この作品はIMAX上映で映えるだろうなぁ・・・と思っていましたが期待通りの美しさでしたね。特に彗星や風景の描写は巨大なスクリーンと相まって素晴らしい体験でした。IMAX用にリマスタリングしたという映像は拡大しても精細感が失われず色乗りも良かったですね。
超大画面のIMAXで絶対映えると思った彗星のシーン 空気感まで感じる没入感を得られた 「君の名は。」予告2より画像引用(東宝MOVIEチャンネル) (当ブログの画像引用について) (C)2016「君の名は。」製作委員会 |
拡大のマイナス面を最小限に抑えて、没入感と空気感が最大限にアップしていたので『君の名は。』を最高の環境で楽しみたい人には価値のある上映だと思います。
※こちらはIMAX版に絞ったレビューです。通常版は別の投稿になります。ストーリーにはあまり踏み込みませんが、軽いネタバレになるかもしれませんのでご注意ください。
関連記事 通常版の感想はこちらです。
『君の名は。』感想:こんなすごい映画作るなんて本当に新海さんは大したものですね。 - アニメとスピーカーと‥
IMAXとは『超でっかいスクリーン』
ところでIMAXって何?って話ですけど、簡単に言えば『すっごく大きいスクリーン』です(笑)(ちなみにガルパンで流行った4DXとはまったく違う規格です。席が動いたり水が出たりはしません)
外部サイト 109シネマズ IMAX(アイマックス)って何?
カナダ生まれの規格で、日本では1970年に初公開。アナログ時代からの歴史ある規格みたいですね。現在はIMAXデジタルシアター規格。(wikipedia)
壁一面がスクリーンになっているような感じで、実際に入ってみると『デカッ!』って思います(笑)これだけ拡大すると映像もボケちゃいそうですが、IMAX用にアップスケーリングやリマスタリングしたりして高精細なまま超大画面にできるのがウリみたいですね。
あと、音声も通常より表現力の高い専用設備になっているようです。爆発音なんかは座席が動いてるのかな?ってくらい響きます。
ただ、欠点は通常上映より割高(109菖蒲はプラス400円・500円の所もあるみたいです)なのと、上映館数が少ないんですよね。都内でも数えるほどだし北関東だと埼玉の菖蒲か茨城の土浦くらいです。
外部サイト 『君の名は。』シアターリスト(備考にIMAXとあるのが上映館)
IMAXと2Dアニメの相性
IMAXは2Dも3Dも上映できるけど、『3D上映に最適』と言われてるんですよね。画面がでかくて映像が明るいので。だから2DのIMAXって今まであまり興味ありませんでした。
特に2Dアニメは拡大し過ぎると間延びしそうだしね。そもそもアニメがIMAX上映されることが少ないんだけど。でもこの『君の名は。』については最初に見たときからIMAXに合うだろうなぁと感じていました。
こういった新海作品らしい街の風景はIMAX向きだと思った。 光の描写や雲の描きかた、細密な描写を最高の設備で見たい。 (C)2016「君の名は。」製作委員会 |
あのスケール感や奥行き感っていうのは、あの馬鹿デカイスクリーンにこそ映えるだろうなぁと思いますよね。空気感がより伝わるんじゃないかと思うし。だからIMAX上映が決まったと聞いてぜひ見たい!と思ったんですよね。(二週間限定公開・一部遅れて上映するところもあるみたいです)
拡大された違和感はあったか?
とはいえ、2Dアニメには違いないので、キャラクターのアップとか、超大画面に拡大した時に違和感ないかな?と心配ではありました。間延びした感じになりそうじゃないですか。
心配していたのは2Dキャラのアップシーン 大画面すぎてバランスが崩れるのではと思ったが杞憂だった。 (C)2016「君の名は。」製作委員会 |
でも実際に見てみると思ったほど違和感なかったですね。オープニングシーンや口噛み酒のギャグシーンとか、TVアニメっぽい表現のシーンも通常版と変わらない感じで見ることができました。
でっかくなったからと言って特段違和感なかったのは結構安心した点です。(もちろん人によると思いますが)
冒頭の過去フィルターでビビる
逆に違和感を感じたのは冒頭の彗星のシーンですね。なんかノイジーな映像に見えちゃうんですよ。こちらはIMAXだからって期待度MAXで見始めたので、正直『えっ・・・拡大しすぎてノイジーになってる?』って思っちゃったんですよね。
でもこれ、過去の回想シーンのエフェクトなんですね(笑)久々に見るせいもあって忘れちゃってました。というか通常版だとこのエフェクトって気がついてなかったのかな?
過去の回想シーンは微妙にトーンを変えてフィルターを通したように見えるのですが、IMAX版だとザラッとしたフィルターを一枚入れたように非常にわかりやすく見えるんですよね。
だから演出上のノイズなんだけど、余りにクッキリ見えすぎてびっくりしました。でも『過去フィルター』がなくなるとノイズもなくなってホッとしました(笑)
※TwitterでYossy64さんが動きのブレについて指摘をしていました。あまり覚えていないけど、確かに言われてみれば違和感あった気もしますね・・・。
確かに冒頭あたりはあれ?と思った。わざとフィルターかけてたのか。— Yossy64 (@anteaterme) 2017年1月15日
あとIMAX版で気になったのは、クライマックスの走ってるとことか動きの激しい部分の動画がブレブレだったこと。24フレーム/秒を60フレーム/秒に変換してるためだと思うけど話題にしてる人見当たらないな。
IMAX版の見どころ・・・吸い込まれそうな空気感
それにしても、あれだけ拡大しているのにボケずに精細感を保っているのはさすがにIMAXですね。(別に過剰にクッキリ感を強調してるわけじゃなくて通常版レベルに保っているという事です)色乗りも良くて、新海作品の映像の良さを保ったままで没入感をアップしてくれる感じです。
特に後半の彗星のシーンや二人の『かたわれ時』のシーンは、その空気感に吸い込まれそうというか本当に見とれてしまいましたね。このシーンのために差額400円払う価値があったなぁ・・・って思いました。ただ、涙がでちゃって・・・目を瞑るのが勿体無いので(笑)必死に目を開けてました。
かたわれ時のシーンは予想外に印象的だった。 2Dキャラのアップがありながら奥行きを感じる空気感を感じた。 こういう奥行きのある風景は超大画面に向いているのかも。 (C)2016「君の名は。」製作委員会 |
あと、細かいシーンが良く見えるってのは本当で、三葉が自転車に乗ってる時チラリと見えるシーン(笑)とかって初めて気が付きました。通常版で2回見た時は気がつかなかったんですけどね。
音響の良さでさらに印象的に
ツイッターとかで感想を読むと『音響の良さ』をあげる人が多いですね。自分としてももちろん良かったと思いますが、そこまではっきりした違いはわからなかったかな。(映画館によって設備や調整に違いがあるようですが)
ただ、爆発音などの低音は席が響くほどの音量ですので、いわゆる『極上音響上映』とか行けない人にも楽しめるのがいいですね。
音といえば、前半の山場である『前前前世』のシーン。通常版でも感動しちゃうところなんだけど、今回も本当によくてやっぱり泣いてしまった(笑)
このシーンはやっぱり大好きなんだけど IMAXの音響の良さも相まってか本当に印象的だった 当然超大画面にもとても合っています。 (C)2016「君の名は。」製作委員会 |
あの一気に駆け上るような演出が最高ですよね。急速に高速回転していくような感じ。あそこは多分音響の良さも相まって一段と印象的になっている気がします。
差額400円の価値はあるか?
あれだけの大画面と設備ですから割増料金も当然なんですけど、個人的な感覚でも400円の差額の価値は十分味わえました。とはいえ通常料金+400円は馬鹿にならない値段なのでレイトショーで見ましたけどね(笑) ※+500円の所もあるみたいです。
レイトだったので大人のお客さんたくさん来てました。327席で中央寄りの席はほぼ入ってたから1/3位の入りだったかな?
IMAXは4DXみたいにアトラクション的な楽しさがあるわけじゃないですからね。基本的に通常版と同じ作品なので過剰に期待しすぎていくと拍子抜けしちゃうかもしれません。
そういう意味ではマニア的な楽しさになるのかも。でも『君の名は。』を最高の環境で楽しみたい人には価値のある上映だと思います。
2Dアニメの可能性を感じるIMAX上映
今回は久々の『君の名は。』だったので、細かいところをいい感じに忘れてて楽しく見られました。前回の鑑賞後にいろんな情報も仕入れてたので(雑誌『ムー』の話題とか)IMAXの大画面ではいろんな気づきがあって面白かったですね。
上映前にハリウッドの超絶大迫力のCG作品の予告をやってて、その映像はすごいなぁと思うんだけど、なんか最近はすごい映像も慣れてきちゃいましたね。
確かに実写CG映画のリアル感はすごいんだけど、慣れちゃうと当たり前というか・・・逆に2Dアニメの抽象的な表現力が光ってくる感じがするんですよね。
『君の名は。』のハイパーリアルな風景表現とアニメキャラの組み合わせって決してハリウッド作品に劣っているわけじゃないくて手法の違いに過ぎないってのを実感できた気がします。
ましてや『この世界の片隅に』の水彩のようなアニメ映像とか、CGのリアルさとは全く方向性が違うんだけど、別の意味でものすごいリアルさを表現できてるわけで・・・。
頭ではわかっているんだけど並べてみると改めて良くわかりましたね。2Dアニメも極めていくと実写CG作品に勝るとも劣らない表現ができる。改めて2Dアニメの潜在力を感じた体験でした。
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『君の名は。』公式サイト
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