当日のパンフレットより 引用 (C)加須アンサンブル・リーベ |
吹奏楽団は珍しくありませんが、弦楽器が中心のアマチュア楽団は珍しいですね。ちいさなアンサンブルの発表会かと思ったらマンドリンの客演や、バロックの協奏曲もある本格的なコンサートでした。すごく良かったです。
コンマスの弾き振りによる指揮者なしの演奏
この楽団はなんと指揮者を置かずにコンサートマスターが『弾き振り』をするとの事!(※コンマス:普通は第一バイオリンのパートリーダー)
弾き振りなんて『のだめカンタービレ』の千秋先輩がやってたのを知ってるくらいで(笑)実際に見るのは初めてでした。数名のアンサンブルならともかく20名以上の規模の合奏ですから不思議な感じです。
24名と中規模なアマチュア楽団 この規模で『弾き振り』の演奏をする 公式ホームページより画像引用 (C)加須アンサンブル・リーベ |
コンマスは千秋先輩には似てないけどシュッとした格好良い雰囲気の方。『弾き振り』といっても最初の合図以外は目立った動きはないんですね。
自分はいちおう吹奏楽部の経験がありますが、指揮者がいなくても一応演奏はできるものの、緊張するとテンポが速くなりがちなんですよね。
アマチュア楽団ならではの工夫した構成
大丈夫かな?と、正直ヒヤヒヤしながら見ていましたが、うまいなぁと思ったのがオープニング曲として『情熱大陸』を入れている所。
この曲は楽団のテーマ曲との事ですが、慣れた曲を最初に演奏する事で楽団の準備運動になってる感じでした。
オープニング曲に楽団テーマ曲 序盤は映画音楽などで調子を上げていく構成 (C)加須アンサンブル・リーベ/解説(Vc)K.N |
そのあと映画音楽を前半に入れつつ、後半に難しい曲を持ってくる構成で楽団全体の調子を上げていく感じでしたね。アマチュア楽団らしい工夫なのかもしれません。
休憩なしの95分で11曲+3曲を一気に演奏するのも調子を折らないという点で良いのかもしれませんね。
弦楽ならではの楽しさを出した演奏
OP曲:情熱大陸
1:タンゴ『プレパレンス』
2:『美女と野獣』
3:『パイレーツ・オブ・カリビアン』
4:『新世紀エヴァンゲリオン』
前半の映画音楽は上品な弦の演奏でとても良かったですね。映画音楽というと吹奏楽でも馴染みがあるけど、弦楽でのアレンジも十分迫力ありました。
自分は部活でコントラバスの経験があるものの、吹奏楽ではチューバに音をかき消された悲しい思い出(笑)弦楽だと2本のコントラバスの存在感がしっかりあって感動です。
今回リクエストに応えて入れたというアニメ楽曲。『響け!ユーフォニアム』からの選曲だと嬉しかったですが、さすがにそれはなくて『新世紀エヴァンゲリオン』のテーマでした。懐かしいですね。40代向けですね(笑)
まあ、この曲については管や打楽器も欲しくなる感じでしたかね。弦だけだとちょっと上品すぎたかも。でも迫力出そうと頑張っている感じが伝わってきました。
オリジナル編曲や加古隆の曲が良かった
5:歌劇『タイス』間奏曲
6:『宇宙戦艦ヤマト』(ミステリー)
7:『黄昏のワルツ』
6曲目は『宇宙戦艦ヤマト』でしたが、途中を『ビオラ4重奏』に変えるというオリジナル編曲が面白かったですね。ビオラによるメロディーが新鮮だったし、ビオラって思ったより低い音域なんだと実感出来ました。
7曲目の加古隆の『黄昏のワルツ』はすごく良かったです。ピアノと弦楽という構成にすごく合っている曲だったし一般向けにもわかりやすいですよね。元々加古隆の作品が好きなんですが生演奏で聴けて本当に良かったです。
興味深いマンドリン客演
8:『レクイエム』
9:『太陽がいっぱい』
10:『2つのマンドリンのための協奏曲』第1楽章
11:『2つのヴァイオリンのための協奏曲』第1楽章
後半はモーツァルトを挟んでマンドリンを客演に迎えての演奏。マンドリンはギターの先祖みたいな古い楽器ですが、現在もマンドリン楽団とかあるので音は聞いた事はありました。
でも今回マンドリン2本での演奏という事で非常に面白かったですね。9曲目の『太陽がいっぱい』ではマンドリン2本によるトレモロ奏法。10曲目のヴィバルディでは通常の奏法と違いが興味深かったですね。
終盤にバロックの協奏曲 司会はチェロの奏者がMCとなって解説していた。 (C)加須アンサンブル・リーベ/解説(Vc)K.N |
バロック時代では通常奏法が多かったそうですが、チェンバロによく似た音なんですね。チェンバロと違って音の強弱が明確にできるのですが、音自体はやっぱり小さいので伴奏とのバランスが難しそうな感じ。
それと比べると現代のバイオリンの音量のすごさがよくわかりますね。それにしてもマンドリン協奏曲なんて滅多に聴ける機会がないので本当に良かったです。
バロック音楽を聞ける貴重な場
プログラムの最後はJ.Sバッハの『2つのヴァイオリンのための協奏曲より第一楽章』です。ソロはコンマスと2ndバイオリンの方による演奏でした。コンマスの安定感はすごいですが、2ndの方も難しい演奏にチャレンジなさってて感動しました。
この曲もなかなか生演奏で聴ける機会はないですから良かったです。そもそもバロック音楽を近場で聴けるのは本当に貴重ですね。都心まで行けば度々やってますが関東とはいえ結構負担大きいですからね。
吹奏楽も良いですけど、弦楽器の音は独特の味わいがありますからやっぱり良いですよね。でも管楽器と違って弦の音ってホールの後ろの方だと正直言って『ショボイ』んですよね。プロの楽団でもその点は同じです。
大ホールの場合は前寄りの席でないとフラストレーションが溜まります。でも高額なチケットはそうそう買えないわけで。
S席相当の良席で聴ける楽しさ!
こういうアマチュア楽団の無料コンサートでは、観客が慣れていないせいか遠慮しているのか、中央の席から埋まっていくんですよね。S席相当の前方席は最後に埋まるという(笑)もちろん喜んで前方席で観賞しました。
当然ながら『プロ楽団と同様のレベル』で評価してはいけませんが、弦楽の音を間近で楽しめただけでも本当にありがたい事ですよね。
良いオーディオ機器で聴く演奏も良いですが、弦楽器が目の前で鳴っている力強さというのはオーディオで聴く楽しさとは、また違った良さがあります。
音程が完璧で失敗もないプロの演奏はもちろん素晴らしいですが、気軽に聴けるアマチュア楽団の演奏も十分価値のあるものだと思います。
聴きに行きたいアマチュア楽団
それにしてもアマチュア楽団って本当にすごいですよね。部活やプロのように強制力がある団体ならともかく、個々の演奏レベルも生活状態もバラバラな団員をまとめて一定レベルの演奏をする事の大変さ。想像するだけで苦労が偲ばれます。
アンコール最後の『エーデルワイス』の合唱は楽団員に向けた感謝の気持ちを込めて歌いました。加須市民ではないので知らなかったのですが、こんな楽団があるならまた次回も聴きに行きたいですね。
弦楽合奏団 加須アンサンブル・リーベ 公式サイト
https://ensemble-liebe.jimdo.com
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