ガールズ&パンツァー 劇場本予告
Bandai Visual (公式配信)
この映画どうだった?と問われれば、誰だって『スゴイ映画』と言うしかない。まさに、満を持して公開された、練りに練られた渾身の作品。妥協というものを知らない『劇場版』の名に恥じない大作。エンディングで心の底からブラボー!と叫び、立ち上がって拍手したくなる作品でした。
※重大なネタバレは避けたレビューになっていますが未見の方はご注意ください。
※こちらは通常の劇場版レビューです。4DX版については下記のリンクの感想があります。
※こちらは通常の劇場版レビューです。4DX版については下記のリンクの感想があります。
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練りに練られた構成・脚本
『日常系ゆるふわ萌えアニメ』と『荒唐無稽だけど硬派な戦闘アニメ』が並存する妙味がTVシリーズからの特徴ですよね。劇場版では双方をスポイルすることなく、最大限に生かしたまま昇華させることに成功していると思いました。
相容れない2種類のジャンルを並存させる妙味 劇場版ではそれがより高いレベルで融合される © GIRLS und PANZER Film Projekt / 本予告より (当ブログの画像引用について) |
よくぞこれほどまで!と思うほど作り込んだ脚本。練りに練られた構成。大別すればバトル・日常・バトルの3部構成ですが、決してぶつ切りになるわけでなく、バトルシーンでの萌えアニメテイストの並存のさせ方が素晴らしいですね。
戦闘シーンとゆるふわアニメの共存のさせ方が見事 © GIRLS und PANZER Film Projekt / 本予告より |
どちらに偏るのではなく融合してるんですよね。だから他の作品には無い、とっても不思議な面白さがあると思います。特に劇場版ではそれが顕著に感じました。
ヒリヒリするような緊張感
TVシリーズより、さらにリアリティーの増した戦車の描写。スコープでの映像も違和感なく、乾いた弾道の音、甲高い跳弾の音・・・ヒリヒリするような緊張感!劇場ならではの飛び交う音響と地響きで、恐ろしくなるほどの戦場のリアリティを表現しています。
飛び交う砲弾、飛び散る跳弾 劇場鑑賞に値する音響 © GIRLS und PANZER Film Projekt / 本予告より |
それにもかかわらず、その中で萌えアニメ的やり取り。リアリティと荒唐無稽。戦闘と日常。このバランスが絶妙で破綻することなく並存している。本当に面白いです。手に汗握る戦闘シーンで『涙あり、笑いあり』が成立しているんですよね。戦闘シーンの最中も、とにかく笑いが絶えませんでした。
戦闘と日常系の並存の面白さ © GIRLS und PANZER Film Projekt / 本予告より |
絶対死なない設定なのに・・・
本作の最大の特徴。絶対死なない設定・・・これを受け入れることが本作を楽しむパスポートのようなもの。TVシリーズでは個人的になかなか受け入れられずに難儀しました。
絶対死なない設定の本作 泣かされることはありえないと思っていたが・・・ © GIRLS und PANZER Film Projekt / 本予告より |
だから劇場版でも戦闘シーンで絶対死なないんだったら泣くポイントもないだろ・・・と甘く見てたんですよね。まさかカチューシャのシーンで感動してしまうとは・・・やられました(泣)ちょっとベタだけど、完全に不意を突かれましたね。気づいたときには涙が出てましたよ。嘘だろ・・・やられたって感じです。
素敵な吉田玲子さんの脚本
中盤の静かなシーン。ゆるふわ脚本が得意の吉田玲子さんらしいとても素敵なシーンだったな。『たまこラブストーリー』好きなので、ガルパンの脚本が吉田玲子さんだと知った時は驚いたのですが、彼女だから起こる化学反応を期待されたのかもしれませんね。吉田さんの作品って単にゆるふわで終わらず独特の味わいが残るんですよね。
しかも、これほどたくさんのキャラクターがありながら全然埋没させない。私のようにTVシリーズうろ覚え程度の観客にも意味不明になることなく演じさせる力量には驚きます。
緩急のある構成で119分間、全く飽きさせない © GIRLS und PANZER Film Projekt / 本予告より |
緩急のつけ方にも感心しますが、しかし、後半の長時間にわたる戦闘シーンではさらに驚かされます。手に汗握る戦闘シーン。長時間にもかかわらず全く飽きさせず、むしろ笑いが絶えないくらいでしたね。
終盤に加速する圧倒的な緊張感!
しかし終盤クライマックスに入ると、あれ程までに楽しくやかましかった会話が一切なくなります。あるのは時折見せるサインだけ、このものすごい緊張感の高め方!すごい演出です・・・本当にすごい!
ただただ繰り広げられる戦闘。この圧倒的迫力、緊張感。荒唐無稽にもかかわらず、極限まで突き詰めた世界は観客の感動を誘わずにはいられません。
後半の長時間の戦闘シーン 練りに練られた構成には圧倒される © GIRLS und PANZER Film Projekt / 特報より |
これほどまでの戦闘シーンを作り上げたことに圧倒されて自然と涙が止まらなくなりました。本当に不思議ですが、なんだかわからないけどすごい!って事実に感動してしまったんだと思います。EDまで涙が止まらずハンカチ用意してなくて本当に困りましたよ。
ブラボー!ブラボー!賞賛の拍手
よくぞこれ程のものを作ったもんだ・・・ただただ、敬意を表したくなりました。終了後に拍手が鳴った会場があったそうですが、その気持ち本当にわかりました。素直にそう思います。終了後もすぐに席を立つことができませんでした。
ゆるふわなオープニング時は ここまでの大絶賛になるとは想像もできなかった © GIRLS und PANZER Film Projekt / 本予告より |
それは、単にストーリーで感動したというのではなく、制作陣の超絶技巧、例えれば素晴らしい演奏が終わった時のような、完璧な演技が決まった時のような・・・とにかく『ブラボー!』と叫びたくなるようなクライマックス。とにかくスゴイ!と賞賛したくなる作品。
努力の結晶って言葉があるけど、この作品こそ光り輝く結晶のような作品だと思いました。どれほどの苦労があったのか、限界まで妥協しないという水島監督はじめ制作陣の執念に当てられてしまうのだろうと思います。
実はTVシリーズはちょっと苦手だった・・・
ここまで絶賛しておきながら言うのもなんですが、実はTVシリーズはちょっと苦手だったんですよね。キャラがそれほど好みでなかったのと、絶対死なない設定にどうしても馴染めなくて・・・。正直ファンとは言えませんでした。
だから劇場版もどうしようかなぁ・・・と思ってたのですが、Twitterでとにかくスゴイ興奮の声・・・。本当に見に行ってよかったです。
ちなみに本作は昨今の右傾化と関連して語られることもありますが、その心配は杞憂ですね。極端にデフォルメ表現されているのでリアルと混同する人はいないでしょう。
本作では何度笑わせてもらったことか・・・ © GIRLS und PANZER Film Projekt / 特報より |
それどころか、弾道のリアルな音などは戦場の恐怖感を強調していますし、むしろ旧日本軍を皮肉るようなセリフは右派論者が怒るのではないかと心配するほどですね。本作の方向性が戦争礼賛でないことは明らかでしょう。戦車がカッコイイと感じるのは自然だしむしろ平和的。健全な日本のエンターテインメントの傑作ですね。
戦車がカッコイイのは仕方ない © GIRLS und PANZER Film Projekt / 本予告より |
一般人向けとしては萌えキャラと独特の世界観がハードルになりますが、より洗練された劇場版は、自分のようにTVシリーズで入りきれなかった人でも力技でねじ伏せてくれるすごい作品でした。
監督:水島努/脚本:吉田玲子/制作:アクタス
ガールズ&パンツァー公式ページ
(追記)映画レビュアーのヒナタカさん。TV版未見でも問題なく楽しめたそうです。
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当ブログの引用画像について法律上の扱いについての説明
(追記)映画レビュアーのヒナタカさん。TV版未見でも問題なく楽しめたそうです。
『えーと、自分はおそらく1000人中1人くらいの割合の「テレビシリーズを一切知らない&予備知識がまったくないのに劇場版を観に行った」奇特な人間なのですが(ファンの方ごめんなさい)、それでもめちゃくちゃおもしろかったです。』 - カゲヒナタのレビュー より
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