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ガールズ&パンツァー 劇場版 感想 (通常版):ブラボー!と叫びたくなる傑作映画

 完全に甘く見てました・・・ガルパンの映画『ガールズ&パンツァー 劇場版

ガールズ&パンツァー 劇場本予告
Bandai Visual (公式配信)

 この映画どうだった?と問われれば、誰だって『スゴイ映画』と言うしかない。まさに、満を持して公開された、練りに練られた渾身の作品。妥協というものを知らない『劇場版』の名に恥じない大作。エンディングで心の底からブラボー!と叫び、立ち上がって拍手したくなる作品でした。
※重大なネタバレは避けたレビューになっていますが未見の方はご注意ください。
※こちらは通常の劇場版レビューです。4DX版については下記のリンクの感想があります。
【関連】4DX版も見てきました。4DX ガルパン劇場版 感想:この猛烈な楽しさは4DXのキラーコンテンツだ! - アニメとスピーカーと‥‥。

練りに練られた構成・脚本


『日常系ゆるふわ萌えアニメ』と『荒唐無稽だけど硬派な戦闘アニメ』が並存する妙味がTVシリーズからの特徴ですよね。劇場版では双方をスポイルすることなく、最大限に生かしたまま昇華させることに成功していると思いました。

相容れない2種類のジャンルを並存させる妙味
劇場版ではそれがより高いレベルで融合される
© GIRLS und PANZER Film Projekt / 本予告より
当ブログの画像引用について

 よくぞこれほどまで!と思うほど作り込んだ脚本。練りに練られた構成。大別すればバトル・日常・バトルの3部構成ですが、決してぶつ切りになるわけでなく、バトルシーンでの萌えアニメテイストの並存のさせ方が素晴らしいですね。

戦闘シーンとゆるふわアニメの共存のさせ方が見事
© GIRLS und PANZER Film Projekt / 本予告より

 どちらに偏るのではなく融合してるんですよね。だから他の作品には無い、とっても不思議な面白さがあると思います。特に劇場版ではそれが顕著に感じました。

ヒリヒリするような緊張感


 TVシリーズより、さらにリアリティーの増した戦車の描写。スコープでの映像も違和感なく、乾いた弾道の音甲高い跳弾の音・・・ヒリヒリするような緊張感!劇場ならではの飛び交う音響と地響きで、恐ろしくなるほどの戦場のリアリティを表現しています。

飛び交う砲弾、飛び散る跳弾
劇場鑑賞に値する音響
© GIRLS und PANZER Film Projekt / 本予告より

 それにもかかわらず、その中で萌えアニメ的やり取り。リアリティと荒唐無稽戦闘と日常。このバランスが絶妙で破綻することなく並存している。本当に面白いです。手に汗握る戦闘シーンで『涙あり、笑いあり』が成立しているんですよね。戦闘シーンの最中も、とにかく笑いが絶えませんでした。

戦闘と日常系の並存の面白さ
© GIRLS und PANZER Film Projekt / 本予告より

絶対死なない設定なのに・・・


 本作の最大の特徴。絶対死なない設定・・・これを受け入れることが本作を楽しむパスポートのようなもの。TVシリーズでは個人的になかなか受け入れられずに難儀しました。

絶対死なない設定の本作
泣かされることはありえないと思っていたが・・・
© GIRLS und PANZER Film Projekt / 本予告より

 だから劇場版でも戦闘シーンで絶対死なないんだったら泣くポイントもないだろ・・・と甘く見てたんですよね。まさかカチューシャのシーンで感動してしまうとは・・・やられました(泣)ちょっとベタだけど、完全に不意を突かれましたね。気づいたときには涙が出てましたよ。嘘だろ・・・やられたって感じです。

素敵な吉田玲子さんの脚本


 中盤の静かなシーン。ゆるふわ脚本が得意の吉田玲子さんらしいとても素敵なシーンだったな。『たまこラブストーリー』好きなので、ガルパンの脚本が吉田玲子さんだと知った時は驚いたのですが、彼女だから起こる化学反応を期待されたのかもしれませんね。吉田さんの作品って単にゆるふわで終わらず独特の味わいが残るんですよね。

 しかも、これほどたくさんのキャラクターがありながら全然埋没させない。私のようにTVシリーズうろ覚え程度の観客にも意味不明になることなく演じさせる力量には驚きます。

緩急のある構成で119分間、全く飽きさせない
© GIRLS und PANZER Film Projekt / 本予告より

 緩急のつけ方にも感心しますが、しかし、後半の長時間にわたる戦闘シーンではさらに驚かされます。手に汗握る戦闘シーン。長時間にもかかわらず全く飽きさせず、むしろ笑いが絶えないくらいでしたね。

終盤に加速する圧倒的な緊張感!


 しかし終盤クライマックスに入ると、あれ程までに楽しくやかましかった会話が一切なくなります。あるのは時折見せるサインだけ、このものすごい緊張感の高め方!すごい演出です・・・本当にすごい!

 ただただ繰り広げられる戦闘。この圧倒的迫力緊張感。荒唐無稽にもかかわらず、極限まで突き詰めた世界は観客の感動を誘わずにはいられません。

後半の長時間の戦闘シーン
練りに練られた構成には圧倒される
© GIRLS und PANZER Film Projekt / 特報より

 これほどまでの戦闘シーンを作り上げたことに圧倒されて自然と涙が止まらなくなりました。本当に不思議ですが、なんだかわからないけどすごい!って事実に感動してしまったんだと思います。EDまで涙が止まらずハンカチ用意してなくて本当に困りましたよ。

ブラボー!ブラボー!賞賛の拍手


 よくぞこれ程のものを作ったもんだ・・・ただただ、敬意を表したくなりました。終了後に拍手が鳴った会場があったそうですが、その気持ち本当にわかりました。素直にそう思います。終了後もすぐに席を立つことができませんでした。

ゆるふわなオープニング時は
ここまでの大絶賛になるとは想像もできなかった
© GIRLS und PANZER Film Projekt / 本予告より

 それは、単にストーリーで感動したというのではなく、制作陣の超絶技巧、例えれば素晴らしい演奏が終わった時のような、完璧な演技が決まった時のような・・・とにかく『ブラボー!』と叫びたくなるようなクライマックス。とにかくスゴイ!と賞賛したくなる作品。

 努力の結晶って言葉があるけど、この作品こそ光り輝く結晶のような作品だと思いました。どれほどの苦労があったのか、限界まで妥協しないという水島監督はじめ制作陣の執念に当てられてしまうのだろうと思います。

実はTVシリーズはちょっと苦手だった・・・


 ここまで絶賛しておきながら言うのもなんですが、実はTVシリーズはちょっと苦手だったんですよね。キャラがそれほど好みでなかったのと、絶対死なない設定にどうしても馴染めなくて・・・。正直ファンとは言えませんでした。

 だから劇場版もどうしようかなぁ・・・と思ってたのですが、Twitterでとにかくスゴイ興奮の声・・・。本当に見に行ってよかったです。

 ちなみに本作は昨今の右傾化と関連して語られることもありますが、その心配は杞憂ですね。極端にデフォルメ表現されているのでリアルと混同する人はいないでしょう。

本作では何度笑わせてもらったことか・・・
© GIRLS und PANZER Film Projekt / 特報より

 それどころか、弾道のリアルな音などは戦場の恐怖感を強調していますし、むしろ旧日本軍を皮肉るようなセリフは右派論者が怒るのではないかと心配するほどですね。本作の方向性が戦争礼賛でないことは明らかでしょう。戦車がカッコイイと感じるのは自然だしむしろ平和的。健全な日本のエンターテインメントの傑作ですね。

戦車がカッコイイのは仕方ない
© GIRLS und PANZER Film Projekt / 本予告より

 一般人向けとしては萌えキャラと独特の世界観がハードルになりますが、より洗練された劇場版は、自分のようにTVシリーズで入りきれなかった人でも力技でねじ伏せてくれるすごい作品でした。

監督:水島努/脚本:吉田玲子/制作:アクタス
ガールズ&パンツァー公式ページ

(追記)映画レビュアーのヒナタカさん。TV版未見でも問題なく楽しめたそうです。
『えーと、自分はおそらく1000人中1人くらいの割合の「テレビシリーズを一切知らない&予備知識がまったくないのに劇場版を観に行った」奇特な人間なのですが(ファンの方ごめんなさい)、それでもめちゃくちゃおもしろかったです。』 - カゲヒナタのレビュー より
【関連】4DX版も見てきました。4DX ガルパン劇場版 感想:この猛烈な楽しさは4DXのキラーコンテンツだ! - アニメとスピーカーと‥‥。
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ハイセンスの液晶テレビで、再生時の拡大スムーズ設定を解除する方法

  ハイセンスの液晶TV HS32K222(HS32K220の姉妹機) を使っています。現在まで問題もなく結構気に入っているのですが、最近録画した番組を再生していて気がついた事があるんです。

(参考)中国メーカー ハイセンスの液晶テレビHS32K222を買ってみた感想 - アニメとスピーカーと‥

上下が切れたスムーズ(ズーム)設定に・・・

通常のフル表示 テロップの下に十分なスペースがある

 テロップ文字が画面下ギリギリに表示されているんです。画面の上下が切れた状態、つまりズーム設定。通常の地デジ視聴では、問題なくフル画面表示となっており、録画番組を再生するときだけ、拡大されたズーム設定になっているんです。

再生中はなぜか『ズーム表示』 画面の上下が切れてしまう!

 解除しようとリモコンのワイド画面ボタンを押しても、ノーマル(4:3)とスムーズ(ズーム)のみ。
どちらにしてもフル表示になりません。

再生中はワイド切替もこの2種類しか出ない


検索で解決・・・と思いきや!


 困ったな・・・と思い、ネット検索したら、価格COMの『すてんた』さんの方法で解決した書き込みがありました。別機種ですが、メニューの設定で変えられるとの事。

メニュー/映像設定/画面の設定(2頁目)/垂直位置 サイズ

喜び勇んで、早速設定っと・・・あれ?

メニューから(垂直位置 サイズ)設定に入っても選択できない!

 グレーになって選べないじゃん!もしかしてこの機種では変更できないのか?と真っ青に。

解決できて一安心!


 がっかりしたのもつかの間、ふと思い立ち、『再生中』にもう一度メニューボタンを押します。すると今度は選べるじゃないですか!よかった。

録画番組を再生中にメニューを開くと選ぶことができるように!

 さっきは通常の地デジ画面でメニューを開いたのでダメだったみたいです。録画番組の表示設定は再生中に開く必要があるみたいですね。

左右のサイズ設定でズームを解除してフル画面に戻せます。

いつからなってたのか?


 しかし、いつからこの設定に変更されていたのかなぁ?買った当初からだったら、よっぽど俺の目は節穴だけど・・・前はフル表示になってた気がするんですよね。

 自動アップデートの際などに変わってしまったんじゃないかと思うんですが、今となっては検証しようがないですね。

 まあ、いずれにせよ、上記のように簡単に元に戻せます。やっぱりフル表示じゃないと映画なんかは嫌ですからね。一安心です。

(参考)4万円以下の安い32型液晶テレビ(録画機能付)7機種を比較してみた - アニメとスピーカーと‥ 

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心が叫びたがってるんだ。3度目の感想 ここさけ:歌詞とセリフの繋がりに驚き、星空に感動!


 『ここさけ』、すごいですね。結局4回目を見に行ってしまいました。さすがに4回目となると、もう感動も薄れるかなぁ思ったんですけど・・・甘かったです。前回とはまた違ったところで泣かされてしまって。なんか本当にすごいなぁ・・・この作品は。

先着77万名に配布される劇中ミュージカルのパンフレット
それは単なる記念品を超えた、映画を一層理解するためのアイテムだった

『 心が叫びたがってるんだ。』入場特典 より
 © KOKOSAKE PROJECT (当ブログの画像引用について



 もう2回レビュー記事を書いていますので、感想も書き切ったと思ったのですが、まだ書き足りないことが出てしまいました。しつこいですが再々度の感想です。

 ※『映画 心が叫びたがってるんだ。』の3回目のレビューとなります。ネタバレありますのでご注意ください。初見/2・3回目のレビューはこちら。
(1回目)映画 心が叫びたがってるんだ。 感想 :あの花にイマイチ感動できなかった人に勧めたい恋愛の名作 - アニメとスピーカーと‥
(2・3回目)「心が叫びたがってるんだ。」ここさけ 2度目の感想 :どうしても絶賛してしまうラブストーリー - アニメとスピーカーと‥

4回目で初めて理解できた!クライマックスのセリフ・・・


最終章の歌詞はクライマックスのセリフに繋がっていた
『 心が叫びたがってるんだ。』入場特典 最終章 より
 © KOKOSAKE PROJECT 

 クライマックスのラブホのシーン。錯乱気味に叫ぶにむかって、拓実が『成瀬順!』とフルネームを叫び、我にかえる順。

 その後、順も拓実に『私、まだ君の名前を呼んでいない』と言い、拓実は『呼んでくれ・・』と言って、順が何度も『坂上拓実』と名を呼びます。

 このシーン何度も感動してたんですが・・・恥ずかしながら本当の意味がわかってませんでした・・・。
 あなたの名前呼ぶよ 優しいあなたの名前呼ぶよ
 映画 心が叫び違ってるんだ。『青春の向こう脛』最終章より© KOKOSAKE PROJECT

 ミュージカルの歌詞だったんですね!前回までは泣いててあまり耳に入ってこなかったミュージカルの歌詞。4回目となるとしっかり聞くことができます。

 1ヶ月間、何度も練習して作り上げてきたミュージカル。この歌詞だって何度も繰り返し歌ってきたはず。だからこそ、とっさに出てきた『成瀬順!』と『私、まだ君の名前を呼んでいない』の組み合わせ・・・。

 この歌詞とセリフが、ようやく頭の中で繋がった時、これまでにない感動で涙が止まりませんでした。ああ俺、何で気付かなかったんだろう・・・3回目まであんなに感動してたくせにね。本当、節穴だよなぁ・・・(笑)

※セリフは聞き憶えなので・・・違ってたらご指摘ください!

ミュージカルのパンフレット

『 心が叫びたがってるんだ。』入場特典 第5章 より
 © KOKOSAKE PROJECT 

 というか、ミュージカルのパンフレットを77万枚も配布していたのはそういう意味だったんですね・・・単なるオマケじゃない。これを読むことでより一層作品を深く理解できることにようやく気がつきました。

 感動した歌詞といえば、順が戻って初めて歌う第5章・・・。

わたしの声 消えたこと みんな喜んだ
みんなわたしの言葉を 嫌ってるから
映画 心が叫びたがってるんだ。『青春の向こう脛』第5章より © KOKOSAKE PROJECT

 もうこれね・・・本当に涙が止まらない。順のお母さんも泣いてたけど、俺の方がもっと泣いてたよ。なんか前回までは、この辺は感動で頭がいっぱいで、細かい歌詞までしっかり聴けてなかったんだなぁ。

 そんなことも理解しないで、今まで語ってたのかよ!って言われると赤面ですね・・・アハハ。

 もう3回見れば十分だろう!と理性では思っていたんです。でも、なぜか物足りなくて・・・4回目を見に行ってしまったのですが、本当に良かったです。自分の深層心理では『まだ十分読み取れてない!』って無意識に感じてたのかもしれませんね。 

印象的な星空の美しさ


 もう一つ、これはぜひ言っておきたいことがありました。この作品って星空がすっごくキレイじゃないですか?

星空の美しさが印象的。冬の大三角の一部かな?
特報映像2より  © KOKOSAKE PROJECT 

 個人的に天文関係も趣味にしているので、子供の頃から空を見上げることが多いのですが、ここさけの夜空の描き方ってすごいリアル。かつ、とっても気持ちの良い星空なんですよね。

 リアルと言っても星の配置まで正確に描かれているというわけではないと思いますが、明るい星と微光星のバランスがすごく良いです。光害の少ない暗い空で見える、ちょっとザラついた星空の感じがすごく良く表現されていますね。

 きっとロケハンとかで見たんでしょうね・・・実際に見る星空の印象に近くて(もちろん、街の付近はこれほどキレイじゃないだろうけど)すごいなぁ・・・と思っていました。

 最近の作品だと、伊藤計劃の映画『屍者の帝国』の星空がキレイだと話題になりましたが、個人的にはこちらの方がよりナチュラルで心に沁みました。印象深いシーンに星空が描かれるので一層強く心に響きました

名実ともに名作となって・・・


 さすがに3回のレビューは我ながらしつこいと思いますが、それほど書きたくなる作品、感動を口にしたくなる作品でした。11月に10億円突破とのことで、オリジナルアニメ作品としては史上4番目の快挙だそうです。
『ここさけ』興収10億円突破!ジブリ&大友克洋&細田守に次ぐ史上4番目 - cinemacafe
別に自分の手柄でもなんでもないけど、なんだかとっても嬉しいですね!名実ともに名作となった『心が叫びたがってるんだ。』。今、この作品に出会えて本当に良かったです。
映画『心が叫びたがってるんだ。』公式サイト
オリジナルアニメ作品/119分
監督:長井龍雪/脚本:岡田麿里/制作:A-1 Pictures

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当ブログの引用画像について法律上の扱いについての説明

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「心が叫びたがってるんだ。」ここさけ 2度目の感想 :どうしても絶賛してしまうラブストーリー


 どうも、映画「心が叫びたがってるんだ。」(ここさけ)2回目の鑑賞に行ってきました。1度目であんなに感動したのに、2度目はもっと感動してしまうなんて!好きな人はとことん好きになってしまう作品なんですね・・・。

心が叫びたがってるんだ。/第3弾CM 30秒ver.
aniplex 公式配信 © KOKOSAKE PROJECT 

 2度目のレビューですのでネタバレ全開となりますのでご注意ください。1度目のレビューはこちら。(追記:3度目のレビューも書きました。リンクは文末に)
(参考)映画 心が叫びたがってるんだ。 感想 :あの花にイマイチ感動できなかった人に勧めたい恋愛の名作 - アニメとスピーカーと‥

2度目の方がさらに感動!


 都合がつかず初見から結構時間が経ってしまいました。おかげでちょっと熱量下がっちゃったかな?うまく入れるかな?とちょっと心配だったのも事実。

 しかし全くの杞憂でした!初回よりもずっとずっと深く感動してしまって・・・もう後半1時間は涙が乾く暇もなく、涙量は1度目よりずっと多かったと思います。

 2回目なのに、2時間全く退屈せずに没入できたし、この作品がもっと好きになってしまいました。

冒頭の玉子の声でジ〜ン


 初見の時はわからなかったけど、冒頭の玉子の王子の声。拓実の声優さんと同じなんですよね。2度目だと冒頭からあの声が出るだけでジーンときてしまいましたよ。

わずか数分で一気に持って行く冒頭に改めて驚き
特報2より © KOKOSAKE PROJECT (当ブログの画像引用について

 しかし、あの 冒頭5分でのつかみはすごいよね。一気に持って行きますもんね・・・改めて驚きました。あれで泣いちゃう人多いですよね。

 自分としては、初見では痛さが勝ってしまいましたが、2度目では子供時代の成瀬順天真爛漫さを見て、結構ぐっときちゃいました。


1度目よりずっと感動できたわけ


2度目からは順の心の動きがよくわかる
CM5弾より © KOKOSAKE PROJECT

 1度目の感想に書いた通り、初見ではクライマックスのラブボのシーン涙が溢れてしまいました。一気に感情の焦点が合ったような感じになったんですよね。

 そして結末を知った上で見た2度目は、順の気持ちがどんどんが変化していく様子に感動してしまいました。2度目だと本当によくわかるんですよね。

 初見では何でもなかったシーンも、2度目に見ると順が拓実に恋していく様子がハッキリわかります。そんな、細かい所にもいちいち感動してしまって・・・クライマックスよりもはるか前からが出てきてしまいました。

淡いときめきと精一杯の勇気・・・


 2回目で特に印象に残ったところは、順が自宅から飛び出してしまうシーンですね。拓実とたくさんのメールのやり取りをして、何てことない言葉に心ときめかせている順の姿。ココ、すっごく好きです!彼女にとってささやかだけど、今までになかった明るい希望が差し込んでいるのがよくわかります。

もらった言葉を抱きしめて、彼女は変わりはじめる
特報2より © KOKOSAKE PROJECT

 その気持ちを大切にしたいという思いが、自分も変わりたいという気持ちにつながって、勇気を出してご近所さんの訪問に対応したんでしょうね。その日はあらかじめ玄関近くで待っているように見えたけど、相当な決意が描かれています。

 その勇気拓実との関わりの中で芽生えたもの。自分も拓実とちゃんと関われるような人間でありたいという願いだったのかな。ヨロヨロと頼りないけれど一生懸命に勇気を出して立ち上がったのにね・・・。

手を差し伸べてくれた王子様


 まあ、あんな風にお母さんから言われたら心も折れますよね・・・感情のバランスを崩して思わず飛び出してしまう順・・・。

苦しくて夢中で救いを求めたのは彼だった・・・
CM5弾より © KOKOSAKE PROJECT

 ああ、拓実のおかげで少しだけ自分に自信が持てて、がんばって一歩踏み出したのにね・・・。彼女が自分の殻を破ろうと立ち上がっても簡単につまずいてしまう・・・そんな時、成瀬のとなるように支えてくれたのが拓実。それを象徴するのが、あのバス停のシーンでした。もうここでジーンと来てしまって、2回目は1度目よりずっと胸に迫るものがありました。

絞り出すように助けを求めて・・・
CM5弾より © KOKOSAKE PROJECT

 本当に苦しくって駆け出して、ヨロヨロになりながら救いを求めたら、奇跡的に手を差し伸べてくれた初恋の同級生・・・これでは運命の王子様だと思ってしまっても仕方ないよね。『自分の心を見られた・・・』なんて思ってしまうようなピュアな子だもんね。

急速に混ざり合う物語・・・


 ギョッとするような長文メッセージの連投に真摯に応じてくれる拓実。もう順にとっては拓実だけが拠り所。そんな状態でピアノを弾いて歌う姿を見せられちゃったら・・・最初に恋したのもアコーディオン弾いて歌う姿だったもんね。はっきり言葉には出なくても運命の王子様だと思い込んでいくシーンがいくつもあって、見てる方はどんどん切なくなってきます。でもその描き方がすっごく良いんですよね・・・。

ピュアな彼女の心の扉がどんどん開かれていく・・・
公開記念特番より © KOKOSAKE PROJECT

 結果的には拓実は思わせぶりな行動をしてしまうんだけど、幸か不幸か、これだけのお膳立てをされちゃったらね・・・でも誰も悪くないよね。だって、これがなくては順は殻を破れなかったんだから。

 ちょっとしたことでも、順にとってはとても新鮮な出来事ばかりで・・・彼女が新しいドアを開かれるたび恋が深まってしまう。どんどん拓実に惹きつけられている順の表情が、もう切なくってどうしようもありませんでした。

幸福と不幸は紙一重 彼女の恋が深まるほど切なさは増していく
公開記念特番より © KOKOSAKE PROJECT

 順にとって拓実が、淡い初恋を超えてかけがえのない存在になっていく・・・素敵な初恋物語と、彼女の成長物語が一体不可分のものとして急速に混ざり合っていく感じ。これがものすごく好きです。

大樹の言葉に・・・


 もう一つ、印象に残ったのは、野球部の田崎大樹の言葉。
 順が失踪した朝、拓実と、拓実の元カノである仁藤菜月との会話が原因だったと騒然とする教室。そこで拓実が、『まさか成瀬が自分の事を・・・』みたいな事を呟いた時・・・大樹が絞り出すように言った一言。

実は一番よく見えていたのが大樹・・・
公開記念特番より© KOKOSAKE PROJECT

お前が・・それを・・・


いろんな感情を押し殺して絞り出したセリフ
公開記念特番より© KOKOSAKE PROJECT

 このセリフは2度目だからこそグッときたなぁ・・・もうきっと、この時には大樹は成瀬の事が好きだったんだよね。でも彼女は拓実の事が好きだという事もわかっていて・・・。

 あれだけ順を応援している拓実が肝心の部分だけは無自覚・・・というか直視していなかった。そこに、大樹の怒りというか・・・順に恋心を抱いていた大樹にとってはぶっ飛ばしたくなるくらいの気持ちだよね。でも自分にはそれをする資格はない・・・そんな複雑な気持ちが、あの絞り出すような言葉に込められていると思います。

 荒っぽい印象の大樹が恋愛には一番敏感だった・・・なんか面白いですよね。そういえば拓実の部屋で二人きりになった時も、意味ありげな質問と表情でしたね。かなり敏感に察することのできるタイプなんですよね。後輩の不満は感じなかったみたいだけど・・・大樹への印象は2回目の鑑賞で結構変わりました。

エンディングの最後まで涙・・・消耗してぐったり


 初見では涙が止まらなかったラブホでのクライマックス。2度目でももちろん感動なのですが、早くも拓実が自転車に乗っていく所から涙が出てきてしまって・・・成瀬の言葉にも始めっから心動かされてしまい、ずっとボロボロ涙を流しながら見ていました・・・。

もうこの段階で涙が・・・
本予告より © KOKOSAKE PROJECT

もう2度目は、とにかく深く深く・・ ・長時間にわたって感動してしまって、心身ともにかなり消耗しますね。後半1時間はハンカチが手放せない状態でした。

 初見ではEDの乃木坂46の楽曲『今、話したい誰かがいる』がいいクールダウンになっていたのですが、今回はクールダウンどころか、乃木坂46の楽曲でも泣かされる始末。 最後の最後まで涙が止まらないので困ってしまいました。ラブホのシーン以降は、もうずっと意識がぽーっとしてしまい、明るくなるまでに息を整えるのがやっとでしたね。

本作のテーマと・・・どうしてこんなに感動してしまうのか


 誰が死ぬってわけでもない、言ってしまえば、ウブな女の子の初恋物語に過ぎないお話にここまで心が動かされるのはどうしてでしょう。

ウブな女の子の初恋物語
公開記念特番より© KOKOSAKE PROJECT

 誰が悪いというわけでもない運命の切なさと、訳あって自分の殻から出られない女の子の成長物語が巧みに絡み合っているお話。彼女が友達の力を得て、傷つきながらも成長して自己の殻を破っていく。その様子が本当によく描けている作品だからだと思います。なんというか説教臭くないんですよねぇ。

 個人的な理解ですが、本作のメインテーマは母との和解ではなく、自分自身の成長によって殻を破っていく物語。両親との確執は謝罪されれば終わる類のものではないですよね。結局は自分自身の問題。その力になるのは、ほかでもない恋の力なんだと受け止めました。

恋の力で自分の殻を破っていく
公開記念特番より© KOKOSAKE PROJECT

 そういう意味でも、劇中劇のタイトル『青春の向こう脛』って、この作品自体のテーマですよね。サブタイトルって言ってもいい。本当に機知に富んだ表現だなぁと思いました。

最後に3回目の感想と菜月の関係


 前回は予告編で恋愛が描かれていないと不満を書いてしまいましたが、本予告より前のCMでは結構描かれていましたね。今回はあまり言及していませんが、その後3回目を鑑賞した際は、菜月に注目してみることができました。

初回と3回目では菜月への見方がかなり変わった
公開記念特番より© KOKOSAKE PROJECT

 彼女と拓実の関係は、個人的には一番好きかもしれません。初見では順と拓実の関係の味付けのように思えた菜月ですが、3回目では二人の関係にすごく惹かれてしまって・・・最後に2人の関係が再び動き出す奇跡に感動してしまいました。

順の悲しみは、もう一つの奇跡を生み出していた
特報映像2より © KOKOSAKE PROJECT

 3回目で一番印象に残ったのはラストのミュージカルで菜月と二人でダンスを踊るシーンでした。思いがけず二人が王子とお姫様として邂逅できたことが、本当に幸せそうに見えたし、なんとも言えない切なさが入り混じったすごいシーンだったと思います。


 3回目は音楽も注意して聞くことができましたね。特に挿入歌の『harmonia』すごく良かったですね。この楽曲のおかげで本作全体を一層上質なものにしていました。この曲がかかって以降はなんだか映画の空気が変わった感じがしました。

本予告より © KOKOSAKE PROJECT

 3回見てもまた見たくなるような作品・・・本当にこんな素敵な映画を作ってくれて感謝しかないですね。もちろん世間の評判を見ると、誰でも絶賛というわけではないですが、一部の人の琴線には触れまくっているのは事実。絶賛される作品ってそういうものですよね。今、この作品を楽しめる状態で出会えたことを本当に感謝したくなる作品でした!
(追記)4回目を見て、3度目の感想を書いてしまいました。しつこくてスミマセン!よかったら読んでください。
(3度目の感想)心が叫びたがってるんだ。3度目の感想 ここさけ:歌詞とセリフの繋がりに驚き、星空に感動! - アニメとスピーカーと‥
(1度目の感想)映画 心が叫びたがってるんだ。 感想 :あの花にイマイチ感動できなかった人に勧めたい恋愛の名作 - アニメとスピーカーと‥
映画『心が叫びたがってるんだ。』公式サイト
オリジナルアニメ作品/119分
監督:長井龍雪/脚本:岡田麿里/制作:A-1 Pictures

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当ブログの引用画像について法律上の説明

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