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『君の名は。』感想:こんなすごい映画作るなんて本当に新海さんは大したものですね。

 もう『泣ける』とか・・・そんな単純な言葉では表現できないですよ。そりゃあ、声出して泣きましたけどね。でもね、新海監督がやってくれたんですよ・・・新海作品の良さを全く失わずに、これほどのエンターテイメント作品を作りあげたことへの感動ですよ!映画『君の名は。』を初日に見た感想です。

新海作品が広く一般に評価された事に感動してしまった
君の名は。」予告2より画像引用(東宝MOVIEチャンネル)
当ブログの画像引用について
(C)2016「君の名は。」製作委員会
※以下ネタバレありのレビュー&考察となりますのでご了承ください。
関 連 IMAX版を見に行った時の感想も書きました。
『君の名は。』IMAX版の感想:空気感を感じる映像に2Dアニメの潜在力を体験できた - アニメとスピーカーと‥

期待と不安を持って劇場へ


 自分の大切にしてるアニメ作品を3つ挙げろと言われたら迷わず『秒速5センチメートル』を入れてしまう自分にとって、新海誠監督がメジャーになっていく姿は嬉しくもある反面、不安もあったんですよね。

 新海監督の作品って作家性がかなり強いじゃないですか。熱狂的に支持するファンがいる反面、結構人を選ぶというか・・・。今回はこれまでにない大規模公開という事で、万人向けのメジャーな作品に挑戦する訳ですが『独特の新海カラー』を薄めてしまうんじゃないだろうか・・・なんて心配になっちゃうわけですよね。

 まあ、単なる1ファンが偉そうに言うのもどうかと思いますが、そんな期待と不安の中、先行発表された小説『君の名は。』も、あえて未読のまっさらな状態で劇場へ行ってきたのです。

序盤の終わりに傑作を確信!


 冒頭の美しい彗星のシーン・・・今考えるとすごいシーンなんだけど綺麗でしたね。新海さんらしい輝きのある映像!でもビックリしたのがその後のオープニング

 最近の劇場版アニメはOPは省略することが多いから正直驚きました。OPを入れるとTVアニメっぽくなるので避けるのでしょうけど、音楽と合わせる事の得意な新海作品ではやっぱりオープニングアニメがあるのは嬉しい驚きでした。

田中将賀さんのキャラクターデザインは素晴らしいの一言
メジャー作品にふさわしい洗練されたデザイン
(C)2016「君の名は。」製作委員会

 チラシの文字まで緻密に書き込まれている映像や、カットの一つ一つが絵になる背景は、新海作品らしく全く期待を裏切らない美しさでしたね。

 序盤は予告編通りのテンポの良い進行で、田中将賀さんのキャラクターデザインは本当に馴染みやすくグッとメジャー感を感じます。

 そして序盤も終わりにさしかかり、この後どう展開していくのか・・・?と思っていた30分過ぎ。まさかのミュージックビデオ的な場面の展開!新海作品の予告編が超大好物な自分としては、この楽曲とセリフが重なる演出が本当に大好きなんです。

予告編通りにこのシーンが見られるとは思わず感激した
(C)2016「君の名は。」製作委員会

 もうこの時点で『やってくれた・・・新海さん・・・やってくれた!』って感激で目頭が熱くなってきました。製作陣も分かってくれてるんだ、この良さを、新海さんの予告編の素晴らしさを分かってくれてるんだ!って本当に嬉しくなって、この作品はもう間違いない・・・傑作に違いない・・・と確信した瞬間でした。

※以下ネタバレとなりますのでご注意ください。

クライマックスからの盛り上げに嗚咽


 そして後半。あの、現実が明らかになるシーン。糸守町の廃墟を前に劇場の空気が一変するような本当に鮮やかな場面の転換。ゾクゾクっとした感動で・・・ネタバレなしで見たので本当に圧倒されました

 そしてラストはどうまとめてくるのか・・・?新海監督ならどんなエンディングでもあり得るだけに本当に気が抜けない展開でしたね。『頼む・・・今回ばかりはキツいのはちょっと・・・』と祈るような思いでした(笑)

ラストをどうまとめてくるのか
直前まで予想がつかずに祈るように見た
(C)2016「君の名は。」製作委員会

 クライマックスを分散するように感動ポイントを仕込み、気持ちも分散するかと思いきや・・・実は階段を上るように着実に感情を揺さぶってきます。今考えるとホントうまいよねぇ。特にエンディングでの楽曲の使い方が最高!イントロのタイミングから綿密に計算されていて見事に涙腺を操ってきます。

 だからラストの電車で目が合うシーンの前くらいから、もうすでに感極まってしまい(笑)相当やばい感じに。『これで再会できなかったらこの涙をどうしてくれよう!』と思っていたところで、一旦ちょっと引いて『えっ?』と思わせてからの一声!

 今度は瀧くんが勇気を出す番だよと言わんばかりの演出!これもう本当にタメに溜めに溜めきった末での感動で・・・新海さんサービス良すぎ(笑) 

 あまりに涙が出すぎて何度も嗚咽を漏らしてしまったじゃないですかぁ!『はっはぅぅ・・・』っていいトシして恥ずかしいわい!(周りの人も泣いてたけどね)正直その前後のシーンは記憶が定かでは無くなっちゃて・・・再度見て確認するしかないね。

 ホント、エンディングの前半は涙ですぎてほとんど目が開けられませんでしたよ。黒バックのシンプルなEDであそこまで泣かされるなんて・・・ラストシーンの余韻を思い返すだけで止まらなくなるんですよね。でも本当に気持ち良かった!


新海さんのサービスを堪能できた


 全く期待を裏切らず全力で期待に応えてくれる、これが新海さんの作るメジャー作品なのか・・・と圧倒されました。そうしたら鑑賞後にみたインタビュー記事をよんで笑ってしまうと同時に納得してしまいました。
『観客に「楽しかった」と思ってもらえるような、サービスを尽くした作品をもう1~2本、長い映画を作らなければいけないと、今は思っています』
「君の名は。」が1分たりとも退屈させない秘密 - 東洋経済ONLINE より

 ああ、これが新海さんのサービスなんだ・・・これまでの作品以上に、観客を楽しませるために全力でサービスしてくれたんだなぁ。だったら観客である自分は小賢しいこと考えずに全力で楽しむのが正しいんだよなぁって安心しました。

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どうして相手は瀧くんだったのか?


 ストレートで理解しやすいとはいえ、考察したくなるところもたくさんある作品でしたね。(小説やパンフは未読なのでそちらには書いてあるのかもしれないけど、違ってたらゴメンなさい)

 自分が一番に気になったのは、どうして三葉の入れ替わり相手が瀧くんだったのか?という事でした。

 あれは一葉おばあちゃんが言っていた昔話の、大火のキッカケとなったまゆごろう(繭五郎?)という人・・・きっとあの時に火を出したという彼が瀧くんとなんらかの繋がりがある人なんじゃないかな?

 前回は大火を出す事で村人を救ったものの出火の責任を取って村を出た。それで今回はテッシーにその役割を担わせて・・・なんてどうでしょう(笑)

 だとしたら、三葉のお母さんやおばあちゃんの入れ替わり先は、瀧くんのお父さんやおじいちゃんだったのかな・・・その当時は入れ替わったとしても天災は起きないんだから意味のない不思議現象なんだけど。

意味は失われても組紐のように『入れ替わり』は継承されていった
(C)2016「君の名は。」製作委員会

 でも宮水家は次の天災に備えて、その入れ替わり現象を代々続けていたのかもしれませんね。一葉おばあちゃんが言ったように、その『意味は失われて』も組紐のように繋いでいったものなのかもしれないなぁ・・・その失われる前の記録も知りたいですね。

 楽曲の『前前前世』じゃないけど、きっと世代を超えて共鳴し合っているんだろうなと。そういう物語大好きだなぁ・・・そういえば、町長になったお父さんも、もしかしたらこの天災に備えて導かれたのかもしれませんね。自分で選んでいるようでいて、結局運命だったりするんですよね。

子役の演技にびっくり!


 今回、役者中心の声優でしたけど違和感はなくてすごくいい演技でしたね。役者さんの声優だと、どうしても素の印象が強くなったりしますが、声を聞いて顔が浮かんだのは市原悦子さんくらいで、長澤まさみさんもいい感じで溶け込んでいましたね。

市原悦子さんはキャラ自体を再現しているので顔が浮かんで当然
(C)2016「君の名は。」製作委員会

 瀧くん役の神木隆之介くんは安心できるというか本当うまいですよね。この作品の雰囲気というか新海さんの作風に語り口があってる気がしたな。

 ヒロインの三葉役の上白石萌音さんは18歳なんだってね。役者っぽさというか良い意味で声優的じゃない感じが良かったと思う。あと、三葉の同級生テッシーこと『勅使瓦克彦』は、モデル出身の成田凌くんが意外と言っては何だけど、すごくキャラにあった演技でよかったですね。

 有名声優の悠木碧さんは、逆に目立たずすごく自然に役に溶け込んでいて、やっぱすごいやぁって感心してしまった。

妹の四葉は本物の子役が演技していたと聞いてびっくり
(C)2016「君の名は。」製作委員会

 もう一人注目だったのは、妹の『四葉』の役者さん。本物の子役(12歳)の谷花音さんがやってると知ってビックリ。すっごい力のある子役キャラで、ちょっと癖のある声なので絶対声優さんかと思ったよ!まじか!

一貫した新海作品のテーマ


 今回の作品が発表されて、東映の拡大上映とかどんどんスケールの大きい話になってて『ヒエェ〜大丈夫なの?』って1ファンに過ぎない自分が心配になっちゃうくらいで・・・大勢の人に期待されるという重圧というか辛さって相当なものじゃないかなぁと思ってました。

 凡庸な自分の頭では、ほかにどんなネタがあるのかまるで思いつかないし(笑)、予告編を見る限りは、男女入れ替わりもので・・・なんか一見ありふれた話のようで。マンネリ化とかしちゃってるのかな?って。

 でも実際に見てみれば、マンネリとは逆に一貫して繰り返しテーマを追求したうえで、セカイ系現実のラブストーリーという、これまでの作品の枠組み自体を融合させて、映像もストーリーも、最新の日本アニメとしてふさわしい作品に仕上がっていました。

セカイ系を超えた2016年にふさわしいポスト・セカイ系と言いたい作品
(C)2016「君の名は。」製作委員会

 しかも『新海作品らしさ』はしっかり保ったままでこれを成し遂げたんだから本当にすごいですね。『人と人との心のつながり』という普遍的なテーマ

 自分が大学生だった頃、羨望の眼差しで見た初期作『ほしのこえ』から連綿とそのテーマを紡ぎ続ける新海作品。あの時・・・14年後にこんなすごい作品を見せられる事になるなんて想像もしてなかったけど、本当に素晴らしかったです!ありがとうと感謝したくなる作品でした。

<追記>新海監督への気持ちがすっごい共感できたブログです。ホント泣かせてくれるくれる感想でした。
『だが先生は飛んだ。ついにエンターテインメント長編をモノにした。小さな痛みを感じながらも、これは心から祝福したいと思うのです。』
ボーキャクとは忘れ去ることなり「君の名は。」 - 挑戦者ストロング より

2回目鑑賞後の追記
『言の葉の庭』のゆきちゃん先生が出てた!?


 ようやく2度目を見る事ができました。夏休み明けでもすごいお客の入りで話題作ってのを実感しますね。今回は多少冷静に見られましたが、改めて楽曲を使うタイミングが上手いなぁ・・・と。セリフを被せてくる予告編的な演出は本当に好きで堪能しました。

 2度目でまず気づいたのは三葉の古典の先生!声を聞いたときに「あれ?もしや!』と思ったけど、EDのクレジットで『ゆきちゃん先生:花澤香菜』って出てませんでした?『言の葉の庭』のセルフオマージュかと思いきや『本人出演』って事かよ!って。でもクレジット見た時すっごい暖かい気分になったんですよね。

 あ、でも、もしかして災害後に東京に戻ってこちらも再会?なんて事になったりして・・・妄想が膨らみますねぇ(笑)

震災モチーフと日本人の思い


 それにしても、図らずも今年の話題作である『シン・ゴジラ』と『君の名は。』はどちらも震災をモチーフにしているんですよね。上で紹介したpencroftさんのブログにあるように『こうあってほしい』という日本人の思いが作品に投影されているとも言えるのかもしれません。

 特に『君の名は。』は東日本大震災のみならず、それに隠れてしまいがちな長野の栄村の震災や、地震以外の地方の災害なんかも連想してしまったんですよね。
 評論家の東氏のツイート(映画鑑賞前)に直接結びつける訳じゃないけど、いろんな『記憶』の中身が少しづつ風化して形だけが残っていく、そんな現実のある2016年の今だからこそ見ておきたい作品だよなぁって感じました。

さやわか氏の評論が掲載されたユリイカ9月号

 ちなみに東氏も鑑賞後に「100点に近い』との評価をしていて正直驚きました。以外と厳しい評価するかなぁと思ってたので。その上での、次のツイートは結構考えさせられますね。


な、なるほど・・・!そういう見方もあるかも。評論家というか・・・頭のいい人の考える事は面白いなぁ。(詳しい感想を生放送でやってたらしいけど見たかったなぁ・・・)

ティアマト彗星軌道問題


 SF作家の山本弘氏のツイートなどで話題になった彗星軌道問題。初見の時は気づかなかったのですが、劇中のニュース映像に間違った軌道図が表示されていたんですね。自分もTwitterのフォロワーさんに教えていただきました(感謝です)。
 本編に影響ないとはいえ天文好きだとちょっと気になるミスではありますね。2度目の鑑賞で確認しましたが、『ニュース映像の軌道図』は3回ありました。冒頭1回に後半2回。後半の2回はたしか、地球最接近日のニュースだったような気がします。

 冒頭の1回目の映像では、太陽の向こう側を回る正しい軌道図なのに、後半の2回(たしか当日の朝と夜?)は太陽の手前を回る誤った軌道図になっていましたね。確かにこれはちょっとありえない軌道・・・。
最初のニュース映像に出ていた正しい軌道図
(分かりやすくするため略図)
後半2・3度目のニュースに映った間違った軌道図
(位置関係はうろ覚えです)

 まあ、ストーリー展開には影響ない『単純ミス』なのでBD版の発売時には修正されているだろうという事で落ち着いているようです。

 実際、最初の軌道図では1200年という長周期彗星らしく角度の広い双曲線軌道っぽくなっていて『意外とちゃんと検証してあったのでは?』と思わせるところもあります。(参考:国立博物館 宇宙の質問箱

 何かの拍子に間違った伝達があってミスが見逃されちゃったのかもしれませんね。とはいえ、ミスと言うだけではつまらないので、とりあえずBDで修正されるまでの仮設定として『後半2回のニュースは同じ放送局で、番組スタッフの勘違い誤った軌道図を放送してしまった・・・』というのはどうでしょう?

 『視聴者からの苦情で後日訂正した』というサイドストーリーにしておけば映画鑑賞中も気にならないで済むかも・・・(笑)少々無理がありますが。

 いずれにせよ作品の評価には特に影響はないですね。BD版が楽しみになるくらいです(笑)
関 連 IMAX版を見に行った時の感想も書きました。良かったらご覧ください!
『君の名は。』IMAX版の感想:空気感を感じる映像に2Dアニメの潜在力を体験できた - アニメとスピーカーと‥

『君の名は。』公式サイト
http://www.kiminona.com/index.html

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傷物語 Ⅱ 熱血篇の感想:羽川さんの魅力をこれでもか!てくらい詰め込んだ映画で感謝しかない

 待ちに待った傷物語の第2作『熱血篇』を映画館で見てきました!もう・・・羽川さん、羽川さん・・・羽川さんっっ!って感じの作品でしたね!(※個人の感想です)

予告編ではわからない羽川翼のエピソードが丁寧に描かれた作品
羽川ファンとしては非常に満足度の高い評価をしたい
予告編より画像引用
当ブログの画像引用について
© 西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト

 一人で行ったおかげで思いっきり堪能できました。カップルで行くとちょっと人目が気になって落ち着かない内容かもしれませんね(笑)周りに遠慮せず思う存分ニヤニヤ・・・ではなくて、堪能するなら一人の方が良いかも。それにしても・・・また見たくなってきたぁ。羽川翼ファンには中毒性の高すぎる作品ですよ、これは!


 コアな物語ファンの方には『もっと違う感想あるだろ!』と怒られそうですが、かなり遅れて物語シリーズ見始めた新参なので細かい点はご容赦ください。【文末に追記あり:3・4回目を見てきました!
1作目 鉄血篇の感想はこちら。
傷物語 Ⅰ 鉄血篇 感想 :劇場作品としての気合を感じた! (この頃はまだ化物語しかみてなかったなぁ・・・)
※以下少しネタバレありのレビュー&考察となりますのでご了承ください。

密度の高い2作目は、羽川モードにして正解


 ゆったりとした進行の1作目に比べると『熱血編』はテンポ良く69分間密度の高い展開でしたね。ポスターやWebのイメージでは成長したキスショットを前面に出してたじゃないですか。(原作は未読です)

 だから羽川さんは意外と出番少ないのかな?と思ったんです。でもなんか『予感』がしたので直前に『化物語 つばさキャット』と『猫物語』を見直して羽川翼モードに気分を盛り上げて鑑賞に臨みました

成長した姿のキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード
可愛いけど出演自体は今回少なめ
© 西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト

 そしたら、これが大正解。もう羽川翼 篇と言ってもいいくらい彼女がフューチャーされた回でしたね・・・前回の『鉄血篇』でも羽川さんと出会う『冒頭の名場面』が堪能できましたがやっぱり食い足りない感じだったのは正直な所。

 それが本作『熱血篇』ではメインヒロインたるに相応しい存在感でしたね。阿良々木くんが羽川さんに恋しちゃうまでの流れを丁寧に描いていたのが印象的でした。ただそれ以上に観客である自分に向けても、羽川さんの魅力をこれでもかっ!ってくらい盛り込んでいて至福の時間を過ごせました。

猫耳より萌える羽川さんの猫の口


 予告編ではバトルシーンが中心でしたが、本編でこんなに羽川さんとのシーンが多いとは驚きましたね。二人の会話のシーンはバトルシーンと同じくらいの比重で丁寧に描写されています。動きがなくて物足りないという感想も聞きますが、自分としてはバトルシーンよりも会話シーンの方が好きで、本当に見入ってしまいました。もっといつまでも続いて欲しい・・・って感じでしたね。

 本作では羽川さんのすっっごく可愛い猫みたいな口がたくさん出てきて・・・もうたまらないですね。個人的には猫耳より猫口の方が何倍も萌えるなぁ・・・障り猫は当然まだ出てきませんが、今後の展開を暗示するという意味でも印象に残りました。

猫みたいな最高に可愛い口元のシーンがたっぷり
© 西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト

切なすぎる前半の表情!


 前半の長い二人の対話シーン。阿良々木くんが羽川さんを邪険にするシーンですが、あれ本当に切なくてよかったです。突然ひどいことを言い出す阿良々木くんに対するあの表情。立つ瀬がないような、戸惑いを隠せない、笑顔とも泣き顔とも言えない表情!

 察しのいい羽川さんですから、事情があると分かっていながらも、やっぱりショックを隠しきれないあの感じ・・・なんとかうまく取り繕うとする様子が、見てるだけでこちらも切なくて仕方ないんだけど・・・もう最高でした。

いつものポーズで楽しく話してたのに・・・
© 西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト

 その後の例のスカート上げちゃうシーン・・・阿良々木くんじゃなくても『うぁああぁ・・・』って感じになるけど、(映画館でも声出ちゃってる人いました 笑)あのシーンは本当に羽川さんらしさがよく出てますよね。阿良々木くんが引くくらいの献身という意味で。『なんならブラウスも・・・』って気の利ききすぎるダメ押しが最高でした。

 しかし猫物語(黒)での『なんでもするから誰にも言わないで・・・』もそうだったけど、彼女は本当に人の嗜虐心を凄まじく刺激しますね。心を『もぎゅっ』と掴まれるようです。

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イノセントな積極性


 中盤の阿良々木くんの着替えのシーンも本当に好きだったなぁ。眠っているキスショットの傍で羽川さんの積極的な感じが意外というか、純粋に阿良々木くんのガタイの変化に興味を持っているようでもあり、それを口実にしたボディータッチのようでもあり・・・それでいて照れまくるし・・・このシーンも猫口が多かったし本当にときめきまくるシーンでしたねぇ・・・

吸血鬼になった体の変化に興味を持つ羽川さん
微妙な心持ちが楽しいシーン
© 西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト

 それにしても、要領よく着替えを用意して促したりする所なんかも、出来すぎる献身というか、羽川さんらしさを表してますね。のちに彼女の問題となる『白さ』であり『イノセントすぎる性格』をちょっと暗示しているのかな。

 そういえば猫物語(白)でハンターのエピソードに再会した時、彼に『普通になったな』と言われてたけど、猫に取り憑かれる前のこの羽川さんはやっぱり普通じゃないのかな?まあ普通じゃないといえばその通りだけど・・・。

 あと、その後のHな本がバレるシーンは笑ってしまいました。『眼鏡の委員長』ってそんなピンポイントの記事あるかよっ・・・て、おもわず笑っちゃったんだけど、周りの人はみんな無言で恥ずかしかった・・・原作読んで知ってたのかな?

 でも1と違って物語シリーズらしいデフォルメした笑いのシーンが結構ありましたね。あれをシネスコの大画面で見ると不思議な感じもしますけどやっぱり物語シリーズっぽくていいですね。


三つ編みのように『舞う』美しい・・・!


 そして2人目のハンター『エピソード』との戦闘に巻き込まれる羽川さんのシーン。死にかけるとはいえ、まさかあんな風に露骨に描写されるなんて思わずびっくりしました。

予告ではわからない露骨な描写に驚いた
© 西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト

 原作を読んでないんだけどあんな風に描写されているのかな?本来グロテスクになるようなシーンなのに、自分は正直、美しく感じてしまって・・・羽川さんって何もかもキレイなんだなぁ・・・って。まるで風にたなびくお下げ髪のように腸を眺めてしまいました。(その夜、謎の腹痛に苦しめられたのは呪いだったのか・・・)

 ところであの時、羽川さんが『阿良々木くん、うるさい・・・』って感じの台詞を呟いた気がするんだけど、あれはどういう意味なんでしょうね。無茶苦茶辛そうな表情だったから『この辛い時に大きい声ださないで!』って意味なのか、『そんなに取り乱さないで冷静になって!』って事なのか・・・妙に印象に残りました。

想定外のプレゼントに衝撃


 そして最大の衝撃シーンは最後の草原でのシーンでしたね。淡々と語り合ったり青春したりするシーンもすっっごく好きで見とれちゃうんだけど・・・まさか最後に羽川さんがアレを渡すとは・・・ちょっと想定外だったので衝撃大きかったです。もう渡す前から『ちょ・・・えっ!えっ!』って感じで、あの動き・・・本当ヤバイです(笑)見てる方も心をぎゅっと掴まれちゃいますね。

見てる方も取り乱して記憶が定かではない・・・
© 西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト

 羽川さんとしては(自覚が薄いとはいえ)命の恩人である阿良々木くんへの恩返しも含めた『エール』だったのかな?『返して』って言ってたしね。『必ずまた学校に戻るように・・・』って。でも羽川さんにあんなことされて恋に落ちない男はいない・・・と思うんだけど。

 猫物語(黒)で、阿良々木くんが羽川さんに対する自分の気持ちが『』かどうか月火ちゃんに聞いていたけど、このシーンを見ちゃうと確かに『自分は何が原因でときめいちゃってるんだろう』と考えちゃうのも無理はないか・・・って思いました。

過剰な献身性が呼び起こす気持ち


 それにしても羽川さんの阿良々木くんに対する献身性というのは、たしかに彼が引いちゃうくらいの踏み込み具合で、その過剰さがこちらの心も不安定にさせてしまいます。

 しかも非常に賢くて人生経験もある女性が・・・てのが尚更で。まあそれが、後に明かされる彼女の白さゆえのものとしても、見るものとしてはなんか冷静でいられない気持ちにさせちゃうんですよね。

過剰な献身性は見ているものを不安定にする
© 西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト

 それだけに、阿良々木くんが羽川さんじゃなくて戦場ヶ原さんを選んでしまうという現実にものすごい心をかき乱されるものがあるんだよなぁ。恩義に感じすぎて恋愛を超えてしまっているのだろうけど、本当に理不尽さというか辛さを感じます。それが物語シリーズの面白い所でもあるんだけどさ。

 ここさけ』では失恋をポジティブに捉えていた自分だけど、羽川さんについてはすんなり納得はできないよね。やっぱり彼女は報われなきゃおかしい・・・って思ってしまう。それもこの過剰な献身性があるからなんだろうなぁ・・・と、思うんですよね。

別格のメガネキャラ


 しかし改めて、羽川さんって数ある眼鏡キャラの中でもやっぱり別格だなぁ・・・まあ眼鏡絶対主義者ではないので、羽川さんがコンタクトにしても怒りはしなかったですけどね。

 とはいえ眼鏡キャラとしての羽川さんをこのシネスコサイズのスクリーンで堪能できることの喜び。もうそれだけで劇場版にしていただいたことに感謝したいんですよね。シネスコを有効に使った構図も多くて、本当に贅沢なもの見たという気がします。

3作目への期待とやっぱり劇場で見たい作品


 いやぁ、羽川さんの事ばっかり書きましたが、もちろんドラマツルギーとのバトルシーンも素晴らしかったですし、1作目同様にTVとは違う構図やスピード感のある絵作もよかったです。

バトルシーンも素晴らしいが、このシーンだけは笑ってしまった。
手抜きではないんだろうけどしつこい!
© 西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト

 1作目に比べると内容も濃いので満足感は高いですが、3部作の2作目ですからね。3本完成してから一気に鑑賞するのもいいかもしれません。とはいえ、フルサイズのシネスコスクリーンで見る美しい映像は本当に代えがたい魅力がありますね。

 本作は何度も映画館で『鑑賞』したいと思わさせる作品でした。ちょっと忘れちゃってるシーンもあるしね。ただ、きわどいシーンをみんなで見る感覚ってのはやっぱり独特のものがありますね(笑)1作目で経験済みとはいえ、知り合い同士だとちょっとはずかしいかも・・・。

 しかし原作未読者としては3作目の『冷血篇』はどうなるんだろう・・・と、期待と不安が入り混じります。まあ、原作の評判が良いのは知ってるので不安はありませんけどね(笑)ハッピーエンド的な話ではないでしょうからちょっと身構えちゃいます。

 3作目は阿良々木くんとキスショットの話が中心になるのかなぁ・・・と思いつつも、羽川さんは今後どう関わってくるのか?正直よくわかりません。むちゃくちゃ楽しみな来年の1月。本当に期待してます!

 その前にもう一度見て追記補足できたらいいなぁ。※2回目を鑑賞して本稿を一部書き直しました。う〜ん3回目も見たいぞ・・・本当に癖になるよ。
1作目 鉄血篇の感想はこちら。
傷物語 Ⅰ 鉄血篇 感想 :劇場作品としての気合を感じた! 

【追記:3・4回目を見てきました!】


 いやぁ、結局4回目も見に来ちゃいました。飽きるどころがドンドン良くなっていきますね・・・最初はちょっとインパクト強すぎてちゃんと受け止めきれないんだけど、落ち着いて見るとハマっていくパターンって個人的にちょっとやばい。 

 『感動』っていうわけじゃないんだけど、幸せいっぱい萌えいっぱい・・・って感じで、とっても満ち足りた気分になるんだよなぁ。最初は違和感あったBGMフランス語のEDもすごくしっくり来るようになりました。

 感動して立てなくなるような作品ももちろん良いけど、上映後にエネルギーを充填されて小躍りしたくなるような作品もクセになります。後半の草原のシーンの心地よさは異常・・・ずっと続いて欲しいって思っちゃいますね。

 世間では単なる萌えアニメになったとか、退屈なシーンが多いとか・・・結構厳しい意見もあるようですが(笑)この気持ちわかってくれる人沢山いるよね?(だって6週目の早朝上映なのに20人くらいお客さん来てたもんね)

 本当に最高です!これを3部作の劇場版にしてくれて本当にありがとう!この羽川さんを大スクリーンで見られる幸せ・・・感謝の気持ちでいっぱいですよ!

原作:西尾維新(講談社BOX)
総監督:新房昭之/監督:尾石達也
キャラクターデザイン:渡辺明夫 守岡英行
アニメーション制作:シャフト

傷物語 公式サイト
http://www.kizumonogatari-movie.com

他の『アニメ』の記事を読む
『スピーカー』『オーディオ・ビデオ』『備忘録・Mac・その他』『生活』
当ブログの引用画像について法律上の扱いについての説明
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シン・ゴジラ 感想:怪獣映画で感激すると思わないじゃない・・・議論百出の傑作映画!


 庵野秀明総監督の『シン・ゴジラ』映画館で鑑賞してきました。実のところ全くノーマークで正直に言うとあまり興味なかったのですが(笑)・・・初日の夜からTwitterで絶賛の嵐・・・というか悶絶にも近い叫びがソコココから。これはただ事じゃないぞ!って感じでしたね。
予告編より画像引用(当ブログの画像引用について
© 2016 TOHO CO.,LTD.

予防線を張っていた自分が馬鹿らしくなるほど


 ずいぶん話題だよ!って事で奥さん誘って見てみたら・・・もう唖然ですよね。劇中に何度『これはスゴイ!』と思ったか。中盤の見せ場、ゴジラの咆哮シーンでは、もう感極まってしまい・・・いやはやゴジラの姿で涙が止まらなくなるなんて想像もしてなかったですよ。

 開始2〜3分でアッと言う間に引き込まれる導入部もスゴイ!わずか10分くらいで半信半疑だった自分もさすがに確信に変わりました。直前まで『期待しすぎてガッカリしないように・・・CGは意外とショボいらしいよ』なんて予防線を張っていましたからね(笑)しかもそれは文字通りの序章に過ぎなかった・・・っていう。

目まぐるしく状況が変わる導入部の会議シーンは秀逸
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※次項より若干ネタバレありますのでご注意ください。

一番の感動ポイントはやっぱり・・・


 もう猫も杓子も絶賛の感想(最近では逆に否定する感想も出てますが)だけど、人によって微妙に焦点が違ってて面白いですね。

 自分は何と言っても一番ド肝を抜かれたのはゴジラが放射能光線を出すシーン。これは大勢の人が絶賛している中盤の見せ場ですよね。自衛隊の総攻撃にほとんど無傷だったゴジラが米軍の貫通弾で派手に出血!

自衛隊の総攻撃も素晴らしい映像だったが・・・
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 閣僚たちは喝采していましたが自分の心はすでにゴジラに感情移入ですよ(笑)当然反撃してくれるんだろうと思う訳ですが・・・その溜め方がすごかったですね。光線の焦点を合わせるような溜めと放出される開放感が半端なく爽快

 単に薙ぎはらうだけでなくカタルシスを目一杯感じられるように入念に作られた演出に本当に感動しました。

政治シーンのバランスが絶妙


 一部では愛国主義的?な映画だという指摘もありますけど自分は全然思わなかったなぁ。むしろすごくバランスが取れていた印象。もちろん最終的には『日本ガンバレ!』になってるし、日本人にむけた映画だとは思うけど、愛国心は右翼の『専売特許』じゃないわけで・・・。

 政治の描き方も適度な戯画化のバランスが良いんですよね。『外形的』にすごくリアリティーを追求する一方で『演技の面』でちょっと崩すという感じがちょうど良かったな。


 特撮映画ブロガーのYU@K氏のツイートに本当に同感。イデオロギー的な政治メッセージではなく、あるがままの日本をデフォルメして描いているように感じました。

適度な戯画化とリアリティー


 ありがちなのは戯画化しすぎて、政治家を極度にバカに描いたり、分かりやすく左派や右派を無能に描いて主人公のマトモさを強調するといったやり方。こういうのってすっごく興ざめなんですよね。世の中そんな単純に割り切れないわけで。

英雄でも無能でもなく普通にちょっと頼りない存在として描かれている総理
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 御用学者のくだりなんかはバカにする感じではあったけど、でも実際に緊急事態で高名な学者がついていけないというのは、残念ながら現代日本人の一種のコンセンサスと言っても良いわけで。世相を表すシニカルな演出だったと思います。

怪獣映画でありSF的シミュレーション映画


 ちなみに意外だったのはゴジラが出てきた後に聞こえた市民デモの声。こういうパターンだと環境保護団体とかが『ゴジラの命を守れ!』とか言って、だから『市民団体ってのはおかしな連中だ・・・』みたいになるのかと思いきや『ゴジラを殺せ!』でしたよね?

政府が世論の影響を受されるのは近代国家の宿命
© 2016 TOHO CO.,LTD.

 実際に『ゴジラを殺せ!』というデモがあり得るかは別として、近代国家が武力行使をするにあたり世論が反対する中で行う事はむしろ少ない訳で、太平洋戦争の日米開戦だって当時世論の大勢は主戦派だったといいますよね。

 武力行使で被害が広がる懸念をもつ総理大臣の後押しとして『ゴジラを殺せ!の世論』があった。そういう意味でも理にかなったデモの演出だったと思いますし、愛国映画というよりも『ゴジラが現れた日本』をシミュレーションすることに重点を置いた内容になっていたんじゃないでしょうか。
 ゴジラという虚構的な存在がもし東京に出現した場合、現実の日本がどう対応するのかという、一種の思考実験が作品の軸となっており、およそそれ以外の恋愛や家族などの描写は潔く排除されているのだ。テンポよく短いカットで、対ゴジラに関する描写だけで進行していく本作の構成は小気味が良く見事である。
『シン・ゴジラ』は日本の何を破壊する? 庵野秀明監督が復活させた“おそろしい”ゴジラ像 - 小野寺系 Real Sound より

 小野寺系氏のレビューのように『恋愛や家族』によるドラマ性に頼らない構成がハードSF的な楽しさを醸し出していると感じました。

豪華すぎる俳優陣!


 もう一つびっくりした事。主役級の大物俳優が信じられないほど贅沢に『これでもか!』と大量投入されてて本当におどろきましたね。気分的にはB級作品を見に来たつもりだったので、大変失礼ながら『え?なにこれ、こんな力入れてる作品だったの?』と気がつきました(笑)

 長谷川博己、竹野内豊、石原さとみなど328名の豪華キャストが集結したことでも話題を呼んでいる本作だが(中略)「本来なら大御所の方も手厚く迎えなければいけないが、そんなことをしていられず、長机を用意して自由に座ってくださいという感じでした」と苦笑いを浮かべる。
『シン・ゴジラ』ベテラン俳優が大慌て!樋口真嗣が明かす阿鼻叫喚の裏話! - シネマトゥデイ より

 最近TV番組に疎くて、事前のプロモーションとか全然知らなかったのですが、よく考えたらゴジラは東宝の看板作品みたいなものですからね。シネマトゥデイのインタビュー記事読んでその凄さを改めて感じました。

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庵野秀明と樋口真嗣のタッグ


 しかし、これだけの作品を庵野さんと樋口さんのタッグでやらせた決断もすごいですね。庵野さんには感心するばかりだけど、思い切って彼に任せた人たちもすごいなぁと感心しました
 たぶん「シン・ゴジラ」を見た人で、過去の庵野秀明作品、樋口真嗣作品の両方を知っている人は、「シン・ゴジラ」は、庵野秀明と樋口真嗣、どちらかが欠けても絶対に成立しなかった映画であることは誰も疑わないだろう。
いつの間にか、みんなゴジラが嫌いになっていた』 - shi3zの長文日記 より

 愛すべき扇動者であり、天才プログラマー社長のshi3zこと清水亮 氏。彼は樋口真嗣氏が監督した『実写版 進撃の巨人』を絶賛していたけど、今回のシン・ゴジラもやっぱり絶賛していましたね!

 私も『実写版 進撃の巨人』には好意的だったので、今回の清水氏のレビューには同感です。そして同じく同感だったのが予告編についての指摘
 そして惜しいことに、ネタバレを避けるため、予告編ではこの見事さ、面白さが微妙にうまく表現されていない。(中略)残念ながら本編はこの予告編の1000倍は面白い。本編の面白さを上手く伝えられていないのは非常に残念だ。
いつの間にか、みんなゴジラが嫌いになっていた』 - shi3zの長文日記 より

ピンとこなかった予告編


 いくら絶賛の声を聞いてもイマイチ信じられなかったのは、やっぱり予告編がピンとこなかったせいかなぁ。この予告編は良かったという人もいるけど、自分はこれで本編を見たいとは思わなかったんですよね。正直これまでのゴジラ映画のイメージと同じかなぁと感じてました。

『シン・ゴジラ』予告2
東宝MOVIEチャンネル(公式配信)

 ここで注目したのは『もしかして狙ってたのかな?』という意見。

 そうだったのか、やはり、そうだったのか、と思いました。 僕が立てた2つ目の「ある仮定」とは、庵野秀明氏があえて面白くないトレーラーを作らせたのではないか、ということでした。つまり、マーケティング戦略として、あえて、前評判を悪くしたのではないかと思ったのです。
庵野秀明総監督の『シン・ゴジラ』を見てマーケティングが完全に変わると怖くなった』 - 《天狼院通信》

 この意見は賛否あるけど、自分としてはあるかもしれないなぁ・・・って思ったんですよね。なにしろ、実際自分は思いっきり引っかかってますからね(笑)


奥さんも高評価


 一緒に見に行った奥さんは、もちろん特撮好きじゃありませんしSFもあんまりという人ですが相当面白かったようです。そういう点では女性でも楽しめる作品かもしれません。ただ私と違う感想だったのは『ゴジラが怖い!』という点でしたね。

『シン・ゴジラ』を観て最初の印象。それは「ゴジラ、怖い……」だったのよね。制作陣の意図として「最初のゴジラに立ち返る」というものがあったらしいと後で聞いて、とても納得。圧倒的な理不尽さをもって、普段の生活が、日常が破壊される恐怖。それがあった。
虚構と現実は逆転する――『シン・ゴジラ』感想 』- 日々の音色とことば より

 この辺は性別の違いかどうかはわかりませんが、上記のブロガーさんと同じようなイメージのようです。私なんかはゴジラの方に感情移入したりして『薙ぎ払え〜!』って感じだったかも(笑)

これは同感・・・(笑)

ポスト『セカイ系』なのか・・・ 


 東浩紀 氏といえばもう一つ『なるほど!』と思ったのがこの発言。


 セカイ系の代表的な作品といわれる『エヴァンゲリオン』の庵野さんが、ある意味セカイ系を排したような作品を樋口氏と作り上げたのは、確かに日本の世相の変化を表したものかもしれないなぁ・・・と思うと感慨深いですね。

パトレイバー以来の関東舞台の傑作


 最後に余談になりますが、特撮ファンでもゴジラファンでもない(さらに言えば庵野ファンってわけでもない)自分がこの作品を見たとき感じたのは、関東を舞台にしたSF作品として『機動警察パトレイバー the Movie1・2』を超える作品を、まさか特撮実写作品で見ることになるとは思わなかった!という感慨でした。

 正直、シン・ゴジラのいろんなオマージュや引用は分からない所が多いのですが、同じような興奮・ワクワク感を感じたのが押井守 監督の『機動警察パトレイバー the Movie』だったんですよね。

 これだけの話題作となったシン・ゴジラですから、自分が勧めるまでもなく、みんな見に行くと思いますが、劇場版パトレイバーが好きだった人には絶対見逃してほしくないなぁ・・・って感じる作品でした!

追記


 記事をアップした後に気づきましたが、またスゴイ感想が発表されてました・・・。
「わたしは好きにした、君たちも好きにしろ」という台詞もとても嬉しかった。特に「君も好きにしろ」ではないところが嬉しかった。大事なことは怪獣映画を観られること、作れることで、それを一人のものとされたくはないのだ。
シン・ゴジラ:感想(約1万5000字:未鑑賞者の閲覧を禁ず) - 六月の開発局

 自分が正しく理解できているかは分かりませんがこの部分にシビレました!映画を見た後に改めてこのセリフを読むと確かに違う意味にも感じますね。それにしても全編にわたって凄まじく読ませる感想・・・恐ろしや。

映画『シン・ゴジラ』公式サイト
http://www.shin-godzilla.jp/index.html

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