちゃんがイチオシ
『さよなら。ありがとう。』特別映像より画像引用
© 東映アニメーション / 「ポッピンQ」Partners 2016

 もちろん大道あさひ(緑の武道家キャラ)役の小澤亜李さんの可愛さは言うまでもないですね。日岡 蒼役(青色の受験最優先キャラ)の井澤詩織さんはガルパンのそど子役なんですね。

 あと、記憶が確かなら大人の役斎藤千和さんだった気がするのですが(違ってたらゴメンなさい)さすがの一言ですね。すごく印象的な演技でした。


エンディング後の特別映像!


 公開直前になってアナウンスされたエンディング後の特別映像。すごく面白かったですね。というかアニメファン的にはこちらの方が面白そう!って思いました。絶対見たいでしょ、コレ。

 すわ、TVアニメ続編決定か・・・って思いましたが、結局なにも表示されずに・・・え?何?って感じで(笑)

謎の少年レノ (cv 内山昂輝)
彼の正体は明かされぬまま衝撃の特別映像へ!
これで続編なかったら怒るよ・・・責任とってください東映さん
TVスポット30秒 ストーリー編より画像引用)
© 東映アニメーション / 「ポッピンQ」Partners 2016

 これは本当に是非とも続編をつくっていただきたいですね。そのためにも興行成績が良くなる事を祈ります

誰に向けた作品なのか


 予告編を見た感じだと正直誰に向けた作品なのか・・・少しわかりにくかったですね。女子中学生が主人公のファンタジー作品だってのはわかりますが。なかなか渋い感じもしてアニメファン向けの作品なのかな?と思ったりもしました。

 先日のHoneyWorksの作品みたいにターゲット層に集中的に宣伝して支持を得るという作戦だったのでしょうか。あの作品もターゲット以外には全く知名度がありませんでしたが、当日は劇場が一杯になってました。
関連 ずっと前から好きでした。~告白実行委員会~ 感想:マジでヤバイので中高生は見たほうが良い映画 - アニメとスピーカーと 

 ポッピンQの場合は、中学生が主人公なので中学生向けかな?と思いましたが、実際にみるともう少し若い世代向けな気もしますね。

映画を見せるのが難しい世代


 前日譚がコミカライズもされているようですが、Wikipediaによると『ちゃお』『ぷっちぐみ』という小学生向けの雑誌だったりするようで、ちょっと背伸びしたい小学校高学年向けなのかもしれません。そう考えるとストーリー的にもちょうどいい気もします。

 ただ、初日は祝日でしたが、小中学生の姿を見なかったんですよね・・・まあ、郊外なので都会は違うんですかね。東映60周年記念作品という事で公開館数も多く力が入ってますが、すこし心配になりました。

劇場アニメ『ポッピンQ』予告映像
(東映アニメーション公式YouTubeチャンネル)

 小学校高学年って親と映画を見たい年齢じゃないし、かといって男子ならともかく、小学生の女子だけで映画を見に行くのは結構ハードルが高い微妙な年齢ですよね。プリキュアだと親子需要が見込めるけど・・・映画としては開拓が難しい層かもしれません。

 質の高い力の入った作品なのでぜひ興行的にも成功を願いたいですね。なんといっても続編を見たいので! 

原作:東堂いづみ/脚本:荒井修子
監督:宮原直樹
キャラクター原案:黒星紅白
キャラクターデザイン・総作画監督:浦上貴之
色彩設計:永井留美子/美術監督:大西穣
アニメーション制作:東映アニメーション

『ポッピンQ』公式サイト:http://www.popin-q.com

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映画 好きになるその瞬間を。 告白実行委員会 感想:恋雪くんの幸せを願って見に行きました〜

 見に行ってしまいましたよ。HoneyWorks 原作の『恋愛シリーズ』劇場版アニメ第2作目『好きになるその瞬間を。 ~告白実行委員会~』(好き瞬)。

映画『好きになるその瞬間を。~告白実行委員会~』
第2弾本予告より画像引用
当ブログの画像引用について
©HoneyWorksMovie

 中高生向けの作品ですからね。自分向けじゃないのはわかってるんですけど・・・予告編みたら楽曲が割と良い感じで、なんか1作目より好きかもって(笑)

映画『好きになるその瞬間を。~告白実行委員会~』第2弾本予告

 それに前作のラストを見たらやっぱ気になるじゃないですか〜。前作でつらい終わり方だった綾瀬恋雪くんには幸せになってもらいたい訳で・・・。

 そしたら、えぇぇ〜マジで〜?って感じで(笑)ある意味でびっくりしたラスト。原作とか全然読んでないので結構ビビリました。個人的には1作目よりも楽しめましたけど、アニオタが見ると仰け反る作品ですのでご注意ください。
関連 1作目の感想です。ずっと前から好きでした。~告白実行委員会~ 感想:マジでヤバイので中高生は見たほうが良い映画 - アニメとスピーカーと

※以下ネタバレがあるレビューですのでご注意ください!

もう一つのストーリー


 内容的には、1作目の続編というよりも、1作目を別角度から見たもう一つのストーリーという構成でしたね。観る前は続編かと思ってたので、冒頭が中学時代だって気がつかなくて混乱してしまいました。

 自分は1作目を見ただけで原作とかは未見なんですが、ストーリーの超速攻展開にはかなりビビりましたね。特に前半のほうね。主人公の雛と恋雪先輩が中学時代に出会うシーンからの3年間を『63分』でまとめるんですからね。

出会いのシーンが中学時代だってことに気づかず少し混乱してしまった。
顔とかあまり変わってないからかな?
第2弾本予告より/©HoneyWorksMovie

 まあダイジェストっぽさってのはあるんですけど、一瞬入るイメージシーンとかエンディング映像とかで補完してくれるので、理解には特に問題なかったですね。1作目もそうだったけどこの作品独特の構成ですね。

恋雪先輩の物語かと思ってたら・・・


 しかし、今回恋雪くんのリベンジというか幸せシーンが見られるのかと思ってたのですが・・・まさかこう来るとはね。予告編にあった告白シーンがあっさり終わっちゃうのって1作目もそうだったけどね、今回もまたコロッと騙されてしまいました(笑)

 でも冷静に考えてみれば、虎太朗と雛の物語だよね、やっぱり。女子高生的には当然『虎太朗』って感じですよね。

自分は勘違いしてたけど虎太朗と雛の物語だった(笑)
第2弾本予告より/©HoneyWorksMovie

 自分は第2弾本予告しか見てなかったので、雛と恋雪先輩のお話と勝手に勘違いしちゃったんですよね。でも第3弾本予告をみると、思いっきり虎太朗の物語だもんね。これ見ると当然の結末に見えますね。

 でも本編を見てるときは結構ショックというか、恋雪くんは虎太朗に散々バカにされてて可哀想・・・って思ってたので、すっかり恋雪くんを応援する気分になってたんですよね。

恋雪先輩、可哀想すぎ・・・


 大体、あんなキツイ失恋した直後に雛の告白をちゃんと受け止められないのもムリないよね。あの状況での対応としては恋雪くんの最大限の優しさだよね。チャラい人なら遊びで雛に乗り換えちゃうかもしれないけど。

正直この状態で告られても・・・ね。
あっさり乗り換える方がありえないわけで。
恋雪先輩は悪くないと思うぞ、虎太朗(笑)
第2弾本予告より/©HoneyWorksMovie

 だから、その後の虎太朗に文句言われるシーンは『そんなぁ〜』って感じでちょっとショックでしたね。結局スポーツマンのイケメン男子が勝利か・・・って(笑)まあ虎太朗もいろいろ思い悩んでたからね、雛を取られちゃったら可哀想だけどね。幼稚園時代から意識してたわけだし。

『帰るぞ・・・』って自分は一生言わなそうなマッチョなセリフ
虎太朗カッコよすぎだけど、ちょっと複雑な気分。
第3弾本予告より/©HoneyWorksMovie

 こんな風に恋愛の激しいすれ違いってのがこのシリーズの面白いところですけどね。でも結局、虎太朗は恋雪くんのことを認めることはなかったのかな。

 まあ恋雪くんも、イメチェンしてモテモテになってたしね。彼女なんか簡単にできるだろうけど、彼ってすっごい引きずりそうだよね。変にマジメだから簡単に彼女とか作らなそうだし。そういう人って損だよね。

 なんか後になって、雛の本気の気持ちを知った後にすっごい後悔してそう・・・それで虎太朗と付き合ってる姿みてドンヨリしたり(笑)恋雪くんの幸せを願わずにはいられないですね。

すっきりできたエピローグ


 まあ、そうは言ってもエンディング後のエピローグはよかったですね。正直言って微妙な気分でエンディングに突入してしまったので(笑)、雛の笑顔というか幸せエンドでよかったなと。

このエピローグのおかげでスッキリした気分で終われて良かった。
第3弾本予告より/©HoneyWorksMovie

 そういえばWデートの映画チケット、思いっきり『心が叫びたがってるんだ。』のチケットでしたね。あのシーンは結構笑い声がきこえました。配給のアニプレックス繋がりですかね。プロデューサーが同じ斎藤俊輔さんという方みたいで。タイトル絵も似てるよね。
関連 映画 心が叫びたがってるんだ。 感想 :あの花にイマイチ感動できなかった人に勧めたい恋愛の名作 - アニメとスピーカーと

 エンディングは乃木坂46参加の曲で結構よかったけど、1作目同様にEDの映像がストーリー補完になってるので見逃せないんですよね。おかげでスタッフロールを見られないのが残念かも。

手書きのラブレターってアリ?


 あと、ちょっと気になったのはラブレターのシーン。今時LINEとかメールじゃなくて手紙ってリアリティ的にどうなんですかね?

 自分は現役の高校生から離れちゃってるのでわからないけど『え、手書き?』って思っちゃいました。それって大人だから逆にそういう固定観念で見ちゃうんですかね。

今時のラブレターはLINEかメールかと思ってたので
手書きのシーンでちょっとびっくりした。
第2弾本予告より/©HoneyWorksMovie

 でもアドレス交換とかしてない人の場合は送れないわけで、本気のラブレターの場合は意外と手紙とかあるのかなぁ?それとも実際の高校生は『これはないわ〜』って思ってるのかな?って気になって見てました。

ちょっと気になるチャラ男のシバケン


 あと、ちょっと良いなぁと思ったのが虎太朗たち三人組の一人、チャラ男の柴崎 健(シバケン)ですね。なんかチャラ男だけど憎めないっていう感じで。wikipediaとか見たら彼もハンバーガーショップの一件をきっかけでアリサを意識するみたいで・・・なるほどね。あの一件は結構印象的でしたよね。

性格もバラバラなこの三人がいまでも親友なのも不思議
第2弾本予告より/©HoneyWorksMovie

 だいたい虎太朗の三人組ってあんなに性格違うのに良くつるんでられるよね。そういえば、真面目クンの山本幸大もなんか夏樹を意識してるようなシーン(かな?)もあったし・・・なんだかワクワクしてきますね。

アニメファン向けではないけど


 まあいろいろ書いちゃいましたけど、結果的にはなかなか楽しんじゃいました。1作目がイケメン度が高すぎてちょっと引くところもありましたが、本作は男子でも普通に楽しめるかも。

 楽曲がバンバン入る構成も1作目では珍しかったですが、『君の名は。』の影響もあって十分受け入れられてる感じですね。深夜アニメで言う所のキャラクターソングが本編で使われるような感じですかね。
関連 『君の名は。』感想:こんなすごい映画作るなんて本当に新海さんは大したものですね。 - アニメとスピーカーと

 63分の映画で6曲ってやっぱりすごいなと思いますが、新海さんの作品のようなPV的な演出とは違う感じですね。やっぱりキャラクターソング的というか独特の演出だと思いました。

 セリフと歌詞が重なるのも全然気にならないタイプなので、気にならずに楽しめました。映画館の音質も良くて歌声をシャープに聞かせてくれて、普段イヤホンで聴いている人も映画館で見る意味があると思いますね。


 とは言っても目の肥えたアニメファン向けの作品ではないのは確かなわけで、細かいこといえば、作画が・・・とか色々言われちゃいそうだけど。まあそういう作品じゃないって分かってみるならOKですかね。

 この作品はTVシリーズでやればエビソードも細かく描けて良いと思うんですけどね。深夜アニメだとあんまり女子高生とか見なそうだし、イベント的な映画でやるのはそういう理由があるんでしょうか。

 3作目があるかどうかはわかりませんが、やったらまた見ちゃうかな・・・他のキャラの恋の行く末も気になるところだし。

原作・音楽:HoneyWorks
監督:柳沢テツヤ/脚本:成田良美
キャラクターデザイン・総作画監督:藤井まき
色彩設計:小島真喜子/音響監督:長崎行男
プロデューサー:斎藤俊輔
アニメーション制作:Qualia Animation

公式サイト:http://www.honeyworks-movie.jp/2nd/movie/

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アニソン向きのヘッドホン 開放型を中心に14機種の比較試聴メモを公開します

 最近オーディオ熱の復活と共にヘッドホンを買い換えたくなりまして・・・ヒマをみてはいろんなお店で試聴をさせてもらってました 。

 まあ、今はすっかりアニメソング中心のオーディオ生活になってるわけですけどね(笑)アニソンといえども好きな曲はもっとクリアで高解像度な音で聴きたいって思うわけです。

 今回いろいろ比較試聴をしてみたので感想メモを公開します。ヘッドホンってたくさん種類があるけど結構音質の傾向が違うんですよね。

 自分は開放的でクリアな傾向のヘッドホンを探していました。全員にオススメってわけではないけど、音質の好みが似ている人には参考になるかな思います。

  • 前半はアニソンに求める音質の解説。
  • 後半は個別機種のレビューです。

【目次】(リンク付)

  • 自分がアニソンに求める音質とはクリアな開放感
  • 低音ガッツリ系が苦手
  • 開放型ヘッドホンが好み
  • クリアすぎる開放型は諸刃の剣
  • 万能の『マイルドタイプ』、聞き込みたい『クリアタイプ』
  • 選定基準:開放型を中心にヌケの高い機種を試聴
  • ATH-AD2000X(オーディオテクニカ)
  • ATH-AD1000X(オーディオテクニカ)
  • ATH-AD900X(オーディオテクニカ)
  • ATH-AD500X(オーディオテクニカ)
  • ATH-AVA500(オーディオテクニカ)
  • ATH-AVA300(オーディオテクニカ)
  • Pro4S(KOSS)
  • PortaPro(KOSS)
  • DH291(サトレックス)
  • HA-MX10-B(JVC)
  • HD599(ゼンハイザー)
  • DENON600(DENON)
  • MDR-MA900(SONY)
  • MDR-1A(番外編)(SONY)
  • Fidelio F1(フィリップス)
  • その他(番外篇)
  • 結論:購入候補はこの3機種!
  • 試聴環境について
  • 最後に:機種ごとの個性に驚いた

  • 自分がアニソンに求める音質はクリアな開放感


     まあ、アニソン向けと一言で言っても人によって求める音質は違うわけですよね。自分がアニソン向けに求める音質は・・・。
    1. クリアで開放的な音質
    2. 細かな音まで聞こえるリアルな解像感
    3. ボーカルを邪魔しないすっきりした低音
    自分の好みの特徴は低音のスッキリ感かな?今の流行は低音ブースト系。アニソン向けでお勧めされているヘッドホン・イヤホンでも低音重視の機種が多い気がします。

     だから自分の好みは少数派かな?。これが正解とかじゃなくてあくまで自分がアニソンに求める音質ってことです。

    低音ブースト系が苦手


     というのも、自分は低音がボーカル域にかぶっちゃう感じがどうも苦手で・・・まあ歳の影響もあるのかなぁ(笑)中高音をもっとクリアに聞きたくなるんですよね。
    参考 聴力と楽器の音域の関係:高音の聞こえない中高年もハイレゾは楽しめるのか? - アニメとスピーカーと

     特にアニソンの特徴として音圧の強い曲が多いですよね。キラキラした電子音や残響音、それに太い低音が合わさってどうしてもごちゃごちゃした音になりがちです。その辺をクリアに聴きたいです。まあ単純に強い低音は疲れるってのはありますけど。

     あと、アニソンといえば複数の女性ボーカル曲。一人一人の声のディテールがつぶれないように解像感も追求したいです。ボーカルを邪魔しない低音のバランスが重要。

     もちろん低音はちゃんと出てて欲しいんですけどね。低音がしっかり出ていると同時に中高音が聞き取りやすくクリアな音。よくできたフルレンジスピーカーのような音質が好みです。

    開放型ヘッドホンが好み


     もともと開放的な音が好きだったので、今使っている機種も開放型(オープンエアー型)のヘッドホンです。

    オーディオテクニカ ATH-AD300
    2003年の製品。当時は5千円台で購入。
    開放型にしては低音も出てマイルド音質の万能型です。

     密閉型がダメっていうわけじゃないんですよ。よくできた密閉型は非常に解像度が高いですし、何と言っても遮音性が高いので細かい音まで聞き取りやすいです。以前メインに使っていたSONYの密閉型もすごく解像感が高かったですしね。

     ただ、密閉型には独特の音質の傾向があって、自分好みの明るい傾向の音質は開放型の方が多いなぁと思うんですよね。低音も密閉型は出しやすいせいか低音重視の機種が多いですが、開放型の低音はすっきりして聴きやすいのが多いですね。

     最近のカナル型イヤホンに慣れている人は低音が弱いと感じちゃうみたいですが、ちゃんと低音も出てるんですけどね。

    クリアすぎる開放型は諸刃の剣


     とはいえクリアすぎる開放型を万人に勧める気はありません。クリアすぎるヘッドホンは録音ソースの持つ欠点を過剰に暴いてしまうデメリットがあるからです。

     特にアニソンの場合は音圧重視のマスタリングが多いと聞きますよね。ちょっと歪みが出ちゃってるような曲でもマイルドな音質のヘッドホンならそんなに気にならなかったりします。クリアすぎる音質のヘッドホンはこれ見よがしに欠点を目立たせちゃうんですよね。

     解像度が高いけどマイルドな音質のヘッドホンっていうのは楽曲ソースを選ばない点で存在価値が高いと思います。ある意味『本当のアニソン向け』ってのはこういうマイルドタイプかもしれません。

    万能の『マイルドタイプ』、聞き込みたい『クリアタイプ』


     でもアニソンだってすごく良い録音の曲も少なくないですよね。そんな曲はさらにクリアな音で聴きこみたいと思うわけで。そんな曲のために諸刃の剣であってもクリアな開放型ヘッドホンが欲しいんですよね。

     だから1台で全てをまかなうなら『万能型のマイルドタイプ』が無難だと思います。オーディオに絶対の正解はありません。好みや年齢、聴くジャンルによって方向性が変わりますからね。

     だから『これが正解』と言いたいのではなくて『こういう方向性の音が聞きたい!』と共感する人の参考になればと思って書きました。

    選定基準:開放型を中心にヌケの高い機種を試聴


     前置きが長くなってごめんなさい(笑)それではヘッドホン比較試聴の結果です。試聴環境は文末にまとめています。選定基準は次の通りです。

    • 希望予算は2万円前後
    • ただし試聴の価格帯は幅広く数千円〜数万円の範囲
    • 開放型はできるだけ試聴する方針
    • 密閉型でも抜けが良いと評判の機種は試聴してみる
    • ハイレゾ対応かどうかは関係無い
    • 行けるお店で試聴できる範囲

     選んだ機種が全て『おすすめ』ってわけじゃなくて、評判の機種を実際に聞いてみたときの感想メモを再構成した内容です。ランキングじゃないので順番は関係ありません

     当然測定とかできないので印象論になるのはご容赦ください。限られた時間に集中して試聴するためのアタリ付けに利用していただければと思います。

    オーディオテクニカ 6機種

    ATH-AD2000X クリアと厚みの両立、完璧な開放型。


    • クリアな音質と素晴らしい解像感
    • 低音もしっかり出てるのに邪魔しない
    • でも5万円台後半は高すぎる

     今や日本を代表するヘッドホンメーカーとなったオーディオテクニカ。開放型もたくさんの種類を発売しています。X型番は開放型ADシリーズの第3世代(※)です。
    ※ATH-AD7(2000年)を初代とした場合

     その開放型ヘッドホンのフラッグシップ機種。かなり予算オーバーだけどせっかくなので比較のために試聴してみました。


     一聴して非常にクリアな音質、シャープだけどきつく無い高音。すばらしい解像感と見通しの良さが快感です。

     一つ下のクラスであるAD1000Xも感心しましたが、そこへ低音の厚みが追加されています。でも決して中高音を邪魔しないのが不思議。素晴らしいバランスですね。適度に中音に厚みを持たせたピアノの存在感が素晴らしくて感動しました。

     先にAD1000Xを聞いていて『理想的な音だなぁ』と思ったのですが、さらに一段上の音があるとは・・・唸りましたね。

     解像感の高さはもちろんすごいのですが、ボーカルが生き生きとしていて聞いていて楽しくなります。AD1000Xを順当進化させた感じ。非の打ち所のない完璧な開放型サウンドだと思います。

     これ聴いちゃうとさすがに欲しい・・・だけど予算的にね。正直厳しいです。まあ高級機としては安い部類ですけどね。

    ATH-AD1000X クリアな高解像度。でもちょっと高い・・・


    • 一聴してわかるクリアな音質と解像感
    • 低音は少し軽めだけど十分出ている
    • 値段がもう少し安ければ・・・

     オーテク開放型2番手の機種。AD2000Xに比べると低音が軽い感じですがこれぞ開放型!という感じのクリアな音質と高解像度。一聴してこれだ!って思いました。


     解像感の高さだけでなくて女性ボーカルが聞いていて楽しい!複数ボーカルのユニゾンも生き生きとした感じで嬉しくなります。こういう音を求めていたって感じです。

     決して荒々しい感じではなくカリッとシャープな中高音。低音はしっかり出ているけど、スピード感があって中高音に影響せず理想的です。サ行がきつく聞こえることもなく聴きやすい音質です。

     装着感は旧シリーズ(現在使っているAD300)に比べるとちょっと固めな印象。でも耳を完全に覆うタイプの大型ハウジングですので耳が痛くなることはなさそう。コネクタは金属製でAD900Xシリーズとは違いを見せます。

     ただ、値段がね。3万円代後半はちょっと予算オーバー。2万円台だったらなぁ。しかもオーディオテクニカは値上げがあって以前より高くなってるのがね。ただ、購入の有力候補である事は確かです。

    ATH-AD900X 当初の本命。でもマイルドな印象になった。


    • 当初の本命だった機種
    • 解像度は高いけど意外とマイルドな万能タイプ
    • 値段的にはちょうど良い

     実は当初はこのATH-AD900Xを買う気満々だったんですよね。この一つ前の世代のAD900の音が好きだったので後継機のAD900Xも同じ傾向の音かなと思ってました。


    実は当初はこの機種にする予定だった。

     でも試聴してみるとびっくり。あれ?もっとクリアな感じだったような・・・たしかに今使っているAD300にくらべて高解像度ではあるんだけど、ちょっとソフトというかマイルドというか。自分がトシ取った事もあるのかもしれないけど求めていた音と違うんですよね。

     低音もしっかり出るし万人向けのマイルドな音質かなぁという感じ。AD300をより高解像度にした感じですね。でも買い換える理由としてAD300よりさらに開放的な音を求めていたので、残念ながら方向性が違うなぁって感じになりました。

     値段的にも丁度良い価格帯なんですけどね。AD1000Xだと高いしなぁ・・・って、今回の試聴行脚も実はこの機種の印象がきっかけになってます。

    ATH-AD500X マイルドな万人向けの開放型


    • マイルドな音で万能型
    • 開放型にしてはボリュームのある低音
    • 開放的な音は少し物足りない

     オーテク開放型のスタンダード機種。開放型にしてはマイルドな音ですね。厚みのある低音だけどわりと聞きやすい『万人向けの開放型』って感じです。解像感はほどほどですが値段を考えれば順当かな。音の傾向としては今使っているAD300に近い感じです。


     上位機種と同じ大型ハウジングですので装着感も楽で、映画にも音楽にも使える万能型という感じ。AV用のAVA500よりも落ち着いた感じの音質が『音楽向け』らしい特徴かもしれませんね。

     悪い機種ではないけど求める方向性は違う感じでした。
     ※AD700Xというのもあるんですが試聴できませんでした。

    ATH-AVA500 華やかでクリアな開放型のオススメ入門機


    • すごく華やかな楽しい音
    • 高級機の解像感には及ばない
    • 5千円台と安いので開放型入門機には良いかも
    • 装着感にちょっと注意

     映画などいわゆるAV向けのヘッドホンの上位機種。AV向けで開放型というのは珍しい感じもしますね。初見では硬めの低音が好印象。すっきりとした中音が聞きやすく華やかな音で、聴いていて楽しくなるタイプの音質ですね。


      高級機の解像度には及ばないけど、値段を考えるとかなり良いコストパフォーマンスじゃないですかね。開放型のクリアな音に興味があるけど予算がない人にはお勧めできる気がします。

     自分もこの機種使ってたら結構満足しちゃってたかも(笑)今回は解像感が高級機に及ばないのでパスしますがなかなか好印象でした。

     ただ装着感が独特なのが注意点ですかね。上部ヘッドバンドが固めで頭を抑えられる感じになります。自動調整なのですが、あらかじめ手で余裕持たせてから装着したほうが良いと思います。

     ハウジングはADシリーズと違い小さいのですが一応耳を全部覆うタイプ。長時間での装着感は実際に使ってみないとわからないですね。

    ATH-AVA300 マイルドでスタンダードなAV向け


    • 500に比べるとマイルドな映画向け
    • 装着感は悪くない

     オーテクAV向けの下位機種。AVA500に比べて厚い低音でソフトな鳴り方ですね。開放型ですが密閉型のようなマイルドな印象の音。


     マイルドという点で似ている音楽向けのAD500Xより解像度は落ちる感じですね。そういう意味では値段相当でしょうか。マイルドな音が好きな人はこれでも十分だけど、クリアな音が好みの人は、数千円アップしても上位機種のAVA500の方が楽しめそうです。

     装着感は悪くないです。ヘッドバンドは簡易的ですが上位機種のAVA500より軽快な感じで不快感はないです。ゴムバンドみたいでちょっと安っぽく見えるのがアレですが。

    KOSS 2機種

    Pro4S 密閉にしては抜けの良い解像感


    • 密閉型だけど抜けの良い解像感のある音
    • きらめきのある楽しい音質

     KOSSはアメリカのメーカー。モニターヘッドホンが有名みたいで日本ではTEACが代理店なんですね。この機種は密閉型ですが抜けの良さをアピールしていたので試聴してみました。

     たしかに抜けの良い解像感を感じます。硬めの低音なのでそれほど中高音に影響はないのも良い感じ。モニタらしい解像感ですが決してつまらない音でなくて、高音のきらめきがあって聞いていて楽しい感じがします。

     抜けのよい密閉型を求める人には高評価な気がしますね。ただ、密閉としてはということで、AD1000Xのような強烈な開放感ではありませんね。良い機種ですがちょっと方向性が違うので今回はパスします。

    PortaPro 見た目に反した太い低音とアメリカンな楽しい音


    • 見た目のインパクトはすごい
    • 見た目に反したすごい低音

     KOSSといえば日本で有名なのはPortaProの方ですね。安っぽいという人もいますが、アメリカンな感じがすごくかっこいいと思います。


     独特の形状のオープンタイプのヘッドホンですが装着感は悪くないですね。側圧を調整できますし耳に軽く乗る感じで痛みは感じないです。(長時間ではわからないですが)

     遮音性は他の開放型に比べても桁違いに低いです。店内の音が完全に聞こえるので試聴には不利ですね(笑)その辺は考慮して判断しなきゃかもしれません。

     一聴した印象は低音の太さ。開放型と見た目のイメージからは想像できない低音ですね。解像感はさほどでもないけど中高音もきらびやかで楽しさはあります。

     買いやすい価格を考えるとコストパフォーマンスは高いですね。ただ、解像度という点では上位機種に及ばないのと、低音の強さが自分の方向性が違うので今回はパスです。

     ちなみにPortaProは下記のブログを読んで興味を持ちました。
    外部リンク クソ耳の僕でも開放型ヘッドホンKOSS PORTA PROをオススメできる理由【4,000円台】- 理系男子のぐうの音 

    サトレックス 1機種

    DH291 解像度の高い密閉型


    • 解像感のある良質な密閉型の音
    • 外観はかなり独特の質感

     サトレックスは日本のヘッドホンメーカー。ブランドとしてはマイナーですが、OEM製造などで技術力は高いと評判ですね。見た目は安っぽいけど音質は評価が高いので聞いてみたいと思っていました。

     第一印象は低音が強めなものの中高音はキレイで埋もれない感じです。あくまで密閉型らしい音質ですが、解像度の高さは優秀な感じがしますね。繊細感と低音のバランスは良いと思いました。密閉型が好きな人は高評価するのも納得できる感じです。

     ただ、自分の求めている開放感の強い音とは違うので今回はパス。
     ※上位機種?のDH297-A1DR(Amazon)も発売されていたんですね。こちらも聞いてみたかった。

    JVC (JVCケンウッド)1機種

    HA-MX10-B モニターらしい高解像度と楽しさが両立


    • 密閉モニタ型だけど開放的な音
    • 解像度高くて、きらめく楽しい音と両立
    • 比較的安い
    • モニタ型の独特の装着感

     JVCは旧JVCビクターだった日本メーカー。今はケンウッドと合併しましたがオーディオブランドはJVCとして継続していますね。

     密閉型のプロ向けモニターヘッドホンですが、Amazonの評価などで『高解像度で楽しい音』と評判だったので試聴してみました。


     評判通りの高い解像感ですね。しかも中高音を邪魔しない低音が好印象です。モニタ用らしい解像度とバランスなんですけど、聞いていて楽しくなるボーカルが魅力的でした。

     注目は密閉型を感じさせない開放的な音質ですね。オーテクのAD1000Xに比べても良い線イッてます。なんといっても聞いていて楽しい感じが共通します。

     開放感という意味ではAD1000Xに少し分があります。でも若干質は違うとはいえHA-MX10-Bもクリアな印象では甲乙つけがたいです。ちょっと押し出しが強い感じもしますけどね。聞き込みたくなる音質って意味では魅力的です。

     ただ装着感がモニタ用らしい独特のもの。ハウジングが狭くてドライバーが耳に直接当たる感じです。短時間では特に問題無いのですが長時間はどうなんだろう?このタイプを使ったことが無いので不安はあります。

     価格も予算よりずっと低くて、この音質でコストパフォーマンスは高いです。密閉型ですが意外にも有力候補の一つですね。

    ゼンハイザー 1機種

    HD599 魅力的な外観 密閉っぽいサウンド


    • 外観は最高に美しい
    • 装着感もとても良い
    • 開放型にしてはマイルドな音質

     ゼンハイザーはドイツの音響機器メーカー。世界初のオープンエア型ヘッドホンを開発したメーカーなんですね。

     ゼンハイザーといえばHD599/HD598のアイボリー色が印象的ですね。色以外のデザインも無茶苦茶カッコいいです。外観でいえば一番憧れる製品です。



     聴いてみると意外と柔らかい音で低音もたっぷりした感じ。ソフトでとても聴きやすいけど解像感で聞かせる感じじゃないかなぁ・・・という印象。開放型というイメージよりは、密閉に近いマイルドな音質に感じました。

     卵型の細長いハウジングですが装着感はすごく良いです。外観も含めて所有した満足感は高そうですね。ただ音質は自分の好みと違う方向性なので今回はパスですね。

    DENON 1機種

    DENON 600 独特の音場感におどろく


    • 独特の音場感
    • 質の良い密閉型の解像度の高い音
    • 低音は固めで邪魔をしない

     DENONは日本のメーカー。日本コロムビアの音響機器部門でしたが、今はアンプが有名ですね。自分が初めて買ったアンプもDENONです。昔はデンオンでしたが今はデノンと読みますね。


     この機種は密閉型ですが解像感が良いと評判だったので試聴してみました。一聴して独特の音質というか音場感に驚きました。

     独特のすこし遠い感じの音場感ですね。シッカリした遮音性と合わせて高い没入感があります。硬い低音が聴きやすくて中高音の解像感を邪魔しないのは好印象。ジャンルによってはかなりハマるかもしれません。

     ただ、個人的には密閉型らしい音質と、独特の音場感が今回求めているものと違うのでパスですね。

    SONY  1機種(+α)

    MDR-MA900 ソニーの開放型 超軽い装着感 AV用途には最強かも


    • すばらしく軽い装着感
    • 開放型にしては低音が強め
    • 開放型だけどソニーらしい音質

     ソニーのオープンエア型。ソニーと言えば密閉がメインなので珍しいなと思いました。以前はMDR-CD850という大きな密閉型を使っていましたが、解像感が高くて好きな音でした。


     この機種は開放型にしてはしっかりした低音ですが、硬い感じなので中高音への影響は少なくて好印象ですね。解像度は高い感じだけど、他の開放型と比べるとマイルドな音の部類に感じます。

     密閉と開放のいいとこ取りなチューニングで、人によってはかなり好きな音かもしれません。開放型だけどソニーらしい音を目指しているのかな?

     装着感は非常に軽くて良好、値段を考えると安っぽく見えるけど、あの軽さ、側圧の弱さは超魅力です。一度付けると他のヘッドホンが煩わしくなるかもしれないくらいです。

     映画やゲームでの使用には最高かもしれないですね。ただ、やっぱりもっと開放型らしい音質を求めていたので残念ながらパスです。


    MDR-1A(番外編)ソニーの定番 今主流の音質を確認


    • 定番機種を比較用にあえて試聴
    • 低音ガッツリの主流の音質

     この機種は自分の好みとは違いそうなのですが、ソニーの定番ヘッドホンという事で比較のため試聴してみました。


     やっぱり低音強すぎて好みじゃないんですよね。中高音が埋もれる感じで解像感がわかりにくくて・・・ただ、今はこの傾向の音質が主流かなと思います。

     実際かなり支持されている製品ですしね。別に否定するわけじゃ無いけど定番商品が自分に合わないっていうのを確認できたので意味がありましたね。

    フィリップス1機種

    Fidelio F1 ちっちゃいのにクリアな音質


    • ポータブルとバカにできない密閉型
    • 装着感も良好

     フィリップスはオランダの世界的総合電機メーカー。オーディオ分野ではよく知りませんでしたがヘッドホンも出してるんですね。

     こちらは密閉型のポータブルタイプなんですが、クリアな音質というポップが付いていたので試聴してみました。耳を挟むタイプだけど側圧弱くて意外に装着感が良いですね。見た目はおもちゃみたいですがよく見ると高級感があります。



     音質は中音が聞きやすくて気持ちの良い音です。低音もしっかり出ている感じ。簡易的な見た目のイメージとは違うバランスの良い音で、耳覆いタイプと遜色ありません。

     密閉型なので音漏れも少なそうですから、持ち運び可能な機種としてはかなり良い感じですね。

     この見た目にこの値段なのでちょっと高く感じますけど、目的があえば欲しい商品かも。ただ、音自体は密閉型らしい音には違いないです。今回は室内で開放感のある音質を重視なのでパスですね。

    その他(番外編)

    beyerdynamic  dt990 /AKG k712


    • ヘッドホンアンプがないと十分な性能を発揮できないと判断

     その他、海外メーカーの開放型を試したのですが、DAP直差しだと音量が十分とれなくて評価外としました。聞ける範囲では割とマイルドな音に聞こえたのですが、ヘッドホンアンプを使用しないと性能が引き出せない気がします。

     実際の使用では室内で聞くから大丈夫なんですけど、音質の評価って意味ではフェアじゃ無いですからね。


     この機種を試聴する場合はヘッドホンアンプがあったほうが良いかもしれません。聴けなくは無いけどうるさい店内だと評価が難しいです。AKGとか有名なので期待してたんですけどね。

    結論:購入候補はこの3機種!


     開放型や評判の良い機種をいろいろ聴いてみましたが、音質的に候補になったのは次の3つですね。

    • ATH-AD2000X(audio-technics)開放型・5万円後半
    • ATH-AD1000X(audio-technica)開放型・3万円半ば
    • HA-MX10-B(JVC)密閉型・1万円前半

     純粋に音質ではやっぱりAD2000Xですかね。音質的には完璧です。ただちょっと価格が高すぎて手が出ないですね。

     僅差でAD1000Xです。AD2000Xに比べれば低音の厚みに劣りますが十分理想的な音質です。正直AD1000Xが2万円台前半だったら即決なんですけどね・・・。

     HA-MX10-Bは密閉型ですが音質的にはかなり好みでした。AD1000Xと比べると方向性は微妙に違いますが解像感も高くて満足度は高いです。クリアさはAD1000Xには少し及びませんが楽しさという点ではAD1000Xと同様の魅力があります。

     なんといっても価格が安いのは魅力的。予算よりかなり低いです。ただ難点はモニタヘッドホン独特の装着感。あの感じが慣れないので心配ですね。

     2万円クラスのAD900Xが期待通りの音ならよかったのですが ・・・

    試聴環境について


     今回試聴に使った機材などは次の通りです。

     マニアな方からは『おいおい、iPodTouch直差しかよ〜』って言われるかもしれませんが、いつも音楽聴くのはMacからDAC経由なのでポータブルプレイヤー(DAP)はこれしかないんです。

     とはいえ、iPodTouchの音質もまあまあのレベルですし、なにより聞き慣れた環境で比べるのに意味があると思います。

     メインの試聴曲は『対魔導学園35試験小隊』OP曲です。選んだ理由は好きでよく聴き込んでいるからですが、音質も良すぎず悪すぎずちょうどいい感じ。アニメ曲らしく電子音や残響音も多く含み、女性の複数ボーカルで解像感などが比較しやすいので選びました。

     試聴させていただいたお店はヨドバシカメラさいたま新都心店ケーズデンキ菖蒲店さんです。ヨドバシは海外機種含めて凄い種類があります。ケーズも国内メーカー中心ですが結構良い品揃えでした。

     どちらも自分のプレイヤーで自由に試聴できるので楽しいですね。映画を見に行くついでに度々お邪魔しました。埼玉ですと今回は行けませんでしたが、越谷レイクタウンのノジマ オーディオスクエアが有名ですね

     とはいえ音の多い店内での試聴ですし、開放型のヘッドホンは外の音が入ってくるので環境としては厳しいです。どうしてもボリュームを大きくした状態での試聴となっています。

    最後に:機種ごとの個性に驚いた


     今回、実際は上記以外の機種も短時間ですが試聴したんですが、本当に機種ごとの個性を感じました。密閉型や開放型と一言では言えない個性がありますね。

     あと、数万円レベルの比較的上級レベルの機種でも方向性がかなり違いますね。高いやつなら『どれも高音質』には違いないけど、種類が多いのは意味があるんですよね。(まあ10万円オーバーのは別かもしれませんが)

     確かに高価な機材は解像度が高いし音場も広く感じます。でも解像度は高いけどマイルドな印象の音もあるしカリッとしたシャープな印象の音もありますね。低音も硬めの音からパンチ力を重視する音まで色々です。

     逆に1万円以下の安価な機種でも見るべき製品がありますね。総合的な性能は高級機には劣りますが、ちゃんと方向性をもって設計されている製品が多いと思いました。それぞれの価格帯で自分好みの音質で選ぶことができるようになっていると思います。

     あとは、最終的に買う機種を決めるのですが・・・悩ましいですね。良い歳して数万円のヘッドホンで悩むのもどうかと思うのですが(笑)他にも欲しいものありますからね。購入したらまたこちらでレビューしたいと思います!

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    映画『この世界の片隅に』 感想:メンタルの危機をきんモザに救われた。

     映画『この世界の片隅に』を見てきました。

     本当に名作中の名作として語り継がれる作品になるんだろうなと思いました。片渕須直 監督の事はよく知りませんでしたが、クラウドファウンディングで応援した皆さんには敬意を表したいです。

    全編美しい水彩調の映像で表現される作品
    2016年はアニメ映画界において歴史的な年かもしれない
    本予告より画像引用(当ブログの画像引用について
    ©こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

     2016年がアニメ映画界において特別な年であることを象徴する作品でした。それぞれ個性があるので優劣はつけられませんが、本作は本当に観るべき価値のある作品だと思います。

     でもですね、それを前提にした上で、ど〜うしても言いたい事があります・・・それは・・・感動しやすい人はマジで注意してねっ!って事。

    ※予告編以上の重大なネタバレはないレビューです。

    感動屋さんはメンタルケアに注意!


     もうね・・・超絶メンタルにきちゃいましたよ・・・半端ないです。みんな同じかと思ったけどTwitter見たら意外にヤられてない人多いみたいでビックリしました。まあ、感じ方はそれぞれですからね。

    『この世界の片隅に』本予告(公式配信)
    ©こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

     ちょっとメンタル弱い・・・というか、共感性や感受性が過剰気味な人ね。すぐ感情移入して感動しちゃう人は身構えた方が良いです。

     例えば、映画『聲の形』を観たあと軽く寝込んじゃうようなメンタルの人・・・まぁ自分がそうなんですが・・・『この世界の片隅に』はあまりに感情を揺さぶられすぎて本当にヤバかったです。『聲の形』が癒し系に感じるくらいですよ。

     誤解して欲しくないのは過激描写で見せる作品じゃないので、子供に危険とかじゃないんですよね。むしろ退屈になっちゃう子もいるかもしれないです。大人の方が心に響くという事で。

    (補足)あくまで一部の人であって、多くの方にとっては特に身構える作品ではありません。コメント頂けた下記の『もあい様』のような感想もとても多い作品です。本当に見る人によって感じ方の違う作品だなぁと思います。
    私は鑑賞後晴れやかというか穏やかな気持ちで映画館を後にすることができたので、katoさんの感想やコメント欄を拝見し「私は本当にこの人達と同じ映画を見たのか……?」と少々戸惑っています(笑) - もあい様のコメントより引用

    『日常系』じゃないってば・・・


     でもちょっとビックリしたのは、この作品を『日常系』と評する意見がある事ですね。ましてや『日常系萌えアニメ』とする方もいらっしゃったりして。
    『「戦争もの」「太平洋戦争末期のお話」「広島にほど近い呉が舞台」という先入観はことごとく崩されてしまった。これは「萌えアニメ」だ。それも日常系萌えアニメである。』狐の王国 より引用 (※)

     ここで言葉尻の批判をしたいわけじゃないんですよ。『日常系』っていうのも言葉のアヤなのは理解しています。個人的には、本作は『日常を描いた作品』であって『日常系萌えアニメ』ではないと思いますけどね。別に撤回してほしいと言いたいわけじゃないです。(言葉についての意見は文末で)

     ただ、私が言いたいのは、この作品は一部の人に対してはかなり精神的な衝撃が大きいので注意してほしいという事です。日常系+αみたいな表現はちょっとミスリードを誘うのではないかと心配するのです。

     まぁ、自分みたいにちょっと極端な反応する人はわずかかもしれませんけどね・・・自分は子供のいない夫婦なのでストーリー的に直撃弾だったのかもしれないし。

     いずれにせよ、見るのにちょっと覚悟が必要な人がいる。感動しやすい自覚のある人はちょっと注意してほしいです。でも、それでも、心に痛みを感じるかもしれないけど、そのリスクを冒しても本当に見る価値のある作品だと思います。

    ※狐の王国のKoshianX氏よりブックマークコメントいただきました。

    痛みは癒えていないけど・・・


     今回、映画のストーリーに踏み込んだ感想は書けません。とてもまだ、自分はこの作品に正面から向き合う事が出来ないんですよね。主人公のすずさんの事を考えただけで心が震えてきて、正直言うと思い出すのが怖いです・・・。

    元 能年玲奈さんである『のん』演じるすずさん。
    今回予告編の再見だけでも精神的にヤバくなってきた・・・。
    ©こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

     だから、この作品を見た後に自分の精神はどんな反応を示したのか、そしてどうやって悲しみから回復したのかを書いてみます。同じような人の参考になればと思います。繰り返しますが、それでも見る価値のある作品です。

     戦時中の話ですからね、もちろん見る前からある程度の覚悟はしていましたよ。ツイッターの試写での声や、町山智浩さんのレビューも聞きました。ああ、これは精神的に相当きちゃうかなぁ・・・と身構えてはいました。

    こんな戦時中の描写は初めて


     でもいざ見てみると・・・そっちから来るかぁ〜!って感じで、もうどうしようも無かったですね。心の奥の奥の大切な部分が大きく揺り動かされて、感情の振幅は自分の許容範囲を超えてしまいました。

     ほんと、冒頭でも書きましたが過激な描写で泣かせるわけじゃないんですよね。戦争作品にありがちな嫌な奴ってのが本当に少なくって、日常描写が楽しい戦争作品って本当に珍しいと思います。

     呉という舞台ならではの、出征しない若い夫婦の描写って本当に新鮮だったし瑞々しい描き方でした。内地勤務の法務武官の生活を描くのって初めて見た気がします。

    内地勤務である夫との生活
    辛さはあれども瑞々しい日常が印象的
    ©こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

     同じ戦時中を描いたアニメ『火垂るの墓』が、嫌な人いっぱいの作品で、辛さの連続でしたよね。それに対して『この世界の片隅に』 は小さな幸せや喜びの積み重ねがたくさんあって、だからこそ一層重いパンチのように効いてしまうのかもしれません。

    涙の種類が違う


     だから、いざ感想を書こうと主人公のすずさんのことを思い出そうとするだけで精神的に普通ではいられなくなります。たしかに、本年の大傑作である『君の名は。』や『聲の形』でも号泣と言って良いくらいすごく泣きました。

     でもね、その涙にはある種の心地よさがあったんですよね。泣いた後はグッタリしてしまうけど、しばらく余韻に浸っていたいような気分・・・また何度でも見に行きたいって気分です。

     自分にとって『この世界の片隅に』の涙はそういうのではなかった。盛り上がって気持ちよく感動できる作品じゃない。涙が流れても心の悲しさは解消されず残ってしまう
     
     ボディーブローのように効いてくるという意味では『聲の形』に近い感覚だけど、『この世界の片隅に』はいきなり初見でどうしようもなくなってしまいました。
    (参考)映画 聲の形 の感想 前編:全てにピントが合った時の衝撃に言葉が出なかった - アニメとスピーカーと

    メンタルの危機を感じた


     エンドクレジットが明けても涙が止まらなくって、上映後にフラフラとトイレの個室に駆け込んで嗚咽しました。こんなことは今まで経験がなかったです。

     ようやく落ち着いた気がして暗くなった駐車場に戻りました。一息ついて水を飲んで、買っていたおにぎりを食べた途端、また突然どうしようもなく嗚咽・・・。

     まさにむせび泣くという感じで、車の中一人で声をあげて泣いてしまいました。しかも何度も・・・別に映画の事とか思い出してないんですよ。ただ食べようとしただけ。

     こんなのはいくら何でも初めてで、正直メンタルの危険を感じるというか、軽いPTSDになるのではないかと本気で心配になってきました。というか運転して帰れるのか・・・俺。

     しばらく休んで、落ち着いてから感情を殺して運転していましたが、ふとした瞬間に心が揺れてしまう。このまま家に帰って奥さんとまともに会話できるだろうか・・・精神的に普通に戻れるのか不安になりました。

    きんモザに救われる・・・


     いつもですと、映画で感動した後は音楽とかって聞かないんです。余韻に浸りたいんですよね。でも、今回ばかりはね、このまま帰宅すると自分の心が持たないような気がしました。

     そんな時、本当に幸運だったんですが、一昨日に見たばかりの映画『きんいろモザイク Pretty Days』のEDテーマ『Starring!!』をiPodに入れたばかりだったんです。とっても気に入った曲だったので、これで気を紛らわそうとしました。

     すると信じられないほどの涙・・・この曲でここまで泣くなんてウソ見たいですが、いままで我慢していた感情が一気に爆発したように号泣しました。まさかこの曲で泣くなんて想像もしてなかったよ。

    悲しみが幸せに振り替わる


     夜だったので暗がりに停められてラッキーでした。本当に楽しくて幸せなこの曲を何度も泣きながらリピートして口ずさんでいると、これが不思議・・・きんモザで感動したような錯覚に陥ってくるのです

     つらくて悲しい感情で溢れてしまった精神が、きんモザの幸せな感情にどんどん『振り替えられていく』のを実感して驚きました。何回リピートしたか忘れましたが、涙が枯れるころにはすっかり幸せで感動したような心地よい気分に。

    amazon MP3 (試聴あり)
    過剰な感情の揺れをきんモザで消費する事で、『悲しい感動』が『幸せな感動』に振り替えられた。

     本当に冗談みたいな話ですがネタではなくて本当です。

     前回の投稿で、きんモザに代表される日常系萌えアニメは『大人の癒し』であると書きましたが、まさかこんな形で救われるとは想像もしていませんでした。

    奇跡的な神の采配


     2016年後半の傑作アニメ映画『君の名は。』『聲の形』『この世界の片隅に』 の3本。この公開順序も奇跡的な並びだと思ったものです。

     でも自分は『この世界の片隅に』 と『きんいろモザイクPretty Days』が同日公開である事の奇跡に感謝せずにはいられない。

     『この世界の片隅に』がアイスクリームなら『きんいろモザイクPD』は添えられたウエハースのように悲しみの心を癒してくれる存在。アニメの神様がいるなら本当に気の利いた事をしてくれたものです。

    速やかな回復ができたけど・・・


     帰宅して奥さんと会った時には、なんとか会話ができるほどまで感情が回復してきました。今回奥さんと一緒に行く予定だったのですが、予定が変わって一人で行ったのは結果的にラッキーでした。

     いくら何でもここまで自分の心がやられるとは思っていなかったですからね。泣き過ぎたせいかひどい頭痛と胃痛でぐったり。夜中にまた精神的に不安定になったので、起きてきんモザの楽曲を聞き直しました。

     影響が心の芯に響いてくる感じなので、より心身への影響が大きいです。幸い2日ほどで回復できましたが、きんモザがなければもっと長く引きずってたと思います。

     副作用で、未だにきんモザEDの『Starring!!』を聞くと泣けてきますけどね・・・。

     感動しやすい自覚のある人は、頭痛薬や胃薬などストレス対応の薬を用意するのはもちろんですが、鑑賞後にネガティブな心の揺れを、幸せな気分に振り替えられる音楽などを用意するなど、準備をすることをお勧めします。

     でも、何度も言いますが、それだけしても見る価値のある作品です。

    こだわりの兵器描写


     宮崎駿氏に勝るとも劣らない兵器描写へのこだわりを持つといわれる片渕須直 監督。本作では人間描写のみならず、兵器の正確な描写も話題でしたね。

    水彩調の美しい色彩だけど
    兵器や設備、街並みまで非常にこだわって描かれている
    ©こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

     自分も人並みには戦争の知識はあると思っていましたが、初めて知った事がいくつもありました。空襲といえば街を焼き払うための焼夷弾の事はよく聞いていますが、基地を破壊するための爆弾についてはよく知りませんでした。

     また、高射砲が山の上に作られる事、高射砲の弾薬は着色されている事、上空の炸裂弾の破片が降り注ぎ危険な事など、なるほどと思う事が多かったです。

     また、湾に入港する戦艦の巨大な姿や、破壊前の軍港の様子なども興味深く、単なる反戦作品かと敬遠しているアニメファンにもお薦めしたいですね。
    (参考)軍への記述が共感できる記事でした。「この世界の片隅に」は大傑作戦争映画だ。戦争映画マニア必見。 -  新リストラなう日記 たぬきち最後の日々 より

    日常系と新日常系と・・・


     冒頭でも書きましたが、さすがに本作を『日常系アニメ』とするのはどうかなぁと思うんですよね。もちろん、単に日常が描かれているから『日常系』と表現してたりする人もいるでしょうし、冗談半分であえて言っている人もいるでしょうけど。

    https://ja.wikipedia.org/wiki/空気系

     まあキャッチーな言葉ですし、そう表現したくなる作品ではありますけど。

     でもやっぱり『日常を描いた作品』と言うべきじゃないかなぁ。『日常系』アニメに『厳しい現実』や『悲しみ』を描くのは用語上の矛盾ですよね。

     まして、いくらキャラ萌えしたとしても『日常系萌えアニメ』は明らかにミスリードを誘う表現だと思うので怖い。

     今回調べて初めて知ったのですけど、『日常系萌えアニメ』に『厳しい現実』を付加した作品は『新日常系』という呼び名があるんですね
    『一見すると登場人物はいつも日常を送っているようで、実はその背景となる世界は過酷な状況や運命が潜み、いつ日常が壊れるか危うい日々の物語が「新日常系」という、新たな概念として分類されている。つまり、ハートフルと見せかけて、ハートフルボッコな作品のことである』ピクシブ百科事典 - 新日常系 - より

     今回は『日常系』より、対極の意味となる『新日常系』という用語が適切だと思いますが、いかんせん一般への認知度は低いので伝わりにくいですね。

     そういう意味ではTwitterでの Dieske (@diecoo1025)氏の発言が面白いです。


     つまり・・・『 日常系 』という事ですね。新日常系の意味を視覚的に訴える秀逸なアイディアで感心しました。

    観るべき価値のある作品


     まあ、いずれにせよ、この作品はやっぱりド直球に『本当に観る価値のある傑作』と言いたいかな。多くの人に見てもらいたい、でもあくまで自己責任でどうぞ(※)という感じ。

    (※)追記:ブックマークコメントで指摘がありましたが、危険な作品という意味では全然なくて『知った上で』という意味です。『日常系と聞いていたのに・・・』という不意打ち感で楽しむ作品ではないと思うので・・・誤解させちゃったらごめんなさい。

     戦時中の若い夫婦の日常を瑞々しく描き、できるだけバイアスを排して戦争を描き、元能年玲奈さんである『のん』演じる『すずさん』の奇跡的にシンクロする演技に驚愕する、他に比類のない作品です。

     ただ、自分はまだ2回目を見にいく勇気がありません。奥さんにも見てほしいけど、自分みたいな気分にさせたらかわいそうな気もするし。(でも奥さんは自分ほどは感動屋じゃないので大丈夫かな)

     とにかく、本当に見に行ってよかったです。監督はじめこの作品を制作した皆さん、支援した皆さんには心から敬意を表したい作品でした。

    原作:こうの史代
    監督・脚本:片渕須直
    音楽:コトリンゴ
    企画:丸山正雄/監督補・画面構成:浦谷千恵
    キャラクターデザイン・作画監督:松原秀典
    色彩設計:坂本いずみ
    アニメーション制作 : MAPPA

    この世界の片隅に 公式サイト
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    映画 きんいろモザイク Pretty Days 感想:幸せをくれる甘いファンタジー

     初日に見てきました!映画『きんいろモザイク Pretty Days』。
     鑑賞後の後味がとっても良くて気持ち良く映画館を後にできる作品でしたね。後半はかなり笑ってしまって、なかなか幸せな気分にさせてもらいました。

    「きんいろモザイク Pretty Days」CM(上映中)
    KADOKAWAanime (公式配信)
    ©原悠衣・芳文社/きんいろモザイク Pretty Days製作委員会

     映画と言っても新作スペシャルエピソードと題した49分の中編で値段も一律1,200円。ちょっと別用があったついでにサクッと見られる気軽さでした。

    ※以下軽いネタバレありのレビューですので未見の方はご注意ください。

    意外と万人向けのエピソード・ゼロ?


     きんモザの映画と聞いてどんな話にするつもりだろう・・・と思っていましたが、公開前の特報を見るとしっとりした雰囲気で、おお!なんか映画っぽい・・・と思ったんですけどね。

    大宮 忍(右)をメインにした話かと思いきや
    小路 綾(左)に焦点を当てたストーリー
    ©原悠衣・芳文社/きんいろモザイク Pretty Days製作委員会
    特報/CMより画像引用
    当ブログの画像引用について

     特報ではしのちゃんに何か起こるのかな・・・って雰囲気でしたよね。でも公式サイトみると完全にお祭りな感じでちょっと内容が想像つきませんでした。

     蓋を開けてみればTVシリーズの続編というよりも『エピソード・ゼロ』的な物語で、TV版本編に詳しくない人でも全然OKな感じでしたね。日常系とはいえストーリーもしっかりあって、むしろTVシリーズよりわかりやすいくらいで万人向けになってた気がします。

     現在休業中の種田梨沙さんが出演という事で注目してましたが、小路 綾ちゃん視点のエピソードとはいえほとんど主役級の出演でびっくりしましたね。

    エンディングが無茶苦茶よかった


     中盤までのちょっとしっとりした回想エピソードから、エンディングにかけてのコメディー連打でグッグッと盛り上げてくる感じが、短時間のTVではできないすごくいい構成でした。

    綾ちゃんの衣装は最高に可愛かった
    赤面シーンもたくさんあるしお芝居シーンも素晴らしい
    ©原悠衣・芳文社/きんいろモザイク Pretty Days製作委員会

     プレゼントシーンとか演劇シーンはおもわず体震わせて笑ってしまったのですけど・・・両隣の人はあまり笑ってなかったのでアレッ?って感じでしたけど、個人的にはかなりツボにはまりました。

    かなり笑ってしまいました・・・
    ©原悠衣・芳文社/きんいろモザイク Pretty Days製作委員会

     そこで盛り上がったまま突入するエンディングが最高でしたね。ED曲の『Starring!!』がすっごく気持ちの良い曲で、本当にもっと続いて欲しい・・・って感じでした。曲中にエピローグ挟み込んでくる演出もすごく良かったなぁ。

    amazon MP3 (試聴あり)

    日常系アニメへの偏見


     正直言うと、日常系アニメは結構苦手なジャンルだったりするんですけどね。日常系って言ってもいろんな種類があってひとくくりにはできない訳ですけど。

     特に萌え度の高い日常系っていうのは良い歳して見るのはちょっと抵抗があるわけで、食わず嫌いで見てない作品もまだ多いのですけどね。ようやく最近は偏見もなくなってきて素直な気持ちで見る事ができるようになりました。

     見た中で好きだったのは『ゆゆ式』や『恋愛ラボ』ですかね。(恋愛ラボはラブコメかな?)個人的に日常系で合う合わないのポイントの一つは笑いどころが合うかどうかってのがありますね。

    コメディ要素が強い日常系が好みかも(画像/amazon)

     この二つは笑いどころもツボにはまってましたね。でも萌えって意味では実はそれほどでもなくて日常系コメディー作品として見てたのかな。

     ちなみに入れなかった作品は『みなみけ』かな。4期しか見てないけど、びっくりするくらい理解できませんでしたね。1期から見れば違うんだろうか・・・。

    日常すぎると入れなかったり・・・


     萌えという点では『ご注文はうさぎですか?』ですかね。キャラやOPはすごく好きなんですけど、肝心の本編は日常すぎてあまり入れなかったんですよね・・・本編あまり見ないけど好きって感じ。

    ごちうさはストーリーには入れなかったけど萌えという点では好きな作品
    (画像/amazon)

     その点『きんいろモザイク』は独特のコメディ感があって『ごちうさ』よりは入れる感じでした。とはいえ眠くなっちゃう回もあってファンかと言われると・・・怪しいのですが、なんといってもキャラの魅力は抜群ですよね。

     今回の『きんいろモザイク Pretty Days』は自分のような純粋な日常系がちょっと苦手な人にも入りやすいストーリー展開でよかったです。

    日常系萌えアニメの魅力とは


     今となっては『萌えアニメ』って言葉自体がちょっと死語っぽくなってますけど、日常系アニメにおける萌えってある意味『キモ』というか、そこを楽しむための作品ですよね。

     萌え要素ってのは今やジャンルを超えて広くあるわけですけど、その他のいろんな要素を取り払い、濁りを沈殿させて、透き通ったきれ〜な上澄みだけをすくって鑑賞するような、純粋な『萌え』を楽しむのが日常系作品じゃないか、というのが自分の認識なんですよね。

     ある意味で、アニメ界における粋人というか数寄向けの作品ですよね。一見子供向けのようでありながら、実は大人のファンに向けた作品なので、見慣れない人には『日曜の朝にやっている子供向けアニメ』とどう違うのかわからないですよね。

     子供向けアニメが『未来ある幼い子供達に夢と希望を与える作品』だとすれば、大人向け日常アニメは『厳しい現実を生きる大人たちに癒しと生きる望みを与える作品』。

     自分へのご褒美に甘いお菓子を食べるように、甘くて楽しい夢の時間を与えてくれるフィクションな訳です。

    日常系萌えアニメはアニメファンにとって甘いファンタジー
    ©原悠衣・芳文社/きんいろモザイク Pretty Days製作委員会

     きんモザ難民ごちうさ難民なんて言葉もあったように、厳しい現実を前にこれらの作品を必要とする人々が大勢いるわけですよね。だから日常系作品は現実を乗り越えるための究極のファンタジー

     非現実的だと批判するのは野暮なわけで『あんな女子高生はいない』なんてのは『ミッキーマウスはいない』と言っているのと同じくらいナンセンスなわけですよね。

     そういう意味では『きんいろモザイク』は日常系萌えアニメとしてはまさに、保守本流の系譜を受け継ぐ作品なのかもしれません。

    幸せな気分で帰れる作品


     凄まじい名作が目白押しの2016年のアニメ映画界。本作はたしかに号泣もしないし考えさせる事もない、毒や痛みを抜いた、悪い人は誰一人いないフワフワした作品です。

     でもこんな、ただただ(一部の人を)幸せな気分にしてくれるだけの作品が映画館で流れているような世の中は嫌いじゃないな・・・と思うんですよね。

     まあ細かい事を言えば気になる所もなくはないけど、『きんいろモザイク Pretty Days』は秋の休日を鼻歌歌いながら映画館を後にしたくなるような素敵な作品に仕上がっていたと思います!

    監督:天衝/副監督:名和宗則
    脚本:高橋龍也
    キャラクターデザイン・総作画監督:植田和幸
    色彩設計:歌川律子・木村聡子
    プロデュース:ジェンコ/アニメーション制作:Studio五組
    公式サイト:http://www.kinmosa.com

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    聴力と楽器の音域の関係:高音の聞こえない中高年もハイレゾは楽しめるのか?

     オーディオの世界ではハイレゾの流行も定着してきた感じがしますね。アニソン系の楽曲もハイレゾ版が普通に配信されてますけど、自分はすっかり乗り遅れちゃいました

     というのも、自分も中年になって聴力も衰え始めてるわけで・・・。ハイレゾ用に高額な機器とソフトを用意する意味があるのかなぁ・・って思うんですよね。

    ハイレゾじゃないけどStereo誌(2010)付録のFostex P650
    再生帯域はf0~20kHzだけど高音域は聞こえているのか?
    中高年のオーディオファンにとって気になるのが聴力

     ハイレゾの特徴はCDを超える超高音域と巨大なデータ量による細かな表現

     わかりやすいのが超高域ですよね。『ハイレゾ対応』って機器の多くが超高音を再生できますって事だったりするし。

     CDを越える20kHz(2万Hz)以上の高音(40kHz位)を再生できるというやつですが、人間の可聴領域はせいぜい22kHzなんだから無駄じゃない?とたびたび論争になりますよね。

     でも、そもそも中高年になったらCDの20kHzだって聞こえなくなるわけで。中年以降はオーディオが楽しめなくなるとしたら・・・ちょっと怖いですよね。

     今回は高音の聴力とオーディオの関係について調べてみました。

    自分の聴力を検査してみる


     聴力検査といえば健康診断ですが、実は病院での聴力検査は『8kHz以下』しか検査しないそうです。つまり8kHz以上の高音は『日常生活で必要性が低い』ので検査しないんだそうです。(参考:神尾記念病院

     でもオーディオ的には8kHzじゃあ話にならないですよね(笑)今はカンタンに検査できるスマホアプリも出ています。また、このブログでもスピーカー測定用の音源を公開しています。
    (参考:ブラウザですぐ聴けます)スピーカー聴感測定用テストデータ1(高音域の部)/(中音域の部)/(低音域の部

    耳年齢を測ろう! スマホアプリ
    色々あるけどiOS5以降対応で、iPodToch 4th でも使えるアプリ(無料)

    15kHzまでしか聞こえない世界とは・・・?


     検査の結果驚愕の事実が!というか予想どおりなのですが(笑)自分の聴覚は15kHzがやっとでした。がっくり。

     このアプリでは15kHzが聞こえれば30歳以下という認定みたいですが・・・まあ40代前半としては普通みたいですね。
    (測定結果)ギャー、頑張って15kHzがやっと。
    なんと奥さんは同年代なのに19kHzが聞こえる・・・。
    © AxIS Co. Ltd

     おそらく10代の頃はもっと聞こえていたはずだから、その頃から考えるとかなり落ちている聴力・・・それでは15kHzまでしか聞こえない世界とはどんなものなのか!知りたくないですか?

     一言で言えば、『とくに変わらない』ですね・・・あはは。微妙に老眼を感じている視力に比べると日常生活では全くと言っていいほど認識できません

    聴覚の衰えは自覚できるのか?


     じゃあオーディオ的にはどうなのか?と言われると、これもかなり微妙・・・。今でこそアニソン中心に聴いてますが、吹奏楽部だったので若いころはクラッシックまで幅広く聴いていました。

     その当時のソフトを聴いても自覚は難しいですね。確かにもう少しシンバル華やかさが欲しいと思ったり、ちょっと満足できない感もあったりもします。

     でもなぁ、使っている機材のグレードがねぇ(笑)妥協して買った機材なので、前から不満はあったんですよね。『シンバルの華やかさ』なんて結構レベルの高い話じゃないですか。これがすべて聴覚のせいかと言われると・・・どうでしょう?

     音楽を聞く時はヘッドホンで集中して聞くことも多いのですが、聴力の劣化を自覚できているかといえば・・・・しているような?気もする・・・程度のかなり微妙な感覚です。

     明らかに15kHz以上は聞こえてないのに、どうしてこれほど自覚が無いんでしょう?

    楽器の音の範囲って結構せまい?


     15kHzだの20kHzだの数字で言われてもピンと来ませんが、実際の楽器の音程範囲はどうなのでしょうか。

      下記の引用先によると、極めて広い範囲をカバーできるピアノですら上限4kHzほど。ソプラノ歌手も1kHzくらいまでが一般的なようで意外と低いんですね。
    『CDは20kHzという超高域まで記録・再生できるにもかかわらず20kHzまでの超高音出せる楽器は存在しない。楽器の中でももっとも広い音域を誇るピアノであっても一般的な88健では最低音(Aまたはラ)が約27Hz、最高音(Cまたはド)も約4200Hzでしかない。』
    copyright © Mycar-life.
    #1: 音の周波数帯域とは何かを知ろう - カーオーディオ情報サイト・マイカーライフ より引用
    ピアノ:最低音 27Hz - 最高音 4186Hz(約4.2kHz)

     これを聞くと15kHzどころか10kHzだって必要ないじゃん!と思いそうですが、実際には楽器の音には倍音成分が含まれるのでもっと高い音も発生するんですね。

    倍音成分は高域まで伸びている


     実際に倍音成分を測定したのが下記の引用先。鍵盤楽器で和音を弾いたところ、出した音の音域以外まで幅広く音が測定できた事が書いてあります。

     弾いた和音は130Hzから520Hz(0.13-0.52kHz)程度の低めの音です。しかしグラフを見ると1,000Hz(1kHz)を超え、遥かに高域の20kHzまで倍音成分が観測されています。特にグランドピアノ(緑)は高域の倍音成分が豊かであることがわかりますね。
     『和音を同じような強さで弾いてもらいました。和音は真ん中のドを中心とした和音、記号で言えば、C3、C4、E4、G4、C5の和音です。』
    Copyright © (株)ふくろう不動産
    グランドピアノと電子ピアノの音の周波数を計測してみました- (株)ふくろう不動産 より引用

     簡易測定とはいえ、楽器の基音域だけ聞こえれば十分とは言えないのは確かなようです。

     でも逆に考えると、倍音成分が多少削られる程度なわけで、楽器や音声の音域は15kHzも聞こえれば十分との見方もできますね。

    聞こえない高音の意味はあるのか


     とりあえず15kHz以上の超高域が聞こえなくてもオーディオ的には不満なく楽しめる感じです。じゃあ聞こえない高音にこだわる意味あるの?という事ですよね。

     『超音波を体で感じる』という説もありますが個人的にはあまり賛同できないんですよね。

     一つわりと納得できる説としては『超高域の信号がそれ以下の帯域信号の質に影響する』という説。超高域を記録することによる可聴範囲の信号に対する影響については考慮する必要はあるかもしれません。

     実際下記のような意見もありますし、オーディオ工作でも超高域ノイズの可聴領域への影響を考えると、一概には否定できないよなぁと思ったりします。
     楽器の録音の場合も同様で,不可聴域の成分が録音されていると,再生時に可聴域の音に影響を及ぼすということが言えます。(中略)
     人間性能については,部屋や耳や空気も非線形な性質を含んでいるので,「20kHz以上の音波が聞こえなくても,20kHz以上の成分が含まれた音源の聴き分けはできる」という人や環境が存在する可能性は,そんなこんなで十分信じるに値します.
     96kHz録音の意義について - 宅録チェリストの憂鬱

     まあ素人なんで分からないですけどね。この辺は簡単な測定では判断がつかないですし、本格的な調査もできないので。とは言え経験則も無視できないのかなぁと思います。

    高齢になってもオーディオを楽しめるのか


     結論から言えば、多少高音が聞こえなくても十分オーディオは楽しめるって事ですね。少なくとも40代で16kHz以上が聞こえない自分としてはそういう感想です。まあ、50代・60代となるとどうなるかはわかりませんが。

     音のリアリティというのは高音の伸びだけでなくて、S/N比などの微細音の表現も重要なわけで、ハイレゾのもう一つの特徴はそこですからね。可聴領域の微細音の表現がわかればハイレゾの意味はあるわけですよね。

     でもそれを聞き分けるには聴力以上に良い機材が必要なので・・・『高音が出るだけ』のハイレゾじゃなくて、本当に高品質な機材とソフトが必要になるのかなぁと思います。

     もちろん、若い頃ならもっと良いんでしょうけどね。聴力の良い若い頃にオーディオを楽しんでおくのは大切だと思います。

     若い人がちょっとムリしても良い機材で高音質を狙うのは、とても合理的な判断だと思います。高級オーディオは老後の楽しみに・・・なんてちょっとナンセンスですよね。

     次回はハイレゾの微細音について着目した記事を書いてみたいですね。そしてハイレゾ体験談も書く予定です〜!

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