あ〜見逃さなくて本当によかったですよ!
映画「
心が叫びたがってるんだ。」 (ここさけ)を劇場で見てきました。
思い切って見に行って本当に良かったです。もう大絶賛ですよ!失礼ながら、こんなに
素敵な作品だったとは思いませんでした。
というのも、世間で
大評判だった名作『
あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』には
イマイチ入りきれなかった自分としては、『
あの花』スタッフが集結!』という宣伝は逆にちょっと引いてしまっていたからです。
(後半はネタバレのレビューとなりますのでご注意ください)
あの花にハマれなかった人こそ見るべき作品
『あの花』はいい作品だと思いますが、世間で言うほど
ハマれなかった(40のおっさんだから当然と言えば当然ですが)、そんな自分のような人には、『
心が叫びたがってるんだ。』はとてもお勧めしたいです。
しかし、いくつかのレビューを読むと・・・
誰にも感情移入できませんでしたし、作品としても好意的に捉えれば王道の青春群像劇でしたが『あの花』のような意外性はありませんでした。(ゆさアニ さん レビュー記事より)
あの花みたいに大号泣する話ではなく、青春&ちょっぴり感動です!(YouTube ウォッチさん感想)
ハァ〜?オイオイ、ウソだろ?こっちは
大号泣だったんですけど!『あの花』では
ジンワリ感動しただけだったけど、『ここさけ』は
最高に良かったんですけど!
・・・なんて
悪態をつきたくなるほど
スゴイ感動してしまいました(笑)いや、実のところ、ゆさアニさんを始めとする
ネガティブ系の感想を読んで、『あ、これは、
俺にとっては面白い作品かもしれない!』って気付けたんですよね。そういう意味でも本当に
感謝しています。
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4人を軸にした青春群像劇でありラブストーリー 『心が叫びたがってるんだ。』本予告映像より © KOKOSAKE PROJECT |
つまり『あの花』にそれほどハマれなかった人こそ見に行ったほうがいい!食わず嫌いで見逃すなんで
絶対に損です。
予告編が地味だからって気にしないでください。説教くさい成長物語なんかじゃありません。思いっきり
素敵な恋愛物語です。
痛い・・・けど素敵なラブストーリー
これは、ぜひ
映画館で観るべきです。本作は映像や音楽は美しいもののそれがメインではありません。個人のホームシアターシステムでも十分楽しめるかもしれません。でもなぜ映画館なのか?それはとても、
いろんな意味で『痛い』からです。
自宅で一人で見ていたら、あまりの痛さに
逃げ出していたと思います。でも映画館なら逃げ出すことができません、
スキップも
1.3倍速にすることもできません。
悶絶しながら身をよじって見ていました。
でも、だから良い。
痛さが無ければ、青春も恋愛も
薄っぺらい話になってしまいますよね。
良い意味で一般向けの作品
ゆさアニさんのレビューでは、本作を『
一般向け』のアニメと評していました。そこには若干ネガティブな印象を帯びているように感じました。例えばテーマソングが
乃木坂46だったりする所ですね。そこは分からなくもないですが、EDを本編にかぶせないことで違和感は
最小限に抑えられていたと思います。
しかし、『
生々しい』というセリフ廻しは、私はことごとく
ポジティブに感じました。全く違和感なく
没入できたんですよね。キャラクターデザインも
デフォルメを抑えめにして、
萌え要素を保ちつつも、
オタクアレルギーを抑える事に成功していると思います。
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成瀬のかわいさは特筆に価するが、一般人にも受け入れやすいデザインになっている 『心が叫びたがってるんだ。』本予告映像より © KOKOSAKE PROJECT |
個人的には本作が
一般向けかといえば、深夜アニメの予備知識や文脈を要求されない
ローコンテクストという意味でなら一般向けだと思います。でも分かりやすくするために
物語が浅いかというと
全くそんなことはないですね。
物語の筋が
シンプルであっても、
心理描写や
話の深みが浅いとは感じませんでした。むしろそのあたりの描写を
分厚く描くことに成功していると感じました。(それは君が一般人だからさ・・・と言われそうですが、ホントか?(笑)私は
映画ラブライブを絶賛した人間なのだが・・・)
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テキストを介して会話する成瀬と拓実 『心が叫びたがってるんだ。』本予告映像より © KOKOSAKE PROJECT |
でも、だったら
実写ドラマでいいのでは?と言われれば、
アニメじゃなければ表現できない作品だと断言したいです。
劇中では、
ミュージカルについて『
言いにくい言葉も歌にすると言える』という意味のセリフがありますが、同じように
アニメでこそ表現できる手法で実現した作品だと思います。
この作品は
実写にすると痛くなりすぎて
バランスを欠いてしまうんです。特に成瀬順は
アニメで声優さんが演じる以外にこれを表現することは
不可能だと思います。無理にやっても違う作品になってしまう。だから本作は
アニメでなければ成立しない作品だと思うんですよね。
スポンサーリンク素晴らしい出来の恋愛パート
予告編ではわかりにくいですが、とにかく
恋愛パートが秀逸の出来なんです!独立しているわけではなく物語に密接につながっているわけですが、なんかもう
高校生のいい感じが出てます。
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菜月と拓実の会話シーン 恋愛の絡み方がすごく良くてストーリーの芯になっている 『心が叫びたがってるんだ。』本予告映像より © KOKOSAKE PROJECT |
青春群像劇なんですから恋愛が出てきて当然なんですが、本当よくできてるなと思うので、予告編でそれが
イマイチ主張されていないのは残念。予告編だと
かわいそうな女の子の成長物語かなぁ?と勘違いしてたのですが、文科省推薦みたいな
説教臭さは全くありませんね。冒頭からラブホの風景が出てくるくらいですからね(笑)
(次章より
ネタバレありますのでご注意ください)
そして一番こころ動かされたセリフ
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冒頭のラブホシーンがクライマックスに繋がる 皮肉にも子供の頃の夢だった王子様との逢瀬を果たす 『心が叫びたがってるんだ。』本予告映像より © KOKOSAKE PROJECT |
名シーンはたくさんありますが、一番心に残ったのはやっぱり
クライマックス。ラブホのシーンですね。成瀬が拓実に向かって、これまでの彼女からは想像もつかない
罵詈雑言を浴びせた末、
最後に告白をします・・・。
彼は、その場を取り繕う事もなく、ごまかさずに「
好きな人がいる」と伝え・・・そして成瀬が最後に一言、ちょっと笑顔で・・・。
『
うん、知ってたよ。』
この
セリフの力がすごすぎて・・・
涙が止まらなくて・・・しばらくスクリーンをまともに見ることができませんでした。もちろん立ち聞きしていたから知っていた、ということなんですが、
このセリフに込められた想いは単にそれだけじゃないよね。
知ってた・・・けど『
言ったよ』という事・・・。
言葉の持つ恐ろしさから声を出せなくなった彼女の心、そこから解放されると同時に、
誰のせいにもできなくなった彼女。どんな傷つける言葉でも、すべて受け止めてくれるという拓実に、何もかもぶちまけて、そして最後に残った
一番言いたかった言葉。
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孤独だが波風のない世界から引き出してくれた拓実たち でも自分も相手も傷つくことは避けられない 『心が叫びたがってるんだ。』本予告映像より © KOKOSAKE PROJECT |
拓実のおかげでここまで来て、今の自分がいて、そして、自分のことを大切に思っていてくれていると思っていて・・・でもそれが、
激しい落胆と
怒りと
喪失感に変わり、混乱した自分を、それでも
最後まで支えてくれようとする拓実。
その二人の関係に、自ら
ケリをつけるための覚悟の告白。拓実の優しさと、誠実さと、そして・・・
どうしようもない現実。そのすべてを含んだ『知ってたよ』
その悲しみと切なさが凝縮されたセリフに、一気に感情を揺り動かされてしまいました。こんな切ない
告白シーン・・・これを見るだけでもこの
映画の価値を感じたし、ここで感動するためには、観客も逃げずにしっかり見ていないとダメなわけです。
※ご指摘によりセリフの一部を訂正しました(感謝です)
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どうしようもない現実を前に告白する 『心が叫びたがってるんだ。』本予告映像より © KOKOSAKE PROJECT |
しかしあの
罵詈雑言によって、キャラクターの厚みが全然変わりましたね。かわいくて可愛そうな女の子という
薄っぺらいキャラクターではなく、自分勝手に怒りもするし欲望もあれば妬み嫉みもある・・・未熟かもしれないけど、普通の人間らしい、
分厚い感情を持ったキャラクターが表現されたと思うんです。
ラストの賛否両論
野球部の大樹が告白する
ラストシーン。その唐突さには
賛否両論あるようですが、個人的には
素敵なハッピーエンドだと思います。でも、それは単に
成瀬が救われるから、という意味ではありません。
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野球部エースだった大樹 『心が叫びたがってるんだ。』本予告映像より © KOKOSAKE PROJECT |
成瀬と大樹がうまくいくかどうかなんてわかりません。それどころか、菜月と拓実を見て嫉妬してうまくいかなくなりそうです。じゃあどうして
ハッピーエンドだと思うのか。
将来のことなんてわからないけど、ああいう経験すべてが、将来の彼女にとって
最高の宝物になるんだろうなと確信するからです。痛みも喜びも
すべて通過点。それが青春ですもんね。だからあの結末はすごく
ポジティブに感じました。
ハッピーエンドの後も
人生はずっと続く。だからその後の結末は重要じゃなくて、ああいう経験をしていること自体がハッピーエンドだと思うわけです。
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痛みも喜びもすべて通過点 『心が叫びたがってるんだ。』本予告映像より © KOKOSAKE PROJECT |
まあ、自分が高校生だったらそんな
悠長なこと言ってられないでしょうけどね。どうだろう、かなり
モヤったかも。そういう意味でも、
あの花では世代的に入れなかった
アラフォー世代にも楽しめる作品じゃないかな、と思いました。
もう、
最高でしたよ!あー本当に見逃さなくてよかった!ちなみに一緒に見た奥さんは
一般人ですけど、楽しめてたみたいです。でも、俺の方がもっと楽しんでたかも(笑)
追記:2度目の感想を書きました、よかったら読んでください。まさか、2度目の方がもっと感動してしまうとは・・・。
(2度目の感想)「心が叫びたがってるんだ。」ここさけ 2度目の感想 :どうしても絶賛してしまうラブストーリー - アニメとスピーカーと‥‥
追記2:3度目の感想を書きました。しつこくてスミマセンが、よかったら読んでください。
(3度目の感想)心が叫びたがってるんだ。3度目の感想 ここさけ:歌詞とセリフの繋がりに驚き、星空に感動! - アニメとスピーカーと‥
(参考)ゆさアニ:
『心が叫びたがってるんだ(ここさけ)』感想・ネタバレ あの花ほどのファンタジー性は無く、良くも悪くも王道の青春群像劇。(ネガティブ系)
(参考)きままに生きる 〜映画と旅行と、時々イヤホン〜:
心が叫びたがってるんだ。 感想(中間系)
(参考)徒然もの書きぱん:
アニメ映画『心が叫びたがってるんだ。』の感想と考察 ~想いは言葉にしなくても重い~(肯定系)
(参考)りっころぐ:
【映画】心が叫びたがってるんだ。(ここさけ) 初日観てきた【感想】(女性視点:肯定系)
(参考)26歳無職くん:
映画『心が叫びたがってるんだ。』がなかなかの良作でした。『あの花』より好きです(肯定系:玉子と王子の考察が詳しい)
映画『心が叫びたがってるんだ。』公式サイトオリジナルアニメ作品/119分
監督:長井龍雪/脚本:岡田麿里/制作:A-1 Pictures
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