2chで感想を読むと「プリンシプル」への不満の言及はほとんど見られないという驚愕の事実。予想以上の自分の少数派ぶりに2重の落胆。ここは気を取り直して感想の続きを。
(詳細なネタバレ描写は出来るだけ抑えていますが、鑑賞前の方はご注意ください)
特典ポストカード/©京都アニメーション/うさぎ山商店街 |
”王道”のラブストーリー?
”王道のラブストーリー”なんて事前の評判を信じていた自分が情けない。よく考えてみればあの「たまこ」に王道のラブストーリーなんて演じられる訳が無い訳で。なんでそんな簡単な事に気づかなかったのか・・・。
TVシリーズに比べてたまこの”勘”の悪さは、良くなるどころか(高校3年生にしては)病的なレベルまで悪くなり、むしろこの映画はもち蔵の恋愛を軸にした登場人物たちの青春群像劇と言った方がいいでしょう。
素晴らしい余白の演出
その描き方も取ってつけたような”青春の暑苦しさ”を排して、実にさらりと、うす味の京料理のように、でもじんわりとした味わいをもって描かれます。
絵や台詞でもそうでしたね。大胆に余白をとりキャラクターはあえて切って描くシーン。
感情の説明となる台詞を使わず、行間で心の動きを表現するシーン。こういうのすごい!こういうの「けいおん」であったのかな?まだ映画版しかみてないんだけど、アニメとしてはすごく挑戦的な感じ。
それが端的に現れていたのが、言うまでもなくみどりちゃんだよね。振付け・台詞、余計な演出を削ぎ落としているのに、彼女の中の自分でも消化できない色々な気持ちが、行間に滲みだしているのが印象的だった。
それは音楽でも同じで、場面を盛り上げるためのBGMの効果はほとんど印象に残っていない。音のない時間が多い作品。(忘れているだけかも)
そしてそれは、本当のテーマソングであるお父さんの若い頃の歌、そしてお母さんの返事の歌。これを際立たせるための演出だったのかな。だとすれば「プリンシプル」は入れられないよね。
あえて濃厚な味付けをせず、素材の味を最大限生かした、意欲的な演出。素晴らしいです。
涙腺寸止め地獄
そして、意外に早く来たあの告白シーン。秀逸でした。
一旦ヘタレて告白をやめてから、回想シーンを挟んでの突然の告白。流れるような気持ちの変化のすばらしい描写。文句のつけようがありません。目頭が熱くなり震えました。
あの時「プリンシプル」流されたら完全に涙腺崩壊してたでしょう。でも、まさかの・・・あの展開!さすがにあれは予想外。よく考えたら、たまこだけが”あえて”過剰演出ですね。
冒頭数分での回想シーンからいきなり泣きそうになるなど、この作品は本当に涙腺寸止め地獄です。そしてラスト近くの「餅の顔」の記憶。ここで「プリンシプル」流れたら・・・走り出すたまこのバックに流れたら・・・もう完全大泣きですよ。でもそれを監督はやらなかった。すごい!すごいよ、安直な手法をつかわず一貫した演出。頼むからもう泣かせてくれ!(しつこい)
自分の予想外の演出だったという理由で(特に後半は)冷静に観られてないのが残念です。それを一旦織り込んで、もう一度素直に観てみたい作品でした。きっともっと楽しめるでしょう。ちなみに一緒に観た奥さんは大変感動しており、「プリンシプル」の事は「全く」気にならないと申しておりました。(泣)
(でも本音を言うと・・・濃厚味付けの演出もみてたいなと・・・、あと本編前のデラちゃんがフリになってるなんて粋ですね)
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