実写劇場版の『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』(前編)を公開初日に見てきました。一言で言えば、完全に樋口監督と町山さんの映画になってんじゃん!って感じですかね。2015年に作った本気の特撮映画を見た・・・と思いました。
高評価のレビューで盛り上がる
原作は言うまでもなく有名な諫山創さんのコミック。アニメも大人気でしたね。早く先を見たい!という謎解き感と巨人と戦う時の立体機動装置を使った独特のアクションシーンが魅力で、うちでも夫婦揃ってかなり楽しみました。
実写化と聞いて『それは無理があるだろ・・・』とかなり懐疑的でしたが、試写の感想がかなりポジティブじゃないですか。著名なプログラマでUEI社長の清水 亮氏(shi3z)のレビューが秀逸でした。
そうだった。
進撃の巨人は、こういう、救いのない物語だったんだよ、そもそも!
怖い話なんだよ、完全に!
あらゆる意味で期待を上回る、実写版「進撃の巨人」- shi3zの長文日記
さらに、映画評論家で今回初の共同脚本を担当する町山智浩さんによると、原作者の諫山さん自ら映画版の設定変更の申し出があったとのこと。本来ヨーロッパ(ドイツ)が舞台だったのを日本にする苦労などを話していました。
「それで、『もし映画化するんだったら、エレンを非常にリアルな、巨人を見ると恐怖で身動きもできなくなっちゃうような青年として描いてくれ』という要望があったんですよ。」
町山智浩、実写版「進撃の巨人」を語る - 映画評論家町山智浩アメリカ日記(書き起こし:miyearnZZ Labo)
原作者公認の設定変更で、感想もポジティブならちょっと見に行ってみようと思いますよね。何と言っても巨人のシーンが最高!というので、それだけでも期待して見に行きました。
最高に良く出来たお化け屋敷
うわさ通り巨人のシーンは相当見応えありましたね。オールCGじゃなくて本物の人間によるエキストラなので、良くも悪くも最高にリアル。最初『アンガールズ』の田中さん?って感じの人が出てきてすごい笑いました。
日本の舞台設定なので巨人もすべて日本人。これって結構巧いなと思うのは、ハリウッド映画だと人種差別に繋がらないように色々気を使わなければならない所を、ある程度無視できる所ですね。日本で作った日本映画で日本人がキモイ巨人を演じてるなら誰も文句言わないですからね。素直に楽しめます。(※外国人もいたという話もあり)
ハリウッドだと、多分巨人がもっとカッコ良くなっちゃうと思うんですよね。巨人(特に中小巨人)はキモくないとね。あのキモさが不気味なんですよね。
その巨人の人食いっぷりは前評判に違わない素晴らしい出来。これは確かに映画ならではの表現ですね。アニメや漫画では難しい、映画ならではの手法ってこういう事だと思います。
『これは人食い映画の革命ですよ!』 実写版「進撃の巨人」を観てきた「優しい目で観てあげよう」なんて思い上がっててすいません、だけど! - エキサイトレビュー (多根清史)『人食い映画の革命』ってほんと的を射た表現ですね。惜しむらくは、巨人の表情。最高に幸せそうに喰う巨人の表情が好きだったのですが、映画ではその辺はあまり強調せず野蛮人的な雰囲気だったのがちょっと残念かな。でも恐怖感はこちらの方がいいのかもしれませんね。
衝撃に手を震わせながらもニヤニヤしてしまう・・・これって良く出来たお化け屋敷を見に行った気分と同じですね。この夏、下手なお化け屋敷にいくより満足度が高いかもしれません。
キャラ変更とストーリーの大改変
大人気のキャラクターリヴァイ兵長をシキシマというキャラに変更しましたが、名前だけではなくて全くの別人設定。強い以外の共通点は余りない上に、変更されたストーリーにかなり深く関与してくるような気配。
ストーリーが進むにつれて、『え?そこまで変わるの?』という驚き。まさかNTR話になるとは想像していませんでした。ここまで大きく変わると、原作ファンも別作品として見る事が出来るので清々しいですね。
で、実写版『進撃の巨人』は、童貞が色々ともがき苦しみ成長する、シンプルで力強いビルドゥングスロマンとして考えると、とても良くできていると思う。つまり、エレンが変身した巨人の怒りは童貞の怒りだ。
進撃の童貞:実写版『進撃の巨人』- 冒険野郎マクガイヤー@はてな
原作・アニメのみで実写版未見の人には意味不明だろうけど、本当にこんな話なんですよ(笑)この辺をポジティブに受け止められれば楽しめると思います。上記レビューはストーリーについて秀逸なレビューなのでお勧めです。
ただ難点といえば、キャラの顔が被りすぎだと思いました。似たようなキャラが多くて見分けつかなかったですよ。日本人設定だから髪の色で変化出せないのは仕方ないけど・・・。エレンとアルミンなんて髪型同じですからね・・・あれは海外じゃあ見分けつかないんじゃないかと心配になりました。
良い意味で日本の特撮映画
後半になるに従ってなんか雰囲気が70年代の特撮映画みたいになってくるんですよね・・・。映像だけじゃなくてなんと言ったら良いのか・・・雰囲気なんですよ。ハリウッドのコピーじゃなくて、あくまで日本映画。もちろん現代風になってますけどね。でも日本映画の命脈を受け継いでいるなぁって感じます。
ストーリー改変があるとはいえ、大枠では漫画・アニメと同じ流れ。それにもかかわらず、途中から進撃の巨人を見ている気がしなくなってくる・・・あ、別に悪い意味じゃないですよ。こういう作品だと思えば面白いです。
そして極めつけは、エンディングのタイトル!最後にデデンと『進撃の巨人』って出るのですが、これが『ゴジラ』や『ガメラ』や『日本沈没』みたいなイメージに見えちゃうんですよ!
これ見たときに、うわぁ・・・そっかぁ、そうだよなぁ。樋口監督と町山智浩さんが映画作ったらこうなるわな・・・と思い知らされました。
樋口真嗣監督はゴジラで映画界に入って、2006年版日本沈没の監督をした特撮映画に強い監督。町山智浩さんは日本の特撮を含むサブカルに深い造詣のある映画評論家。
これだけだと、単なる改変バッシング作品になったかもしれませんが、原作者お墨付きの改変要請で芯が通った事で、新しい進撃の巨人という、生まれ変わった作品になれたのかなと思いました。
原作ファンでも、未見でも、それぞれ楽しめる作品だと思います。苦笑いする所も多くて、あまり期待しすぎるとアレですが、良く出来た最新の特撮映画だと考えれば出色の作品だと思いますね。
子供連れもたくさん来ていましたけど楽しんでたみたいですよ。巨人キモかった〜とか言ってましたね。PG12(12歳以下は大人と同伴ならOK)なんですね。町山さんのトークでは、ホント慎重に映倫と交渉したっていってたけど、なんか色々凄い。TV放映の時にカットされなきゃいいですよね。
※最初全年齢って書いていましたがPG-12でした。お詫びして訂正します。
進撃の巨人 公式サイト(実写映画版)
http://www.shingeki-seyo.com/index.html
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