『境界の彼方』が劇場版になると聞いた時、一体どういう話にするつもりなんだろう?と想像もできませんでした。確かに疑問は沢山残るTVシリーズでしたので2クールで詳しくやって欲しかったなと思っていました。
最終回の戦いのシーンなんて劇場で映えそうでしたもんね。だからTV版を膨らませる総集編でも十分見たいと思ってましたが・・・続編って?一体こここからどう展開させるわけ?と疑問に思っていました。
しかし、今、未来編を見た後は、そんな疑問はすっかり吹き飛びました。続編でもなんでもない!これこそが本当の最終回なんだと。
(参考)劇場版 境界の彼方 -I’LL BE HERE- 過去編 感想:総集編ではなく未来編へのプロローグ! - アニメとスピーカーと‥‥
上記、過去篇に続く未来篇のレビューです。
※予告編以上の詳しいネタバレは出来るだけ避けていますが未見の方はご注意下さい。
※2回目(2週目)視聴の感想をラストに追記しました。
※2回目(2週目)視聴の感想をラストに追記しました。
2日目でも満席続きの大盛況
初日は都合が付かず2日目に行きました。劇場は本当に混雑していて、1時間前なのに満席で席が取れないなんて久しぶりに見ましたよ。MOVIXさいたま、GWとはいえ、ちょっと部屋小さすぎるよ・・・まだ2日目なんだからさぁ。前売り券なのでネット予約ができず夜の回まで待つはめに・・・。
そうしたら入場特典のコースターもらえないし・・・もうがっかり。やっぱり朝早く起きていくべきだったな・・・もしくは、昨日の夜に眠くても行けば良かったと後悔しきりでした。
そんなに待っても座席は前から3列目という劣悪な席!センターは取ったものの、見上げるのでスクリーンが台形に見えますよ。あまりに近すぎて画素のドットまで視認できるし。映画館で画素まで見えるの初めてだよ・・・とほほ。
まあ、そんな残念な席でしたが、部屋に合わせてスクリーンも小さめなのが幸いして、前方とはいえ視野からはみ出ることはありませんでした。視野一杯で映える場面が多かったので後ろ過ぎるよりは前の方が良いかもしれませんね。
夜桜のシーンは本当に美しくて
予告編から期待していた桜のシーン。夜桜のシーンなんですが、本当に、想像以上にキレイでした。ああ、もっと、じっくり見ていたい・・・というくらい、桜の景色と栗山さんの笑顔が素敵で・・・でもその笑顔の内側には、実は哀しみと不安が入り交じっていた事がわかります。
実は私が一番感動したのはここのシーンだったりします。ピントの揺れる効果を積極的に使っていましたね、心の揺れを演出していたように感じました。
印象的な夜桜のシーン 『劇場版 境界の彼方 -I'LL BE HERE-』予告篇 KyoaniChannel より引用 (C) 鳥居なごむ・京都アニメーション/境界の彼方製作委員会 |
ちょっと期待していた栗山さんと秋人の普通のカップルシーンというのは、実はほとんど無かったんです。ただ、秋人と二人で歩くシーンで、栗山さんのホッとしたような、ちょっとうれしそうな、でも心の奥には諦めがあるような・・・そんな複雑な表情がすばらしいです。
ちょとうれしそうな、でも覚悟したような複雑な表情 『劇場版 境界の彼方 -I'LL BE HERE-』予告篇 第2弾 KyoaniChannel より引用 (C) 鳥居なごむ・京都アニメーション/境界の彼方製作委員会 |
緻密に表情を書き込むシーンとデフォルメするシーンのメリハリがはっきりしているのは本作の特徴ですね。ここぞと言う時の、緻密な表情、ダイナミックな動きが映えます。特に後半の剣の動きはハッとさせられました。
となりの女の子が号泣・・・
今回いわゆるシリアス展開です。京アニでシリアス展開だと、ちょっと受け付けない人もいらっしゃるようですが、個人的には大好物。『中二病でも恋がしたい!』のシリアス展開も大評価してました。特に本作ではこういう展開が見たかった!とTVシリーズの頃から思っていたんですよね。
いわゆるシリアス展開 しかもかなり重いやつ 『劇場版 境界の彼方 -I'LL BE HERE-』予告篇 第2弾 KyoaniChannel より引用 (C) 鳥居なごむ・京都アニメーション/境界の彼方製作委員会 |
たまたま隣席が父娘の親子。アニメ好きらしい小中学生くらい?の女の子は嗚咽をもらして涙が止まらない様子でした。何度も何度も目を覆っているようでした。
さすがに年代も違うので(隣のお父さんと近いし・・)自分は同じ所で号泣とはいかないですが、製作陣が想定しているファンの心にはしっかり届いているようでしたよ。ストレートに愛と絆を表現している分かりやすさ。その辺が良いのかな。ほんと若い人がいっぱいの客席でした。
おどろきの全キャラ大活躍!
過去編では栗山さんと秋人に焦点を絞った結果、その他のキャラの詳細はかなり省略されました。他のキャラのファンには少し物足りない所もあったと思います。
でも未来編は違います!たった89分なのに、全キャラがしっかりと役割を与えられ活躍するのには本当に驚きました。本当に全キャラなんです!あのキャラも、このキャラも・・・この短時間にあれだけ入れ込むってすごくないですか?
ちまたで影の主役では?と話題になっている博臣(ひろおみ)先輩の活躍は、もちろん素晴らしかったですね。過去編では喰い足りなかった美月もたっぷり毒を吐きます。(もちろん活躍も一杯します)
でも個人的に注目したのは秋人の母親の弥生さん!TV本編のときから、この人はただ者じゃないと思っていたんですよ。でもTV版ではイマイチ重要性が発揮されず、ちょっとキワモノイメージで終わったのが気になってました。
秋人の母、弥生さんも未来編では重要な役割 『劇場版 境界の彼方 -I'LL BE HERE-』予告篇 KyoaniChannel より引用 (C) 鳥居なごむ・京都アニメーション/境界の彼方製作委員会 |
しかし、未来編では重要な役割を担い、かつその正体も仄めかされます。弥生さんやっぱ良いわ〜。思った通り只者ではなかったです。もちろんキワモノキャラも健在ですよ。
幾重にも重なった愛と絆のストーリー
未来編では愛と絆というキーワードが、栗山さんと秋人の関係だけでなく、幾重にも重なって掛かってきます。
まさに、過去編と合わせて1本の作品となる作りです。未来編を見るともう一度、過去編から通しで見たいなぁと感じます。
『石立監督も「劇場版アニメ化はまったく予定になかった」と語る』
境界の彼方 : 伝えたいのは“つなぐ愛” 京アニ石立監督に聞く- MANTAN WEB より引用
石立監督のインタビューによると、続編は考えてなかったらしいですが、それが信じられないほど綺麗にまとまった劇場版。続編というよりも未来編によって完成されたような感じがします。伏線の回収も見事。まるで未来編ありきで作ったと思えるほど自然な流れでした。
『普遍的で地域・時代を問わず語られている大きなテーマなので、「素直に分かりやすく描くことに不安もあった」が、完成した今は「素直につないで良かったと思っています」と笑顔で振り返る。』
境界の彼方 : 伝えたいのは“つなぐ愛” 京アニ石立監督に聞く- MANTAN WEB より引用
インタビューの様に、確かにストーリー自体は王道的な展開かもしれないけれど、難解にしない事で力強いメッセージが伝わったと思いました。
境界の彼方という作品は、個人的にはこの劇場版2本が本編だと言いたくなるほどです。TV版はむしろ捕足のサイドストーリーのような、そのくらい劇場版の完成度は高いと感じました。(TV版が劣るという意味ではありませんよ、念のため!TV版には他に無い独特の味があって、そこが好きでした)
TV版しか見ていない人が未来編から見ても、もちろん問題はないと思います。でも二人に焦点を当てた過去編を見る事で、TV版とは違う視点の切り替えが出来るのでやはり過去編から見たい所ですね。2本で3時間って本当にちょうど良いし。
※過去篇のBD/DVD情報は『過去編の感想』の文末にまとめました。
『会いたかった空』のフルコーラス!
当ブログでは注目しているオープニングとエンディング。OPは無く(本編リード部分でのクレジット表示)EDは『会いたかった空』のたっぷりフルコーラスでしたね。
『会いたかった空』が本編で使われる事を期待はしていました。でもインストのサントラ楽曲がかなり良くて不満はありませんでしたね。EDでフルコーラスで使うのは良かったと思います。やっぱりフルコーラスだといいよね。大団円のストーリーだからこそ、しっかり余韻に浸れました。
茅原実里『劇場版 境界の彼方 -I’LL BE HERE- 未来篇』主題歌
「会いたかった空」MUSIC VIDEO FULL Lantis Channel 公式配信
ところでEDに入る直前。栗山さんと秋人のラストシーンからプツリと暗転してEDに入ったときは、えっ、ちょっとブツ切れじゃない?もうちょっと余韻を残してよ〜と正直不満でした。でもエンドクレジット終了後、あのカットがあるからなんですね〜。
あのシーン、今までだったら秋人が言って栗山さんが「なななな、なに言ってるんですかっ・・・先輩っ!」ってどもりそうなシーンですよね。それが逆転することで二人の関係が本当に新しいものになったんだと印象づけられました。
まあ、ED途中に帰る人なんていないと思いますが、最後にお楽しみがあるんで、未見の方はお気をつけ下さいね。
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エンディング・・・そして本当の最終回
そして今回のED映像、黒バックだけだった過去編と違い、回想シーンを繋いだ映像つきです。一見よくあるエンディングですが・・・でも気付いてしまったんです。ああ、そうか。これで、本当の最終回なんだな・・・と。
2013年から足掛け3年。無いと思っていた映画化発表で楽しみにしていた日々。そしてとうとう未来編の公開。でも今日はお祭りであると同時にお別れの日。もう次回は無い。これでおしまいなんだなぁ・・・と、回想シーンを見ていると急に感傷的な気分になってしまいました。
このトシですからね、人生に影響を与えるようなインパクトがあるわけではないです。でも綺麗に着地した素敵な作品。きっと20代では気恥ずかしくて向き合えなかったかもしれない作品。40過ぎた今なら素直に楽しめます。
自分に向けられた作品ではないのかもしれないけど、TV版も含めて3年間、とても楽しかったです。スタッフの皆さんにはありがとうと言いたいですね。
でも本当は、隣の女の子のように思いっきり号泣したいなぁと、みずみずしい感受性がちょっとうらやましかったりもしました。
今回は都合で奥さんは見に行けなかったんですが、改めて一緒に見に行くつもりです。今度こそ中央の良い席で、もちろん入場者プレゼントも必ず入手して。
その際はまた追記します。(下に追記しました)
『劇場版 境界の彼方 -I'LL BE HERE-』予告篇 第2弾
KyoaniChannel 公式配信
追記:2週目を見に行きました
2週目とはいえプレゼント2弾の初日だけあってほぼ満員状態。1週目の時より普通の高校生グループがいっぱい来ていて40代は浮いちゃいますね。ホント半分くらい女性だし京アニらしい客層でした。女子高生なんかは泣いたりしてましたが、男子グループなんかは感動しても恥ずかしくて困りそうですね。
今回も小さな部屋だったけど前寄り中央のベストな席を確保。とはいえ2回目だからちょっと飽きるかな〜と心配していました。ところが、筋が分かっている分かえって集中して見る事が出来ましたよ。1回目より感動してしまいましたね。
1回目はイマイチ理解できていない部分があったし、ちょっと気恥ずかしさが強かったりしたんですよね。2回目はその辺がスッキリしてリラックスできた分、素直に物語に入り込む事が出来ました。
特に後半のクライマックス部分とラストのハッピーエンドは、1回目よりずっと素直に感動できました。ああ良かった〜。
89分に一杯盛り込んだ、かなり熱量の高い作品ですので見る方も結構エネルギー使うんですよね。一緒に見に行った奥さんも結構消耗していたようですが、後半でかなり感動していたようです。お気に入りキャラの美月の活躍も高評価でした。
2回目みて思ったのは、秋人って本当に『死なない』以外の力がなくて、図らずも周りに迷惑をかける存在で不遇だよなぁと。それが栗山さんを守れないという自信の無さとなって、真実を知らせないという行動に繋がっているのかなと思いました。
見ていると秋人に対して歯がゆいというか、真実を話して栗山さんと向き合わないからあんな事になるんじゃないかぁと思ったりします。でも石立監督のインタビューにあるように、これが『雨が降らなければ何も固まらない』(下記より引用)って事なんでしょうね。
『境界の彼方』はハッピーエンドに!石立監督が詰め込んだ「京アニ」イズム - シネマトゥデイ
あと、本稿ではEDが回想シーンと書いていましたが、回想ではなくてエピローグでしたね。楽曲の前半でエピローグシーン、後半で黒バックのスタッフロールという構成は気分を整理できて良かったです。しっかりと余韻を楽しめる作りだと思いました。
同じく本稿で、秋人の母の弥生さんについて書きましたが、言うほど活躍してなかったですね(笑)でも妙に印象に残ったんだよなぁ。結構お気に入りキャラってこともあるけど、なんか主人公達より年代が近いから共感してしまったのかもしれませんね。
2回目も非常に楽しめる作品でした。
公式サイト 劇場版 境界の彼方 -I’LL BE HERE-
http://anime-kyokai.com
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